(日記）花見

　桜も満開になり花見の話題もテレビなどで盛んに放送しているが、自分はここ、１０年ぐらい花見に出かけたことはない。現役のころは結構花見もしたが　（宴会が主だが・・・）年のせいか、出かける気にはならない。８０歳になるとすべてがなんとなく白けて見えるのだ。友達もあの世に行ってしまったものが多く、ますます孤独になってきた。でも、おかげさまでシルバーセンターの仕事が（植木屋）まあ少しあるので、その仲間とコミニケーションは少しあるので全くの孤独ではない。でも、自分の人生もあと片手で数えるぐらいになってきた。朝、新聞の最初に見る欄は「お悔やみ」の欄だ。何時も思うことだが、子育てをしているときは、早く子育てが終わってのんびりしたいと思っていたが、やはり、その頃の人生が今振り返ってみると、花だったと近頃、切に思うようになった。人間はいつも誰かのためになっていることが、たとえ、その時は苦しくても一番幸せであるようだ。

(日記）春めいてきた。

　「暑さ、寒さも彼岸まで」とのいわれの通り近頃は朝起きるのにだいぶ楽になった。日中もあたたかで、気持ちが良い日が続くようになった。しかし、年のせいかいよいよ盆
栽の植え替えが始めなければならない時期になり、頭の痛い日々である。４０代のころ思い切り集めたり、苗木から育てた盆栽が、植え替えの季節なのだ。３年に一度の植替えだが、年も８０歳になると苦痛である。植替え、剪定が終わって眺めているときは、非常にいい気分であるが、良くもこんなにも増やしたものだと、最近あきれ返っている。最近は好きな人に分けてやりたいと思っているが、だれも手入れが大変ということで、もらってくれない。まあ、手入れもおろそかになって、自然に枯れていくのを待っているしかない。あたまも自分の命のようだ。どっちが先に行くかわからないが、男性の平均寿命は８５歳ということのようだが、まあ、自分が先に行くかもしれない。

(日記）年寄りのたわごと

　ここの所仕事が（植木屋）あまりないので、散歩することが多くなった。この間いつものコースを変えて散歩したが、某中学校の門のところを通りかかた。ちょうど朝の登校時間であった。しかし自分の常識では考えられないことを見た。朝、先生が校門の前で登校する生徒に「おはようございます」と声をかけている。生徒の大半は無言で校内へ入っていく。自分が中学時代にはそんなことはありえないことだった。まずは生徒のほうから挨拶をするのが常識であった。また、先生が校門に出てきて、いちいち生徒に朝の挨拶をするなどは考えられないことであった。自分も間もなく８０になる年なので、自分が小、中、高と、過ごした時代とはこんなにも違ってきたのかと驚くばかりであった。
　自分が植木仕事で学校の先生を退職した家などに行ってお茶の時間にいろいろ話をしたときに、かねがね思っていることを言ってみた。「昔の父兄会が、P.T.Aに代わり、教育委員会などができてからは、生徒は生徒らしなく、先生も何か上からの圧力を感じているようだと話したら、「・・・さん(いいことを言ってくれるね」と現役時代のことをつくづく思い出してる様子であった。時代が変わったのだから学校も、先生も、生徒も変わって当たり前なのかもしれないが、自分にはいまだに「三歩下がって師の影を踏まず」ということが、今も頭にこびりついている。

(日記）

　だいぶ春めいてきたので、散歩も何時ものコースではなく、少し距離は多くなるが、かなりの道のりを歩いた。途中幼稚園のそばを通った。子供たちが元気いっぱい大声で叫びながら、休み時間らしく遊んでいた。最近学校や保育園、幼稚園の近所の人から騒がしくて近所迷惑という苦情が出ているという話を聞いたが、自分には非常に快く感じられた。近所の人も毎日であるから不快感を感じるのかとは思うが、子供の遊ぶ声は何となく平和な世の中を感じられる。我が家も家を建てたばかりは、自分のうちの子供と同じ年頃の子どもが大勢いて、学校が終わってそれぞれが集まって、大きな声で叫びながら遊んでいたが、風邪をひいて床に就いているときでも、非常に快く感じていたが、今の人たちは自分とは違う感覚になっているのかなと思う。今は家の近所も子供の声などはしないし、だいたい我が家を含めて、年寄り夫婦ばかりだ。子供の元気な声がしない最近は何となくさびしい限りだ。