松下電器-世界初のBD-Video規格対応のBDレコーダー-
(2006/09/21 CNET・Itmedia・日経エレクトロニクス・日刊工業新聞・毎日新聞・朝日新聞)
松下電器産業は、デジタルレコーダーの人気シリーズ「DIGA」の新モデルとして、Blu-ray Disc(BD)レコーダーを2機種をラインナップした。価格はともにオープン。11月15日より発売される。
新機種として発表された「DIGA DMR-BW200」、「DIGA DMR-BR100」は、ともにHDDを内蔵しながら、BD規格のDVDドライブを搭載したハイビジョンBlu-rayレコーダー。BDディスクソフトの再生が行える、プレーヤー機能を世界初搭載したほか、HDDからBlu-rayへハイビジョン映像を約4倍速でダビングできる。
両機種ともに、大容量50Gバイトの2層BDディスクの録画、再生が行えるほか、DVD-RAM/-RW/-R DL対応のBD/DVDマルチドライブを搭載。今回の新製品より、BDディスクにはカートリッジレスタイプものに変更された。従来までのカートリッジタイプのBDディスクは再生のみ互換性を持たせている。
HDD容量が500Gバイトの「DMR-BW200」と同200Gバイトの「DMR-BW100」の2機種を用意した。価格はいずれもオープン。店頭予想価格は、DMR-BW200が30万円前後、DMR-BW100が24万円前後。月産台数はそれぞれ3000台。
DMR-BW200は、地上デジタル放送をそのままの画質で約63時間の録画が行える。地上、BS、110度CSSデジタルチューナーを2基搭載し、「デジデジどっちも録り」機能を内蔵したほか、i.LINK(TS)入出力端子を装備し、D-VHSなどとの連携も可能。
DMR-BW100は、地上デジタル放送をそのままの画質で約25時間15分の録画が行える。地上、BS、110度CSデジタルチューナーは1基のみ。i.LINK(TS)端子も省いたシンプルな仕様。
両機種ともBD-Videoに対応し、映画会社などから発売されるBDソフトの再生が可能。記録はBD-R(追記型)とBD-RE(書き換え型)とも1層(25Gバイト)と2層(50Gバイト)の各メディアが使用でき、2層では約6時間分の地上デジタル放送を録画可能。
「映画『タイタニック』は195分。BDなら1枚で記録できる」新製品の発表会でパナソニックマーケティング本部の平原重信副本部長は、映画作品の長さを例に使ってBDのメリットを強調してみせた。
同社によると、1990年以降にアカデミー作品賞を受賞した16作品のうち、150分を超える作品は44%にあたる7作品。BSデジタルハイビジョン(24Mbps)の場合、HD DVD(30Gバイト)の録画時間は約150分なのに対し、2層BD-R(50Gバイト)は約260分。「HD DVDは44%の作品をハイビジョン画質で録画できない。だがBDならすべて録画可能」とPRした。
画質を高めるために、「美画質エンジン」と名付けた画像処理技術を搭載。美画質エンジンはDVD搭載のDIGAでも使用していたが、今回は従来の美画質エンジンにBD-Videoを再生するエンジンを追加した。音 質については、AAC音声圧縮処理によって欠落してしまうデジタル音声信号の高調波成分を復元する。従来のDIGAでも高調波成分を復元する機能を備えていたが、ステレオ音声の再生が前提であったために2チャネル対応だった。今回は、5.1チャネルのサラウンド音声でも高調波成分を復元できるようにした。
「マルチチャンネル デジタル リ.マスター」と呼ぶ。
一般に、地上デジタル放送で送られるコンテンツがサラウンド音声に対応する場合、各チャネルの音声信号は12kHzを超える周波数領域を省かれてしまう。チャネル当たりの音声データを少なくするためである。その結果、ステレオ音声の場合に比べて、サラウンド音声の場合は音質が低下していた。今回、倍音成分を加えることによって、欠落した周波数領域を22kHzまで復元する。「倍音成分が多く含まれる弦楽器の音や、ハスキーな人の声などの音質が高まる」(松下電器の説明員)という。
さらにDMR-BW200では、音質を高めるために「中級以上のCDプレーヤなどに使われるような厳選した部品を搭載した」(松下電器の説明員)。例えば、電源回路を安定させるために応答特性に優れたレギュレータIC、Cuフレームを採用したEMI雑音が少ないオペアンプIC、ポリオレフィン材料で被覆することで部品の振動を抑え雑音の削減を図るコンデンサなどを用いている。
