中村彰彦著、文春文庫刊
中村さんの著作を初めて読みました。
そして本書の主人公である立見尚文を、本書で初めて知りました。
日本の軍人として大きな足跡を残した立見尚文を描いた小説ですが、著者は膨大な資料を基に、「見てきた様に」生き生きと描いています。
後書きによれば、幕末の闘いでは旧幕側で戦い、鬼神の様な闘い振りで戦場を駆け抜けた後、明治政府で裁判官の職を得たものの、軍人を志し、持ち前の能力と胆力で大きな実績を積み上げ、数々のハンディを乗り越えて栄達し、後世に残る名を成したそうです。
著者は主人公を実に生き生きと描いていて素晴らしい。
伝記物と異なる作者の視点から描いた快男児が、本書の中から浮かび上がってきます。
伝記と小説の違いを超えて、対象人物を見事に活写している様に思います。
無論、作者が解釈した人物像には違いありませんが、伝記であっても、取り上げるトピックや解釈で人物像が大きく異なってしまう可能性があることを思えば、本書の様に「小説」として描くことは、大きなメリットがある様に思います。
快男児の生き様に触れて、清々しい息吹を実感出来ました。
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○中村彰彦 ○立見尚文
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評価は4です。
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