人生悠遊

写真付きで旅の記録、古都鎌倉の案内などを、周りの人の迷惑にならないように紹介していきます。

源実朝を知りたい ー鎌倉国宝館特別展ー

2019-01-23 21:09:48 | 日記

今年2019年は鎌倉幕府三代将軍源実朝没後800年ということで、鎌倉国宝館では1月4日~2月3日まで特別展「源実朝とその時代」が開催されています。実朝に興味があり、もっとその人となりを知りたいと思っている私としては、外せない企画展なので行ってきました。

展示物の中でも注目したのは、甲斐善光寺の源実朝坐像、秦野市の金剛寺の源実朝坐像と阿弥陀如来坐像など。この機会がなければ、現地でないとこれらの坐像は拝観できませんので、興味深く拝観させていただきました。また鶴岡八幡宮 宝物殿で開催中の新春特別展「御神忌八百年 三代将軍源実朝公」(元日~2月4日)を併せてご覧になることをお奨めします。この展示物にも鶴岡八幡宮所蔵の実朝像がありました。奇しくも三体の実朝像が同時に拝観できるわけで、こんな機会はまずないでしょう。あとは京都の大通寺にある実朝像が拝観できればいいのですが・・・。

さて金剛寺というお寺、実朝公の首塚の近くにある寺のようですが、そのお寺のにある実朝坐像と阿弥陀三尊像、木製の五輪塔(常設展示物)などが今回展示されていました。仏像の前の解説を読みますと阿弥陀三尊の脇侍の方が古く、実朝の念持仏と伝わると書いてありました。そうかもしれません。実朝の首の所在については、小説の題材になるほど謎めいて、?ではありますが、秦野市の首塚がかなり信憑性が高いということでしょうか。この金剛寺は一度訪ねてみて、また紹介させていただきます。

最後に高浜虚子の句を一つ。自筆の書が宝物殿に展示されていました。

  鎌倉に実朝公あり美しき     

「うるわしき」と読むようですが、やはり源実朝を愛した正岡子規と同じ思いでしょうか。「うるわしき」という言葉の響きに惹かれました。

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鎌倉を知る ーー 『承久の乱』 を読む ーー

2019-01-20 19:53:06 | 日記

いま人気の中世史書『承久の乱』(坂井孝一著 中公新書)を読んでみました。承久三年(1221)に起きた承久の乱といえば、北条政子が源頼朝以来の恩顧を訓辞し、御家人の結束を固めて勝利し、後鳥羽上皇を隠岐に配流したことぐらいしか記憶にありませんが、この本を読むと後の歴史が大きく変わった大事件だったことがよく判りました。

主たる歴史上の人物は源実朝、後鳥羽上皇、北条義時の三人。そのほかに多くの登場人物が脇を固めています。源実朝については、陳和卿に唆されて宋に渡る船を建造したものの進水できず失敗したとか、二日酔いの薬を栄西にもらったとか、どちらかというと余りいい話は伝わってきません。後鳥羽上皇にしても、文武両道に優れ、『新古今和歌集』は上皇自ら勅撰したものとは知りませんでした。源実朝暗殺の黒幕も、北条義時だとか三浦義村の名前があがり、多くの作家が題材にしていますが、実は公暁の単独犯ではないかとか・・・。

どちらかというと鎌倉の歴史は『吾妻鏡』に書かれている出来事がベースですが、この本の著者は慈円の『愚管抄』など、京都の宮廷人の日記を多く引用して事実関係を検証しています。そのほうが権力者に対する利害が少ない分、事実に近いと思われます。もし源実朝が公暁に暗殺されずに生きていれば承久の乱も起こらず、歴史が変わっていたかもしれません。この実朝という人物おもしろいですね。もう少し調べてみたくなりました。

写真は、鶴岡八幡宮の新宮(今宮)です。本宮の北西の山麓に宝治元年(1247)に後鳥羽天皇、土御門天皇、順徳天皇の御霊を慰めるために祀られました。

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梅原 猛さんのこと

2019-01-14 13:01:56 | 日記

今朝の読売新聞に「梅原猛さん死去 93歳」という記事がありました。数年前、とある文学賞の授賞式でお見かけしたのが最後でした。私と梅原先生の著作との出会いは『隠された十字架-法隆寺論-』にはじまります。一度読んだきりなのですが、余程印象的だったのでしょうか、今でも大事に本棚に飾ってあります。その後、集英社文庫の『仏像・羅漢』とか、『仏教の思想 上・下』などを買い求め、この2冊は、今でも時々開き、参考文献として引用させていただいています。

