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音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

ロックを聴くっていうことは射精の代償行為のようなものだ

2009年05月08日 | インポート

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 ①山川健一責任編集『ルーディーズ・クラブ1』と鳥井賀句著『ハート・オブ・ストーンズ』

 最近読んでいるのが上の写真の二冊。山川健一責任編集による『ルーディーズ・クラブ1』(左)と鳥井賀句著『ハート・オブ・ストーンズ』(右)。いずれもだいたい20年前に出版されたもので、今なら、古本屋なんかでしかお目見え出来ない代物である。

 山川健一といえば作家であり、ザ・ルーディのヴォーカリストでもある。このヒト、ミック・ジャガーが初のソロアルバム『シーズ・ザ・ボス』をリリースした頃からなにかとメディアへの露出が増えていたよなぁ。書籍もジャンジャン出てて、とにかく読むのが精一杯だった。

 でも、なんで今頃になってこの二冊を読んでいるかというと、先日亡くなった忌野清志郎の記事をどこかで読んだ気がして書庫を探っていた時、偶然にも見つけてしまったのだよ。僕のblogネタは殆どが山川健一氏が書かれたものからの受け売りなので、この『ルーディーズ・クラブ1』も当時はずいぶんと読んだよな、と今更ながら思うわけだ。しかし僕の買ったルーディーズ・クラブものはたったこれ一冊のみで、その後はなぜか続けて買うことはなかった。鳥井賀句氏は有名なロック評論家。現在57歳だから、清志郎とほぼ同世代だよな。こちらも完全にストーンズにやられてしまっているおヒトだ。

 僕がローリング・ストーンズを聴いていた頃、まわりにはひとりもストーンズが好きな連中がいなくて、ずいぶん肩身が狭い思いをしていたもんだ。でも、友達はレコードを聴いたこともないのにやたらとストーンズに詳しかったりしてたよな。あれはなんなんだろうね。僕なんか歌詞カードさえ碌に読んでなかったもんな。で、あわててストーンズ関連の本でストーンズ史の穴埋めをしていったようなわけだ。『ハート・オブ・ストーンズ』は、鳥井賀句氏がストーンズについてこれまでから綴ってきた文章を一冊にまとめたもので、ミックとキースが出会う瞬間からビギナーにも判りやすい語り口で書かれている。最後には、『スティール・ホイールズ』発表記念対談(小暮武彦、山川健一、鳥井賀句)なんかも収められた、ビギナーにはとても親切な内容になっている。

 ②中山康樹著『ミック・ジャガーは60歳で何を歌ったか』(幻冬舎新書)

ミック・ジャガーは60歳で何を歌ったか (幻冬舎新書)

 中山康樹著『ミック・ジャガーは60歳で何を歌ったか』(幻冬舎新書)を読んでいてずっと思っていたことを僕なりにblogに綴ってみることにした。

 子供の頃はロックなんか聴いていると親はあまりいい顔はしなかったもんさ。でもおとなになってからロックを聴いても親は子供のときほどがみがみ言わなくなった。そこそこ大人になったら僕も演歌を聴いて、酒場で上司の悪口を言って、怒られてばかりのサラリーマン人生を送っていくのだろうなと思っていた。

 ところが、気がつけば40も半ばになっても相変らずロックを聴いている。20年前に抱いていた中年像は今の僕には、ないのだ。「俺達はロックがキッズ・ミュージックじゃないことを証明してみせる」。キースのこの言葉に踊らされるようにずっとストーンズの後を追いかけていた。けれど、これが意味することを僕や僕以外のファンはあの当時、誰もわかっていなかったはずだ。50歳のストーンズはなんとなく想像が出来た。でも、60、70歳のストーンズはこの時点ではあくまで希望的観測に過ぎなかっただろうと思う。有言実行のストーンズだからそこそこ理想に近づけるだろうとは思っていたけれど、結成40周年を迎え、最早、ストーンズはロックでは前人未到の領域に入り始めている。

 僕は若い頃、「ロックを聴くっていうことは射精の代償行為のようなものだ」と冗談めかして公言していた。いずれロックなんか聴かなくなるし、コンサートへも足を運ばなくなる。それが大人になるって事なんだ。そう思っていたのに、ストーンズによって悉く、その理想像というやつは瓦解されていった。ストーンズのメンバーはもうれっきとした老人だし、彼らを聴いていた僕らも中年を過ぎ初老の仲間入りをしている。最近では何かしらの薬を飲んで騙し騙し生きている。ほんの少し走っただけでも息切れがして、飲み会があっても二次会は断るようにしている。彼らの映画を観ると、だんだん僕達との年齢の差が開いているような錯覚を覚える。なんでストーンズはあんなに元気なんだろう。どうしてこんなに長くロック・バンドを続けていけるのだろう。おそらくその答えが見たくてこれからもずっとストーンズを見守っていくのだろうと思っている。

 


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