東芝-10万円前後で初のフルHD録画対応の新HD DVDレコーダー-
(2007/11/01 Itmedia・日経・CNET)
東芝は10月31日、HD DVDレコーダー「VARDIA RD-A301」を12月中旬に発売すると発表した。MPEG-4AVCを採用し、フルHD番組を1層DVD-Rに最長約2時間記録できる「HD Rec」に初めて対応した。
価格はオープン。実売予想価格について、発表会に出席した同社の藤井美英上席常務は「価格は販売店が決めることだが、HD DVDレコーダーが10万円を切ってほしいという期待が強い。新製品は期待の値段で出すということ」と話し、10万円前後の普及帯価格になる見通し。
次世代DVDレコーダーでは、BD(Blu-ray Disc)陣営のシャープも実売10万円前後のレコーダーを12月に発売する予定で、東芝の戦略機投入で価格競争も本格化しそうだ。藤井上席常務は「次世代DVD戦争を今年中に終わらせると言ったが、撤回する、もう少し長い目でHD DVDをプロモートしていきたい」と話し、規格争いも長期化しそうだ。
新製品は7月に発表した「RD-A300」の後継機種。HD DVDドライブ(2層HD DVD-R対応)と300GバイトのHDDを搭載。3波対応デジタルチューナー2系統と地上アナログチューナー1系統を備える。
目玉機能は「HD Rec」。MPEG-2で録画した番組を新開発の「HDトランスコーダー」でMPEG-4 AVCに変換し、現行DVDにフルHD番組を残せる。
ただ、発売時点ではHDトランスコーダーを利用したHDDへの直接録画には対応しておらず、HDD内での変換が必要となる。HDDへの直接録画はバージョンアップにて対応予定。
HD Recは、DVDフォーラムが策定した規格。HD DVD-VRフォーマットで現行DVD-R/RW/RAM(CPRM対応)を初期化し、MPEG-4 AVCで圧縮したフルHD番組を、次世代DVD用の著作権保護規格「AACS」を使って記録できるようにする。
HD Rec規格の条件として「3倍速以上の読み出し速度」が挙げられているため、RD-A301では搭載ドライブの制限からHD Recの公式対応メディアはDVD-Rのみだが、DVD-RW、DVD-RAMでもフルHD記録は可能という。
MPEG-4 AVC記録のビットレートは3.4Mbpsから17Mbpsまで47段階。3.4Mbps時、1層DVD-Rなら2時間15分、2層なら4時間18分のフルHD記録が可能としている。
デジタルハイビジョン放送のデータ方式「MPEG2」をより圧縮効率の高い「MPEG4-AVC」方式に変換することで、DVD-Rに約2時間のハイビジョン映像を記録できる。300Gバイトの内蔵HDDには従来39時間ほどハイビジョン記録ができたが、「MPEG4-AVC」方式だと約4倍の159時間ほど記録できる。HD-DVD-Rディスクへの録画も可能。「MPEG4-AVC」方式で記録したDVDは現時点では他製品での再生はできない。
デジタル放送の新録画ルール「ダビング10」(コピー9回+ムーブ1回)にも将来アップデートで対応する予定。
東芝の液晶テレビ「REGZA」のリモコンで操作できるようにするHDMI連動機能「レグザリンク」や、対応CATVのセットトップボックスと録画予約連動する機能なども備えた。
サイズは430(幅)×375(奥行き)×69(高さ)mm。前機種「RD-A300」から29mm薄くなった。
発表会冒頭挨拶を行った東芝、デジタルメディアネットワーク社社長の藤井美英氏は「北米でのHD DVDシェアは9月末までの累計シェアで55%、パッケージソフトも300タイトルを突破し、年末には500タイトルへ増加する予定。AVのみならずPC市場においても、世界シェアで60%以上のPCメーカーがHD DVDを支持しており、HD DVD搭載のPC市場も拡大傾向にある」とBDに対する優位性を述べた。