何故、先生の著作が好きなのかと言うと、考え方が既成事実に囚われることなく、独特な視点で歴史に切り込んでいるからかと思います。経歴をみますと、東海中学から八高、京都帝大に進んでおり、名古屋で育ったところが私と同じで親しみが持てるのかもしれません。名古屋育ちの人間はその時の権力者や権威者のやっていることを批判的にとらえ、逆説的にみる傾向があります。これは尾張藩主徳川宗春からの伝統かと、自分自身では勝手に納得していますが・・・。

さらに記事によりますと、2015年の卒寿を祝う会では、「人類が滅びないように、人類を生かす哲学を、100歳まで生きて書く」と話し、人間と自然の調和の下で文明を築き直すことを構想していたようです。最近、こういう気骨のある方がつぎつぎに世を去っていき残念でなりません。  ご冥福をお祈りします。

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ファストリ柳井氏の言葉

2019-01-13 19:57:23 | 日記

今朝、日経新聞をみていたら「チェーン店の時代、終結 ファストリ柳井氏が語る未来」という記事が目に留まり、読んでいて学ぶことが多く、ついつい紹介したくなりました。

ちょっとわき道にそれますが、柳井氏が起こしたユニクロは1984年に開店。私が1996年から98年にかけて広島に勤務していた頃、住まいの近くにユニクロがあり、カジュアル衣料を買い求めるために良く利用しました。当時はまだユニクロブランド品はなく輸入衣料品なども扱っていたと思います。当然のことながら、今みたいにこれほど大きな企業になるとは全く思いませんでした。ついでにもう1社、ダイソーも広島市内に出店しはじめたばかり。今思えば、小売業界に革命を起こしたこの2社がほぼ同時期に広島でスタートしていた訳で、何か感慨深いものがあります。一方、以前は花形産業であった証券会社や銀行などが相次いで破たん。それからの日本は暗黒の10年とも20年とも言われる時代が続きます。そんな中、ユニクロやダイソーのコスパのある商品にどれほど庶民は助けられたことか。

記事に戻りますが、AIの進化について問われ、柳井氏は「社員には、AIの導入を考える前に自分の頭脳を鍛えてほしいと話している。これから知識労働へシフトするわけで、そのためには『AIにはまねできない意味』を理解し、適切な質問ができる人間にならないと使いこなせない」  さらに、

「ノーベル賞を受賞した本庶佑先生の話した6つのCが重要になる。curiosity(好奇心)、courage(勇気)、challenge(挑戦)、confidence(自信)、continue(継続する)、そしてconcentraition(集中力)だ。それと教科書を信じるな、教科書以上の答えをだせと言っている」  と話しています。 また、景気の拡大局面が続いているがとの問いに対しては、

「オリンピックや万博もいいけど、社会インフラを新しくすることからお金をかけないと。アベノミクスも株価を上げることだけ。経済のことは何もやっていない。最悪なのはゼロ金利。国民と企業の資産を担保に政府がカネを借りまくって、選挙民におもねっているような構図だ」  まさにその通り。 実はこの記事を読む前に、同じことを恩師への返信メールで愚痴ったばかりでした。

大丈夫か日本。富士山もいつか噴火するぞ。写真の富士山は変わらず美しいのですが。

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禅語を愉しむ -- 莫妄想 ーー

2019-01-09 14:26:28 | 日記

『禅語カルタ百句』から第5回。今回は「莫妄想」(まくもうぞう)という禅語です。この莫という字は、もともとは森林の中に日が沈むという意で、ひぐれを言ったようで、それが無字の意に借用して、なし・なかれの意に専用したと、漢和辞典にありました。

きちんと今の自分をみつめましょう。

妄想とは、実体のないものを実体あるもののように考えたり、思い込んで認識したりすることをいいます。人の心は、先入観を交えることで、不必要な分析や認識をしてしまい、あれこれ執著して、心を乱してしまいます。その戒めの言葉です。

出典は、『雲門広禄』巻一で、上堂 曰く、「諸和尚子、妄想すること莫れ、天は是れ天、地は是れ地なり、山は是れ山、水は是れ水」。調べてみますと、これは「日々是好日」と同じ、10世紀ころの中国の禅僧で雲門禅師の言葉のようです。

写真は、七里ヶ浜海岸の電線にとまる鳶の姿。鋭い目で睨みつけられました。その目は、「妄想することなかれ、余計なことを考えなければ、澄みきった心でいられるよ」と言っているようです。最近妄想癖があるように見られますが、自分では創造性豊かにモノを見るようにしているつもりですが、その想いが妄想かもしれませんね・・・。

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