音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

吼える狼

2008年07月16日 | 日記・エッセイ・コラム

Howlin_wolf_4

 燦々と真夏の太陽が照り付ける中、こともあろうに草刈りなんぞに勤しむ朝。余りの暑さに持参したペットボトルの水をあっという間に2本共空にする。田舎に住んでいると百姓でもないのにこうした事は当然の日課になる。敷地内の草は父親が病に臥せてからは手入れをしなくなり、草の茎が竹のように硬く太くなっている。回転する円盤の刃先がその頑丈な茎をバリバリと薙ぎ倒していく。こんな手ごわい草は一度中間で刈り取ってからそのあとで根元近くを刈るのがコツだ。敷地は地面が土で凸凹している。だから余りに深く刈り取ろうとすると渇いた土煙が舞い上がって不覚にも目をやられる。幸い僕は眼鏡をかけているのでそれが防護的な役割になっている。額から腋から汗が滴り、汗をシャツが吸って重たくなる。セミが鳴いている。その声が更に暑さを際立たせているようだ。

 我慢しきれず、木陰に逃げ込もうとすればこんな朝に冷房をガンガン効かせた車内で居眠りを決め込む輩が…。「おい、俺はこんな朝っぱらから色褪せたTシャツに、破け放題のジーパンを履いた長靴姿で糞暑いさなかこうして草刈りをしてんだぞ、判ってんのかこの野郎! なに朝から仕事もしないで寝てるねん!」…ってお前が言うな、って話だ。…っていうかこんな見ず知らずの人に毒舌吐けるかよ、って話だ。背後からだと断熱カーフィルムを貼った車内は見えないので離れた場所でそれでも睨みつけてやる。軽自動車のバンなんでおそらくサラリーマンだと思うが、もしかしたら恐いおにいちゃんだったら対処の術がない。ああそうか、俺は草刈り機を持ってるんだった。最悪これを振り回せば何とかなるな(恐い発想するな!)。しかし木陰が占拠された現状ではなす術はなく、すごすごと退散するしかないのだ。帰って久し振りにブルースでも聴くかっ! 嗚呼、都会にすみてえなぁ。でも…すぐその暮らしには飽きてしまうのだろうなぁ。弄繰り回したクリアーな音楽のように、なんの味気もない都会での暮らしは僕には合わんのかもしれん。ハウリン・ウルフはギターを弾いているより、ブルースハープを吹いている姿が自然でグッとくる。吼える狼。この名前をきいたときからずっとこのブルースマンの虜になっている。

♪Howlin' Wolf-Evil