音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

女優魂が結実したアメリカン・スリラー

2008年10月12日 | インポート

Captivity2_2

 エリシャ・カスバートが主演している『キャプティビティ』を観た。エリシャ・カスバートといえば近頃は『24-TWENTY FOUR』でも有名な女優さんだ。ひと言でいえば極セクシーな美女。でも同時に彼女には美人特有の印象の薄弱さはなく、インタビューでも生まれついた個性と芯の強さを感じる。

エリシャ・カスバート-インタビュー

 さて本題の『キャプティビティ』は、エリシャ・カスバート演じるジェニファーが何者かに誘拐、監禁され、拷問を受けるといったストーリーのサイコスリラー。一見すると『コレクター』の現代版かと思いきや、これがなんともエグイ内容で思わず眼を覆いたくなるシーンが続出する。絶望感からいえばこれまでの監禁ものとは比べようもなく過酷で苛烈極まりない。最初はこの完璧な牢獄からいかに脱出するかそればかりが頭を過ぎる。でも意外なところから突破口が現れるので愕然とする。

 でも少なからずこの手の恐怖映画はアイデアを出し尽くした感があるので、凡そ予測が出来る範囲の経過、結末を辿る訳だが、ラストの展開には正直失望した。捻り過ぎなんだよな。プロローグの映像とエピローグの映像とがリンクする辺りは頷けるけど、あの取って付けたような結末は素直に受け容れ難い。

キャプティビティ (特別編) キャプティビティ (特別編)
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2008-03-07

 どうも僕が観たのは日本向けに作られたいくつかのパターンの一つであるらしく、判っているだけでもスリーパターンくらいある。できたらこれ程の恐怖をヒロインが味わったのだから、せめてラストはありふれた日常に戻っていくような終わり方が望ましい気がする。

Photo_4

 ラストの不満はさて置き、囚われの身になり、決死の覚悟で犯人に挑んでいく辺りは、凄まじい人間の生きようとする強さを身に沁みて感じる。エリシャ・カスバートは可愛らしくて、可憐だが、なんとも思い切りのいい演技をするものだなと感服している。砂地獄の迫真の演技はエリシャ・カスバート自画自賛の見所である。

 毒と媚薬を同時に味わい、混沌と絶望が錯綜する残酷で美しいダークな映画。それが『キャプティビティ』を言い表すもっとも最適な言葉である。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