KDDI-他社に対抗して来春モデルにはGSMを初搭載へ-
(2007/11/01 日刊工業新聞)
KDDI(au)は08年春に発売する携帯電話端末に、欧米で普及する第2世代(2G)携帯電話規格「GSM」の搭載を決めた。同社が自社端末にGSMを採用するのは初めて。第3世代(3G)携帯電話への移行を進めてきた同社にとって後退とも見られる対応。しかしNTTドコモやソフトバンクモバイル(SBM)がGSM搭載を強化しており対抗に踏み切る。
GSMの搭載でユーザーは自分の携帯電話を海外に持ち出してそのまま通話や簡易メール(SMS)を利用できるようになる。日本ではSBMが旧ボーダフォン時代にGSM搭載を積極的に推進。今秋冬に発売する新モデルでも5機種に採用している。
一方、NTTドコモは「W-CDMA」、KDDIは「cdma2000」という自社が採用する3G規格の国際利用を優先させる戦略をとっていた。しかし海外では依然GSMが圧倒的で、3Gの普及速度は期待したほど進んでいない。このためNTTドコモは当初の方針を転換し、今秋冬に発売する「905i」シリーズでGSM搭載を一気に進めることにしている。
日本の携帯電話は2Gで日本独自規格「PDC」を採用。これが海外では普及せず、結果として日本の端末メーカーの海外展開を遅らせる要因ともなった。NTTドコモやKDDIは2Gでの反省から国際標準規格である3Gへの早期移行を進めたが、それも順調には進まず結局GSMを採用せざるを得ないという皮肉な状況に陥っていると言えそうだ。
米アイ・ファイ-無線LAN通信機能内蔵のSDカード-
(2007/11/01 毎日新聞)
米アイ・ファイは30日(米国時間)、メモリーカードの「SDカード」に無線LAN通信機能を内蔵した製品「アイ・ファイ・カード」を発売した。デジタルカメラで利用すれば、撮影した写真をカードに記録すると同時に、ワイヤレスでパソコンに転送できる。
大きさ(縦32mm、横24mm、厚さ2.1mm)は通常のSDカードと同じだが、通信機能が埋め込まれており、ケーブルなしでデータを送れる。記憶容量は2GB。802.11b/g/n規格の無線LAN機器と通信できる。
パソコンを経ずに写真共有サイトへ直接、画像を送ることも可能。あらかじめ設定しておけば、カードからアイ・ファイ社に写真が転送され、同社が整形した上でサイトにアップロードされる。米フリッカーなど17社のサイトが、この直接転送に対応した。
ワイヤレスで転送できるのはJPEG方式の画像だけだが、データの大きさに制限はなく、そのままのサイズで送れる。価格は99.99ドル。Mac OSにも対応した。
インテル-新プロセッサ「Montvale」を発表・1年後には「Tukwila」-
(2007/11/01 CNET)
インテルは10月31日、エンタープライズ向け製品の「Xeon」および「Itanium」の方針説明会を開催すると共に、同会場で最新のItaniumである「デュアルコア インテル Itanium プロセッサ 9100番台」(開発コード名「Montvale」)を発表した。
Intel デジタルエンタープライズ事業本部 副社長 兼 サーバプラットフォーム事業部長のKirk Skaugen氏はMontvaleについて、「性能が向上したのはもちろんのこと、メインストリームの価格でメインフレームクラスの信頼性を実現する『コアレベルロックステップ』や、電力効率を向上させる『デマンドベーススイッチIング)』などの機能が備わっている」と説明した。
コアレベルロックステップは、2つのロックステップコアが1つの論理CPUコアであるかのように動作し、コアとソケットのそれぞれで演算結果のデータ整合性を確認する技術で、信頼性や可用性が向上する。また、デマンドベーススイッチングとは、プロセッサの利用率が低い時に消費電力を下げる技術で、OSと連動して動作する。Skaugen氏は、「日本はアメリカより電力コストが高いため、特に日本に適した機能」とアピールした。
