音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

ROLLING STONES / SHINE A LIGHT

2008年04月08日 | Rolling Stones
ザ・ローリング・ストーンズ×マーティン・スコセッシ「シャイン・ア・ライト」O.S.T. ザ・ローリング・ストーンズ×マーティン・スコセッシ「シャイン・ア・ライト」O.S.T.
価格:¥ 3,800(税込)
発売日:2008-04-09

 正直なところ、20年も30年も同じロックバンドを聴き続けるということは大変な忍耐が必要になる。ぼくが夢中になっていた頃にはよもやこんな時が来るとは考えずに聴いていたのだけれど、さすがにスタジオ盤なんて通算すると何十回、何百回と聴いている訳で、もういい加減好きな連中でも飽きてくる。しかしそんななかでもローリング・ストーンズだけは別格のバンドであった。とりわけ目を瞠るのは彼らのパフォーマンスのかっこよさだけれど40年以上という音楽キャリアにも熟成したワインに似た芳醇さがあって、曲のひとつひとつが粒選りで完成度の高いのも彼らの魅力であった。

 マーティン・スコセッシ監督の映画『シャイン・ア・ライト』の上映に先駆け発表された同名のオリジナル・サウンドトラックはマーティン・スコセッシ監督自身も解説で語っている通りその映画の感動を耳で体験できるアルバムに仕上がっている。映画は今から2年前の秋にニューヨークのビーコン・シアターで行った2回のライヴを映像化したものだが、この撮影場所の決定にはかなりな時間を掛けたようだ。しかも場所と日程が決まった後でも曲目がなかなか決まらず、なんとコンサート直前までマーティン・スコセッシ監督には知らされなかった経緯が解説には書いてある。ストーンズは莫大な数の曲を全て覚えている訳ではなく、厳選した後も曲を覚えなおす作業を強いられる。したがってリハーサルで違和感なく流れるような演奏をするためには曲順を決めることが最大の難関であるのだ。ストーンズが全ての曲を覚えていないというのは以前読んだ本にも書いてあったのでさほど驚かなかったけれど、マーティン・スコセッシ監督自身が語っている通り、何でも容易くやり遂げると思っていたストーンズがじつは相当な努力によってこれらを乗り越えているのを知って素直に衝撃を受けたことも書かれてあるので非常に面白く読めた。それではこの辺でサウンドトラックに収録されているラインナップを―。

DISC ONE

01.JUMPIN' JACK FLASH

02.SHATTERED

03.SHE WAS HOT

04.  ALL DOWN THE LINE

05. LOVING CUP with Jack White Ⅲ

06. AS TEARS GO BY

07. SOME GIRLS

08. JUST MY IMAGINATION

09. FARAWAY EYES

10. CHAMPAGNE & REEFER with Buddy Guy

11. TUMBLING DICE

12. BAND INTRODUCTIONS

13. YOU GOT THE SILVER*

14. CONNECTION*

DISC TWO

01. MARTIN SCORSESE INTORO

02. SYMPATHY FOR THE DEVIL

03. LIVE WITH ME with Christina Aguilera

04. START ME UP

05. BROWN SUGAR

06. (I CAN'T GET NO)SATISFACTION

07. PAINT IT BLACK

08. UNDERCOVER OF THE NIGHT

09. LITTLE T & A*

10. I'M FREE

11. SHINE A LIGHT

 こうしてみるといつものようにかわり映えしないラインナップなのだが、サウンドトラックなのに2枚組みのヴォリュームっていうのがストーンズらしいといえばストーンズらしい。このラインナップでひと際目を惹くのが豪華なゲスト陣だ。ジャック・ホワイトという人物は勉強不足でわからなかったけれど、バディ・ガイは80年代から良く知るブルースマンだ。マディ・ウォーターズや勿論ストーンズとも交流があってマディ・ウォーターズとストーンズのギグに飛び入り参加したのを映像で観た覚えがある。最大の驚きはクリスティーナ・アギレラの参加であろうか。聴いてもらえればわかると思うけど、この迫力のあるヴォーカルは完全にストーンズを喰っているなと思う。

