|
怨霊孕む 価格:¥ 680(税込) 発売日:2006-05
(★★★★★) |
ミステリィ界の巨星堕つ!この言葉がもっとも似合う作家が亡くなった。西村寿行、その人である。氏は1970-80年代、森村誠一や大藪春彦らと共に時代を代表する人気作家だった。多数の職歴後、1969年「犬鷲」がオール読物新人賞佳作となると、堰を切ったように次から次へと傑作を世に放っていった。社会派ミステリィから海洋冒険ロマン迄幅広いジャンルで活躍した。初期の傑作『君よ憤怒の河を渉れ』を筆頭に、『梓弓執りて』、『霖雨の時計台』、『鬼狂い』、『怨霊孕む』、『咆哮は消えた』、『滅びの笛』などはどれも質、分量とも水準以上の出来であった。なかでも『咆哮は消えた』、『滅びの笛』は直木賞候補にもなった氏の代表作である。又、『犬笛』、『黄金の犬』、『化石の荒野』などの社会派ミステリィは映画化もされ、更に『化石の荒野』では先日なくなられた阿久悠氏が主題歌を手がけたことにも言及しておきたい。
|
咆哮は消えた 価格:¥ 580(税込) 発売日:2002-05
(★★★★★) |
氏の文体や筆致に惚れ込み、ノートの端に気に入ったフレーズを書き写した日々が昨日のことのように思い出される。夏の暑い日も、手放さなかった角川文庫はカヴァーが擦り切れるまで読み尽くした。大胆な性描写にどぎまぎしながら、血湧き肉躍る冒険小説に手に汗握りながら、そして理不尽な結末に涙しながら氏の作品を読み漁り、積んだ読書歴は確実にぼくに何かを与えていったのだ。訃報は今朝、会社の同僚から聞かされ急遽、この記事に差し替えることとしました。氏の全作品の2/3を読破した中途半端な読者ですが、氏の『幻の白い犬を見た』を手に取った中学生の頃から夢のような時間を提供して戴いた氏に、心から感謝申し上げ、哀悼の念を込めてこの拙文を送ります。
|
怒りの白き都 価格:¥ 620(税込) 発売日:1981-07
(★★★★☆) |
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます