今夜は久し振りにビール片手にローリング・ストーンズの『スティッキー・フィンガーズ』を聴く事にした。この頃のものはなぜか腰を据えて聴いた事がないので、久し振りとなると新鮮だ。僕が持っているのはソニーレコーズのCD。LP盤はジーパンの股間にファスナーが付くという念の入れようでかなり凝った作りのアルバムだったのを記憶している。
テイラー期のアルバムは追体験によるもので、この『スティッキー・フィンガーズ』もストーンズがソニーレコーズに移籍した頃に購入した。初回盤は確かレーベル面が銀色、僕が所有している奴は黒色なので、どうも何度か再販された内の廉価盤を僕は買ったらしい。廉価盤だから値段が超安い!だが、デジタルリマスターされていないこの頃のものは、アナログ的に音が籠もった感じがして好きだ。最近は何でもかんでもリマスターしたがるけど、レコードの耳障りなノイズを嫌ってすこしくらい高くてもCDを買っていただけなのに、音が良過ぎて原曲の良さもぶち壊すような技術的配慮には些か疑問を感じる。
この頃のロックなアルバムを聴くと追体験なのにカネのなかった少年時代を回想させる。容易く高価なレコードを買えなかった時代に対して、今はネットでしかも安く手に入る。あの頃に比べて今は物も大事にしなくなったし、物の価値観も随分変わってきた。技術躍進や合理化が進む一方で、僕らはレコードの持つ古色蒼然とした存在感や暖かさを喪ったような気もしている。
スティッキー・フィンガーズ 価格:¥ 2,548(税込) 発売日:1994-08-31 |
―収録曲―
- BROWN SUGAR
- SWAY
- WILD HORSES
- CAN'T YOU HEAR ME KNOCKING
- YOU GOTTA MOVE
- BITCH
- I GOT THE BLUES
- SISTER MORPHINE
- DEAD FLOWERS
- MOONLIGHT MILE
僕は今までずっとストーンズを愛してきて良かったと思っている。同じ思いを共有できる人にも出会えたし、ブログで自己啓発する事も叶った。ストーンズを愛する事は異性を愛する事とは又別の次元に位置付ける事なのは言うまでもない事なのだが、僕の場合は常に特別な存在であった事だけは確かだ。
僕は今、『スティッキー・フィンガーズ』を耳にヘッドフォンを当てながらひとつひとつの音を聴き逃すまいと努めながら聴いている。ストーンズは何回聴こうが何十回聴こうが何百、いや何千回聴こうが常に新しい発見があると思う。生きている内に果たして何度こんな感想を抱きながら聴けるのかは今の段階ではいえないけれど、このアルバムに限らず、ストーンズが作り出したアルバムの音作りは、今にして思えば緻密に計算された所以だとも思うのだ。『スティッキー・フィンガーズ』…純な人であれば、意味を知れば顔を赤らめてしまうようなタイトルだ。この頃に比べると、『ア・ビガー・バン』はなんて紳士的で、知的なんだろう。ストーンズはたえず時代を見据えてアルバムを作ってきた。それがアルバムにしっかりと何の虚飾もなく刻み込まれた。それだけ今の世の中が平穏で豊かになった証なのだろうか。「少しばかりつまらなくなったな」、そう思うのはたぶん僕だけではあるまい。
♪I GOT THE BLUES
ソウルバーでレコードを聴くと
CDには無い艶っぽい音色を感じますね~
少々のノイズなんて気にならないし
コメントどうもです♪
そうですね~やっぱぼくもCDよりもLPの音色の方が癒されるというか落ち着きますね。しかしCDにはなかった良さに気付いたのは実は最近なんです。たまたまCDとLPの音源を聴き比べていた時にLPのほうが肌触りが柔らかな事に気づいたんです。CDが持つ硬質感はジャズなんかだとそれなりに雰囲気を楽しめますが、カントリーやブルースには似合わない気がします。しかし最近、限りなくアナログに近い音を追求するロックバンドも増えてきているので、アナログの良さを再評価するこの流れにも今後眼が離せませんね。