ローカルバスが
エンジン震わせ接近中
止まって 止まって
両手広げて猛烈アピール
くたびれたバス停で
くたびれたオヤジが ・・・
ドアが開くやいなや
まるでイルカショーの
イルカのように
車内にスルッと滑り込む
そしてアシカショーの
アシカのように
得意げに手を叩いて見せた
昨日までの景色を消す旅
今日からの景色を探す旅
明日に向かって出発
車内に響く
ペットボトルを開ける音
身体にプシュッ
潤い求めているよね
シートに沈んで
海岸線を緩く舐めてみる
心がリズミカル
潤い求めているよね
生きてる証拠かな
ラグの詩
海沿いのエッジカーブ
青く怪しいネオンが光る
クルマ停めて
なぁ、泊まって帰る?
冗談半分、ニヤけた顔で
キミに投げてみた
いいよ、って
含羞んでみせるキミ
うそうそ、って
苦笑いで誤魔化すボク
白く長い砂浜
手を繋いで歩いた二人
キミ18歳
ボク20歳
あの日、あの砂浜
何かを忘れてきたような ・・・
ラグの詩(男と女の話)
川沿いのカフェ
オレンジカラーな時間が
緩やかに流れて
たっぷり注がれた
カフェラテのマグカップを
両手で包み込む
窓際の三毛猫と目が合った
あ、ラテ・アートだね
って、マスターが笑った
猫の名前
アートだって ・・・
そろそろ、季節は
冬に向かいたがっている
ラグの詩