日立製作所やNEC、富士通、日本SGI、日本ヒューレット・パッカード(HP)、日本ユニシスなどの各OEMメーカーもMontvale搭載機を同日もしくは近日中に発表する予定。Skaugen氏によると、東京証券取引所では、メインフレームから富士通のItaniumサーバ「PRIMEQUEST」への移行を予定しているという。
インテルでは、08年後半にMontvaleの次のItaniumプロセッサとなる「Tukwila」(開発コード名)を発表する予定。Tukwilaはインテルにとって最初の20億トランジスタ搭載製品で、Skaugen氏は工場からできたばかりのTukwilaを日本で初公開した。Skaugen氏によると、Montvaleは性能よりも高可用性に注力したため性能倍増とはならなかったが、「Tukwila、またその次の世代のPoulsonでは性能倍増が実現する」と話す。
一方のXeonは、11月12日(日本では13日)に45ナノプロセス製品の「クアッドコア インテル Xeon プロセセッサ 5400番台」およびそのチップセットが発表される予定。5400番台では「インテルCoreアーキテクチャー」が改良されており、同じクロック周波数でもより高い性能を発揮する。
インテルは、これまでソケット数やコア数などで製品を分類していたが、「これからは用途別に製品を分類する」(Skaugen氏)としており、今後は「ミッションクリティカル」「高拡張性」「効率的性能」「エントリー」「ワークステーション」という分類方法を用いることになる。ミッションクリティカル分野はItaniumを、その他の分野はXeonを提供する。
TDK-07年上半期決算は過去最高・今後はコンデンサ事業をテコ入れ-
(2007/11/01 日経エレクトロニクス)
TDKは10月31日,07年度上半期(07年4月~9月)の決算を発表した。売上高は4330億8800万円と,上半期としては過去最高である(前年同期比1.9%増)。営業利益や純利益などの各利益指標も同じく過去の記録を更新した。具体的には,営業利益が471億4500万円で前年同期比23.2%増(売上高営業利益率10.9%),純利益が346億2600万円で同16.9%増である。
第2四半期に記録メディア製品の販売事業を米Imationに譲渡したことで,「記録メディア」部門の売上高は前年同期比28.0%減の346億6700万円となったが,コンデンサや磁性材料などの「電子材料」部門,インダクタや高周波部品の「電子デバイス」部門,HDD用磁気ヘッドを主力とする「記録デバイス」部門など残りの全部門で増収を達成し,上半期の連結売上高を過去最高にもっていった形である。
ただし利益面では,売上高の伸び以上に固定費などがかさんだ部門もあった。電子材料や電子デバイス,記録デバイス部門などを束ねた「電子素材部品」というくくりでは,営業利益が360億円と,前年同期比で45億円減だった。一方,記録メディア部門は前年同期は23億円の赤字だったが,今回の記録メディア販売事業の譲渡益である149億円を計上したことで,今上半期の営業利益は111億円と大幅増。これらの差し引きにより,TDKの連結決算としては大幅な増益を記録した。
今後同社は,07年5月に発表した中期経営計画(07年4月~2010年3月)の達成に向けて動きを加速する。この中期経営計画は,売上高1兆円の達成を視野に入れたものだという。
