ラグの「素直に生きれば人生は楽しい」

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定番を覆す 「定番」

2009年05月08日 | 二升五合




「1面トップ記事」

これは GW 真っ只中の 5月5日、某大手新聞社の朝刊1面トップ記事です。
全国紙の1面トップと言えば、政治・外交の時事問題や凶悪事件・組織犯罪などを
扱うことが多く、経済面の消費動向であっても、政治や外交に絡むものであったり、
株価や公定歩合に即座に影響を与える類が “定番” だとすれば、この記事は少し
稀な(ほのぼのとした?)内容(GWバージョン?)だったかもしれません。

連日、新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)や高速道路(ETC使用)の1,000円
乗り放題等のニュースはあったものの、前日、大きな事件や事故がなかったことで、
経済面から1面トップに押し上げられたものかもしれません。ただ、確かに現状の
経済状態を鑑みれば、取り上げられても不思議ではない内容なのですが、それでも
テレビの情報番組で紹介されるようなネタがトップ登場したことに、大手新聞社をも
含め、世間全体が不況に対する焦りや生き残りをかけて凌ぎ合う前触れのような
気がするのは私の考え過ぎでしょうか ・・・ 。


「定番の味、不況知らず!?」

★ 消費者の食品・飲料の好みとメーカーの商品戦略に、目新しさよりも安心感を
求める 「定番回帰」 の動きが目立ってきた。昨年秋から鮮明になった景気低迷の
中で、ロングセラーの食品が何十年もかけて培った味や品質、こなれた価格などが
消費者の心を捉えているようだ。メーカー側には、商品開発の費用やリスクをできる
だけ抑えながら売上を確保したいという思いがあり、ヒット商品を追い求めるばかり
ではなく、定番ブランド品の販売促進や一部改良に力を注いでいる。
 総務省の3月の家計調査では、1世帯(2人以上)あたりの 「食品」 の消費支出
額が前年同月比で4ヶ月続けて減少した。それでも 「定番商品」 の売上の落ち込み
は比較的小さい。無駄な出費を嫌う消費者にとって、割安感に加え、味や品質で
「はずれ」 が少ないという安心感があるからだ。メーカーにとっても、定番商品には
新商品ほど開発費や宣伝費がかからず、確実に売れるという安心感がある。
 この2月、キャラメルのおまけを4年ぶりに一新した江崎グリコは、「不況でも、
馴れ親しんだ商品は消費者に受け入れられている。業界全体で爆発的なヒット商品
が生まれておらず、当面は定番品のテコ入れに力を入れる」 という。
 一方、定番回帰の背景には、高度成長期をテーマにした映画がヒットするなど
「昭和レトロ」 ブームもあるようだ。流通科学大の後藤こず恵講師は 「30代を中心に、
子供の頃に買えなかった商品をまとめ買いする 『大人買い』 や、懐かしい商品を
子供に与える動きも増えている。昭和期の包装デザインが新鮮に見える若者も多い」
と指摘する。★

冒頭、“「定番の味」 不況知らず ~ 消費者・メーカー安心志向 ~” という
ヘッド・リードに続き、上記★解説があったのですが、本当にそうなのでしょうか?
もちろん、現状の分析と手立てはそうなのでしょうが、果たしてその括りで全てを
収めてしまって良いものなのでしょうか ・・・ ?

各メーカーの 「定番商品」 とは、十数年、あるいは数十年前に商品が開発され、
ブレイクの度合いは違えど、ある時点で必ず、時代ニーズや個人嗜好にマッチし
支持された商品であったことは間違いありません。そして、その支持の強さや
範囲の広さを持つ商品(一部メーカーブランドそのもの)こそが 「定番商品」 と
なって存在し続けているはずです。

私はメーカー(供給)側と消費者(需要)側との 「定番回帰」 に対する捉え方に
どうしても温度差を感じます。確かに、ロングセラー商品の味や品質に消費者が
安心感を感じているという分析は一理あるのでしょうが、それだけではないような
気がします。というか、それ以外の部分に大きな落とし穴があるような気がします。

特に、年配者の志向(嗜好)を考えれば、安心感やこなれたものというより、
“目新しいものについていけない” というのが本音であり、現在の早い消費潮流が
消費意欲そのものを奪っているとも言えるのではないでしょうか。であれば、その
世代やその定番商品がブレイクした時代にメインの消費者であった人々を無視する
ような 「定番回帰」 のアピール(若者向けの広告等)をし過ぎれば、「定番商品」
そのものの位置が一気に壊れてしまうという危険も孕んでいるかもしれません。

記事内で紹介されている 「カルピス」 「ボンカレー」 「パインアメ」 などの
商品(メーカー)は堅実であると思いますので、大きく外すことはないと思いますが、
懐かしさや昭和レトロへの回帰範疇を崩すほどに 「定番回帰」 が進むと、それこそ
商品にあったはずのカリスマ性や憧れに近い魅力が無くなってしまいます。新商品
の開発販売が進まないから 「定番回帰」 という安直さこそがヒット商品を生み出せ
ない原因ではないでしょうか。もっと言えば、“直ぐに売れる 「商品開発」” にしか
視点がない現代日本の企業目線に大きな問題があるのではないかとも感じます。

昭和期からある 「定番商品」 が、この平成にまで生き残り、何故、未だに売れて
いるのかという答えを本当に消費者側から見詰め直すことが重要だと感じます。
メーカーや識者が捉えている “なぜ売れているのか(買うのか)” “どうすれば
売れるのか(買うのか)” という目線は、本当の消費者目線ではなく、「消費者が
買うことを前提」 とした、あくまでも供給側目線でしかありません。やはり、ズレて
いるのではないかと感じずにはいられません。今、大手企業こそ、御一考を!


■ 二升五合 ■

「定番商品」 とは
流行りの商品ではなく
流行に左右されない
商品のことだろう

そして、今の時代
定番は商品だけでなく
企業も店舗も 「定番回帰」
しているかもしれない

となれば、
半世紀後を目指して
“今、じっくりな企業” が
新たな時代の要請かも ・・・

第五大成丸