 それからこのアルバムでの特筆すべきはキースがヴォーカルをとったDISC ONEの「YOU GOT THE SILVER」「CONNECTION」とDISC TWOの「LITTLE T & A」の3曲(ラインナップでは曲の最後に*と記した。これがキースがヴォーカルをとったストーンズナンバーである)。キースの情感豊かなヴォーカルは若い頃の一本調子で荒々しさだけが目立つヴォーカルスタイルからは想像も出来ない変化だ。「YOU GOT THE SILVER」はもしかしたらオリジナルを超える出来栄えじゃないかな。ライ・クーダーばりのスライドギターがいいね。弾いているのはロニーかな。「CONNECTION」もキースのソロプロジェクトのライヴでも取り上げた一曲なんだけど、こちらのほうが断然いい。それに付け加えるとこのアルバムでのダリル・ジョーンズの存在が光っている。「LITTLE T & A」の間奏部分ではダリルのいかしたソロを聴くことが出来る。DISC ONEの「AS TEARS GO BY」と続く「SOME GIRLS」もいいね。こんなに古い曲ばかり集めても少しも古臭くないところがストーンズの魅力だ。新曲を一曲も入れなかったのが意図的であることがわかる。個人的に良かったのは『アンダーカヴァー』に収録されていた「SHE WAS HOT」と「UNDERCOVER OF THE NIGHT」の2曲。オリジナルとはまた一味違う毒気が抜けた感じのこの曲は久しぶりに聴いたが、新鮮で、それでいてなぜか懐かしさに包まれていった。それになぜかこのアルバムを聴くとオリジナル盤のほうも久しぶりに聴きたくなるから不思議だ。『SHINE A LIGHT』は呆れるくらい元気で、いかした男達の新作だ。それにしても、ストーンズもバディ・ガイもとっくの昔に引退していてもおかしくない年齢なんだもんね。恐れ入りました。

<script type="text/javascript" src="http://www.universal-music.co.jp/blogparts/JS/rollingstones0803_L.js"></script>

記事の参考にしたストーンズ情報

●ストーンズの最新情報をメルマガで⇒《Mike's Rolling News of THE STONES

●『シャイン・ア・ライト』ニューヨークプレミア⇒パレス・ホテルでの記者会見

●woodstockさんのブログ⇒《BEATな日々

 


ROLLING STONES / DON'T STOP

2007年12月15日 | Rolling Stones
フォーティー・リックス

 今夜紹介する『FORTY LICKS(オールタイムベスト)』でシングルカットされたストーンズの「Don't Stop 」のPVは一般にオンエアーされたものはあまり好きではない。結成40周年記念アルバムと銘打ったベスト盤ながら、そこにはお約束の新曲が入っている訳で、その新曲目当てに買うぼくのようなアホにはやはり新曲PVも観逃がせない購入動機になっていることは確かだ。けれど、新曲の出来はともかくこの「Don't Stop 」のPVは実写とアニメが融合した凝った作りながら久々に見るストーンズのメンバーの姿は殆ど映っていないし、PVがそんなだから不思議なことに肝心のサウンドのほうも希薄なものに聴こえてしまう。期待が大きかっただけに同じくらい落胆も大きかった訳だ。

 ところが最近You TubeでこのPVを凌ぐばかりか、もっとポップでセンスのある映像がアップされているのを見つけて感涙の極みを味わう瞬間に出会ったのだ。ひとつは一分弱のアニメーションながら、メンバーの特徴を良く捉えたユニークのある映像で、オチも最後に付いていて、思わずぷっと吹き出してしまった。もうひとつはトロント・クラブのギグの模様を捉えた2002年のライヴ映像です。この映像を観ると会場は数百人程度を収容可能なライヴハウスみたいだ。メンバー以外のコーラス隊もお馴染みのメンツなのにどこかいつもの雰囲気と違っているのは、オーディエンスとの距離感をあまり感じないのがいいのかもしれない。こんな映像を見せられると、どういうわけかサウンドも良く聴こえてしまうから不思議だ。今宵「Don't Stop 」再評価の機会を与えてくださったYou Tubeさんに感謝いたします。

ROLLING STONES-DON'T STOP


Rolling Stones / One Hit (To The Body)

2007年12月01日 | Rolling Stones
ダーティ・ワーク

 作家・山川健一氏の昭和61年初版発行の『ロックンロール・ゲームス』には『ダーティ・ワーク』発表直後のキース・リチャーズのインタビューが掲載されている。キースにサインを強請る為にテレキャスターを持参して意気揚々と東京を発った山川氏は、ニューヨークはセントラル・パークの南側に面した、エックス・ハウスというホテルにチェック・インした。一泊200ドルもする高級ホテルだが、全てはレコード会社が支払ってくれるので身銭は出さなくていい。この悪運の強さは持ち前のものだ、というようなことが書かれてあったように思う。

 当時覚えているのは『ダーティ・ワーク』が真っ赤なセロファンで包装されていた事とライナーノーツが『ロッキング・オン』の渋谷陽一氏であった事くらいだ。あらためてライナーを読み返すようなことはしないけれど、ツェッペリン・フリークの渋谷氏がこのアルバムを絶賛していたのが意外というよりも不思議だったのを覚えている。

