U2に初め夢中だったのは弟の方だった。名前は忘れたけど初期のU2のシングル盤を弟は良く聴いていた。パンクに影響されたとは思えないソリッドなロックだった。
「俺はすかすかのロックは嫌いなんだ。ストーンズみたいに重厚なロックでないと痺れないのさ」
弟は僕のその台詞に不貞腐れていたようだけど、なんとなく奴の聴いている音楽にも興味がなかった訳ではなく、こっそりとレコードプレーヤーに載せて聴いたりしてた。ロックの概念など知る良しもない(今もそうだけど)頃の話さ。
そうして月日が流れて後にリリースされる事になる『ヨシュア・ツリー』で僕の周辺は一変する。時代はブルース回帰の風潮が高まっていた80年代後半、U2はこれまでのバンドのルーツをアメリカ音楽へと見出し『ヨシュア・ツリー』でガラッとバンドのイメージを変えた。そしてあのモダンブルースの大御所B.B.キングとの競演が話題となった『魂の叫び』で彼らが辿ったアメリカ音楽の旅は一通りの終結を迎えるのである。
でも僕が心底彼らの音楽を好きになったのは『アクトン・ベイビー』の「ONE」に於いてである。ロックは技巧ではなくハートだという事を密かにこの「ONE」は示している。なんて豊かな音楽なんだろう。そしてボノのヴォーカルは破天荒なデビュー当時に比べ、なんて情感が溢れるイカしたヴォイスをしているんだろう。そのヴォイスが深く僕の身体に染み渡って来る。年齢を重ねて行くうちに僕はロックがまだ見ぬ境地に導く力のあることに気付かされるのだ。それを証明するようなひとつの映像↓。メアリー・J・ブライジがカヴァーする「ONE」もなかなかイカしてる。バックはU2が務め、メアリー・J・ブライジを好サポートしているんだ。
ジョン・ライドンは「ロックは死んだ」といった。
ある意味これは的を射た言葉だと思う。
でも
何も見ないうちに途中で投げ出していくバンドよりも
僕はU2のように今も尚、試行錯誤を繰り返しながらでも、見果てぬ未知の場所へ僕達を連れて行ってくれるそんなバンドが好きだ。
伝説になるよりも
僕らは
伝説をこれから作っていくバンドに痺れるのさ。
そして、僕は「リアル・シング」に未来のロックの姿を見ている。
アクトン・ベイビー 価格:¥ 1,980(税込) 発売日:2006-11-08 |
-収録曲-
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