読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

高峰秀子が愛した男

2024年05月28日 09時00分22秒 | ■読む

斎藤明美著、ハースト婦人画報社刊
著者は、出版社勤務の時期に高峰秀子さんの担当となって仕事の遣り取りをする内に親しくなり、松山善三さんとも交流し始め、やがて深い交わりを経て、お二人の養女になったようです。

本書は、日本の映画史に残る名女優として活躍された高峰さんが、唯一心を許した夫である松山善三さんの在り方を描いています。

松山さんは、不幸な育ちと父親との確執を経て、唯一無二とも思える個性と人格が形成されたようです。
月給一万円余の助監督とその百倍の賃金を得ていた人気女優の結婚に、世間は大いにざわめいたようです。

本書によれば、交際を経て、松山さんが求婚したとのこと。
周囲の近しい人々は絶句したとのこと。
それでも二人の前途を祝したことは、お二人の人柄故なのだろうと思います。

大女優が何故、先の見込みも定かでない男との結婚を望んだのか、本書を読んで理解できました。
妻を守り抜くという意思を最後まで貫いた松山さんの天晴れな生き様です。
松山さんご自身の来し方と硬い意志の賜であったろうと思います。

高峰さんは、ご自身の性質と背負っていた測り差しれない重荷故に、人生や世界をシニカルに見る様になって居た時に、思いもよらいくらいに真っ正直な松山さんと出会い結婚を決めたのでしょう。
本書で松山さんの希有な個性を実感できます。

ネットで著者の斎藤さんのお顔を拝見した所、意志の強い鋭いお顔立ちに見えます。
高峰さんは、初め尻込みする斎藤さんが、夫に馴染むよう設けた食事の際の挿話が、斎藤さんの性格を表しているように思います。
ご自身で書いたエピソードなので、本当のことなのでしょう。
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斎藤明美  ○松山善三
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評価は4です。

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カメラまかせ 成り行きまかせ  〇カメラまかせ 成り行きまかせその2


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