フォーティー・リックス フォーティー・リックス
価格:¥ 3,670(税込)
発売日:2002-09-26

 最近のストーンズのライヴでは『ダーティ・ワーク』のナンバーは殆ど使われていないし、ヴァージン・レコードから発売されたオールタイム・ベスト『フォーティー・リックス』にもこの頃のナンバーは外されているのだ。ミックがこの頃のものは縁起が悪くて嫌ったのかも知れない。そんな訳で、ぼくはこのアルバムだけはいつも手元に置いておかなくはならない訳だ。

 キース主体で製作された『ダーティ・ワーク』は『メインストリートのならず者』以来のギター・ミュージックで、キーボードが極力抑制され、ギター・リフが主体に構成された正真正銘のロックアルバムだった。兎に角、ギター・リフの洪水だった。特筆すべきはチャーリーのドラムがいつにもまして大音量なこと、ミックの過剰にシャウトしたヴォーカルなどが特徴だった。ソーニー・レコード移籍第一弾。プロデューサーにスティーヴ・リリィ・ホワイトを起用したのはキースの意向であったらしい。このアルバムからの第一弾シングルは「ハーレム・シャッフル」だったが、このファースト・シングルの提案者は山川氏のインタビューからミックだということが分かっている。セカンド・シングルの「ワン・ヒット」でアコギを弾いているのはロニー。アコギにエレキを被せた演奏スタイルはキースの発案らしい。このナンバーはストーンズ史上もっとも刺激的なナンバーだがPVを観るのは久しぶりのことである。なにしろこのPVは最近You Tubeにお目見えした貴重な映像であるからだ。素直にこの映像をアップロードされた方に感謝申し上げます。

One hit (to the body) - The Rolling Stones


Rolling Stones / Flashpoint

2007年11月04日 | Rolling Stones
フラッシュポイント

 「Urban Jungle Tour」の名目で1991年にリリースされた『Flashpoint』は数あるストーンズのライヴアルバムの中でも今ひとつ人気がない。だから一度、廃盤の憂き目にあった事のある曰く付きのライヴアルバムである。確かにこれまでとライヴ盤と違って音がクリアーで耳障りが良いし、定番曲が殆ど占めるセットリストながら、ひとつひとつの曲に妙に纏まりがあるのが特徴です。往年のファンなら誰しも頷く選曲なのに売上げを伸ばさなかった理由がその妙な纏まり方にあるようです。それではまずラインナップを見て頂きましょう。

 1-(Intro)Continental Drift

 2-Start Me Up

 3-Sad Sad Sad

 4-Miss You

 5-Rock And A Hard Place

 6-Ruby Tuesday

 7-You Can’t Always Get What You Want

 8-Factory Girl

 9-Can’t Be Seen

10-Little Red Rooster

11-Paint It Black

12-Sympathy For The Devil

13-Brown Sugar

14-Jumping Jack Flash

15-Satisfaction

16-Highwire

17-Sex Drive

 このアルバム用に作られた新曲のスタジオ録音2曲を含む殆どベストラインナップ。10曲目のハウリン・ウルフの「Little Red Rooster」なんかあのエリック・クラプトンが参加している! しかもライヴのセットリストではあまり見かけない「Factory Girl」なんかが8曲目にエントリーされていたりして、実質、「Steel Wheels Tour」のライヴ盤となっているのだ。有名曲ばかり取り揃えた内容なのに未だに不人気なのが良く判らんライヴ盤です。もっともぼくも『Love You Live』のCDを買ってからは殆ど聴かないけど(笑)。でも「Jumping Jack Flash」だけは『Love You Live』のよりこっちのほうが間違いなくいいです。それではこの辺でこのアルバムの収録曲の中でスタジオ録音されている「Highwire」と「Sex Drive」のPVをご覧ください。「Highwire」のPVを観るのはぼくも初めてです。

Rolling Stones - Highwire

Rolling Stones-Sex Drive


凄い映像見っけ!

2007年10月25日 | Rolling Stones

 今夜は久しぶりにいつもより早く会社を退けたので帰宅してすぐPCを起動させ、早速You Tubeを立ち上げた。暫く、ストーンズ関連の映像を検索していると程なくしてヒットしたこの映像。自宅か楽屋のソファで寛ぎながらギターを思いっきり掻き鳴らす二人のブルースマン。そう、我がアイドル、キース・リチャーズとロン・ウッドです!僅か一分半の映像ながらこのギターワークは最高です!随所にキース独特のリフが飛び出すは、もう縦横無尽に弾きまくってます。これは凄い!この二人の息の合ったギターバトルはライヴだけではなかったんだ!

Keith Richards and Ronnie Wood Jamming