このためにまずテコ入れしたい事業として,同社 代表取締役社長の上釜健宏氏はコンデンサ事業を挙げた。コンデンサの世界需要は,旺盛なデジタル家電や携帯電話機などの出荷を受けて順調に伸びている。しかし他社の増産・販売攻勢もあり,同社は上半期にシェアを落としてしまったようだ。対応策として同社は既に,今上半期中に生産能力を20%ほど高める手を打ったとする。加えて08年春には,秋田県由利本荘市に建設している積層セラミック・コンデンサの新工場が立ち上がる計画。これにより,さらに20%の生産能力の増強を図る。この新工場は,材料から最終製品まで一貫生産できるというコンセプトで設計してあり,これまでの工場に比べると生産効率が高いという。コンデンサについてはさらに「(現在の製品は)積層数を増やすだけ工数がかかってしまう。そうではない,違った発想も必要」(上釜氏)と,新たな技術開発を進めていることをにおわせた。
磁気ヘッド事業については,既に積極的に動いている。まずアルプス電気の磁気ヘッド事業の有形・無形資産を買収したことで,後工程における加工法など優れた技術を吸収できたという。さらにアルプス電気の設備や同社が培ってきたノウハウを活用することで,設備投資の無駄を省けるとした。TDKは磁気ヘッド関連で年間200億円程度の設備投資をこれまで実施してきたが,今回の買収により,これを「ほぼ半分にできるくらい」(同社)の設備やノウハウなどを得られたという。
加えて同社は,磁気ヘッドを支えてヘッドの浮上高を一定に保つサスペンションという部品を製造するタイMagnecomp Precision Technology Publicを子会社化する。これが今後,磁気ヘッド業界の激しいコスト競争を乗り切る上で効いてくると見込む。「これまではサスペンション全量を米Hutchinson Technology とニッパツから調達してきた」(同社)が,なかなか調達コストは下げにくかったという。これを徐々に内製に移行することで,ヘッド・アセンブリのコストを下げやすくする。現在,TDKの磁気ヘッドにおける世界シェアは33%というが,低コスト化によって「シェアを(同社としての過去最高値である)36%以上に高めたい」(上釜氏)とした。
このほか,電源やインダクタなどの事業についても業績の改善を進める。例えばトランスでは「これまでの半分とまではいかないが,大幅に小型化して材料の使用量なども減らした製品の実用化を下期以降に行っていく」(同社)。高騰している材料を安いものに置換する技術の開発にも力を入れているという。
なお,同社は今回併せて08年度通期の業績見通しも発表した。内訳には多少の変動があるものの,売上高が8650億円,営業利益は900億円,純利益は720億円という07年7月31日時点の見通しは変えなかった。「第4四半期以降の磁気ヘッド事業についてまだ見えにくい部分がある」(同社)と慎重な姿勢を見せた。下半期の平均為替レートは対米ドルで110円を想定した。
トヨタグループ9社-07年中間決算は6社が営業益最高-
(2007/11/01 フジサンケイビジネス)
トヨタグループ9社は、トヨタ自動車の好調な海外販売と円安による為替差益の増大などにより、営業利益は8社が増益を確保、うち6社が過去最高だった。売上高はトヨタ車体を除く8社が過去最高を記録した。
デンソーは6年連続で増収増益を確保。トヨタ向け以外にも米ゼネラル・モーターズ(GM)向けのカーエアコンなどが伸長。また、深谷紘一社長が「為替差益に助けられた」と話すように237億円の為替差益を計上した。
アイシン精機は利益の圧迫要因となっていたアルミの価格が落ち着いてきたこともあり、最終益は2年ぶりの増益。豊田自動織機は、主力の自動車部門でトヨタ向けSUV(スポーツ多目的車)「RAV4」の販売台数が伸びたほか、トヨタの新興市場向け戦略車「IMV」シリーズ向けのエンジンなどが好調に推移し、収益を押し上げた。
新潟県中越沖地震でトヨタの国内全工場が停止したため、各社とも生産調整に追い込まれたものの「生産台数に影響はあったが、下期で挽回できる」(豊田康晴・豊田自動織機専務)。ただ、トヨタ車体は1万台の生産減のうち、上期は2000台分しか回復できず、3年ぶりの減収減益となった。
08年3月期はデンソー、アイシンなど6社が期初予想を上方修正。海外でのトヨタ車の販売増加を背景に、7社が増収増益を見込む。