音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

世界と寝た女

2008年10月11日 | インポート

Photo_3   ローリング・ストーンズのミックやキースと浮名を流した事で知られるウシ・オーバーマイヤーの半生を描いた邦題『愛の涯 私は風になった』を僕は観た。ロックンロールとセックスとドラッグ。まさしく60sを象徴するトップモデル、ウシの半生は破天荒だ。ヌードモデルとして身を立てるウシは、両親に反発し、家を飛び出す。やがて自由を求め、左翼のコミューンへ身を投じる。そこはすべてが自由だ。基本は裸体での生活。フリーセックスが当り前のように罷り通る世界だ。時は、1968年のベルリン。セックス革命のシンボルともなったウシはドイツで始めてのヌードモデルとなる訳だが、とにかく想像を絶する世界観だ。そして噂が噂を呼び、ついにストーンズから一通の手紙が届く…。

 コミューンでの性生活の節操のなさ、自堕落で淫蕩感に満ちたこの性描写は、圧巻の一語に尽きる。ウシ・オーバーマイヤー役は、褐色のエキゾチック美女のナタリア・アヴェロンが演じる。スタイルも抜群で、このキャスティングは見事だ。ミックとキース役の俳優も、本人の特徴を摑み、よく演じ切っている。陰影を巧みに用いたカメラワークで、実物と見紛うばかりの演出効果が光っていた。それにしてもこの映画でも明らかにされているけれど、キース・リチャーズとはかなり深い関係にあったようで、もしも冒険家で実業家でもあるボークフォーンが現れなかったら、その後キースと結婚をしていたかもしれないと匂わせる描写もあるので見逃せないところだ。

 1973年頃からは放蕩男、ボークフォーンとカスタムバスを駆り、見果てぬ世界行脚に旅立つウシだったが、結婚、流産を経て、再びキースと再会し、ボークフォーンの嫉妬の歯車が歪に回転しはじめる。

Das_wilde_leben_2

 最後はおまけ。この映画でウシ・オーバーマイヤーを演じたドイツ女優ナタリア・アヴェロンとフィンランドのメタル歌手ヴィッレ・ヴァロがデュエットする「サマー・ワイン」。凄いアヴァンギャルドな感じの曲なんだが、見方を変えると「銀座の恋の物語」みたいだ。でもこのヴィッレ・ヴァロは結構その道では名の知れた人だそうで、ゴシック・メタルバンドHIMのヴォーカリストだそうな。

 とにかくセックス描写旺盛で、思わず海綿体が膨張する映画であるが、ロック史やそのほか別の意味でも勉強させて貰った映画であるね。ナタリア・アヴェロンなんて魅力のある女優も知ったことだし…。


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2 コメント

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今晩は♪ (kingbee)
2008-10-11 23:50:56
今晩は♪
自分が見逃していたのかこの人のことはノーマーク、
全然知りませんでした。
結構ストーンズ関連の本を読んだりしましたが、
記憶にないんですよね。
ただのグルーピーの親玉みたいな感じで扱われていたんでしょうか?
アニタやマリアンヌとは格が違うって意味で?
それとも自分の記憶に残らなかっただけなのかイマイチわかりません。
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 今晩は、Kingbeeさん。 (活字中毒)
2008-10-12 00:13:51
 今晩は、Kingbeeさん。
 コメントどうもです♪
 ぼくも最初見たときはこの映画、空想の紛い物と思ってましたが、本編を見て吃驚しました。ストーンズ…特にキースとはかなり親密であったようです。結局すれ違いが多くて、キースとは結ばれなかったのですが(身体は結ばれていたようですが)、いずれにしてもキースの運命を握っていた女性だったのは確かなようです。キースもかなりぞっこんだったとか…。
 ぼくも記事を書く時は殆ど読んだ本の受け売りで、映像からこのようなエピソードを知る事になるとは思いがけない事です。しかしぼくは昔からゴキブリなみの触覚でそういうのを見つけ出すのが得意みたいです。今回も偶然ではなく、必然であるような…。行った先で欲しいものを手に入れる嗅覚も並外れているんですよ。こういうときは本来の野生の性質を取り戻すんですかねぇ(笑)。
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