次世代DVDでは東芝が今年7月、「HD DVD(HD)」方式のレコーダーを国内で先行発売していた。松下電器は上位機種でも店頭想定価格で30万円前後と、東芝の機種(希望小売価格39万8000円)より大幅に価格を抑えて対抗する。BD陣営ではソニーも年内にレコーダーを国内発売する予定。
BDとHDの両陣営の製品は今のところ高級機の価格帯で、本格的な商戦の幕開けは「07年末」(東芝首脳)というのが共通認識。08年の北京五輪商戦も一つの山となる。パソコン用駆動装置での主導権獲得や、販売・収益の両面で厳しさが続くDVD録画機事業の立て直しも各社の課題。
マイクロソフト-低価格な「Xbox 360」専用HD DVDプレーヤー-
(2006/09/21 BCN)
米マイクロソフトの日本法人は20日、家庭用ゲーム機「Xbox 360」専用のHD DVDプレーヤー「Xbox 360HD DVDプレーヤー」を11月22日に発売すると発表した。価格は2万790円。
次世代DVD規格の「HD DVD」に対応しており、「Xbox 360」とUSBケーブルで接続するだけで、1080pのフルハイビジョン(フルHD)の高品質な映像とサウンドを再生できる。HD DVDソフトのさまざまな双方向機能にも対応。また、「Xbox 360」を通じて、同社のオンラインネットワークサービス「Xbox Live」からコンテンツをダウンロードしたり、Windows Media Center Edition(MCE)を搭載したパソコンに取り込んだハイビジョン映像を鑑賞することができる。
製品には、「Xbox 360 ユニバーサル メディア リモコン」が付属。「Xbox 360」本体のほか、HD DVDプレーヤー、手持ちのテレビ、MCE搭載PCの操作にも対応する。
国土交通省-二輪車向けETCを11月にも導入へ-
(2006/09/21 毎日新聞)
国土交通省と高速道路各社は19日、二輪車向けETC(自動料金収受システム)を11月にも導入する方針を固めた。同省などが今春から実施したモニター調査で機能性と安全性が確認されたと判断した。四輪車に比べて二輪車の料金の支払いには時間がかかるケースが多く、普及が進めば渋滞の緩和にもつながりそうだ。
二輪車向けETCは四輪車向けに比べ5年遅れの導入となる。今後は四輪と同様、深夜・早朝の距離に応じたETC割引などが受けられるようになる。四輪車に比べ取り付け費用などが1万~2万円程度高いが、同省や各社は四輪ドライバーの端末取得に現在実施している各種助成に補助額などを上乗せすることも検討している。
二輪ライダーは、料金を支払う際、手袋を外したり、ポケットから財布を出し入れしたりなど時間がかかっていた。これまで割引を受けられなかった不満もあり、ライダーのETC導入に対する関心は高く、今春から東京、大阪、名古屋で実施した約5000台のモニター調査には希望者が殺到していた。
Lexusの先進技術-まるで電子自動車?-
(2006/09/21 日経エレクトロニクス)
トヨタ自動車は,19日に開催したLexusブランドの旗艦セダン「LS460」の発表会において,車両前方の障害物検知機能や後方車両への対応機能で使用するミリ波レーダやカメラなど先進技術を明らかにした。
ミリ波レーダは,車両前方の障害物検知向け(以下,フロント用)と後方車両検知向け(以下,リア用)にそれぞれ1台。いずれも76GHz帯のミリ波を利用。フロント用のミリ波レーダは,左右方向の検知角度がプラスマイナス10度。フロント・グリルにあるLexusのエンブレムの裏側に配置。ミリ波のビームは,9チャネルのアンテナを使って電気的に走査する。ミリ波レーダはデンソーが製造。従来,トヨタ自動車が他の車種で使用してきた品種とほぼ同等のもの。
一方,後方車両検知に使うミリ波レーダは,左右方向の検知角度がプラスマイナス15度と広い。車両から30m以内に入った後方車両を検知し,後方車両に対するプリクラッシュ・セーフティ・システムに使う。ミリ波のビームは,3チャネルのアンテナを使って電子的に走査する。ミリ波レーダの投影面積は「ほぼタバコの箱くらいの大きさ」(トヨタ自動車の説明員)という。ミリ波のビームを電子的に走査しているのでミリ波レーダの奥行き方向も小型になり,リア・バンパーの内側にうまく収まったとする。後方車両検地用のミリ波レーダは富士通テン製。このミリ波レーダそのものは新開発品であるが,搭載するRFチップなどの基幹部品は富士通テンがトヨタ自動車以外に出荷しているフロント用のミリ波レーダと基本的に同じものだという。富士通テンが共通の基幹部品を使えるようにすることで,リア用のミリ波レーダの低コスト化を狙ったとする。
ミリ波レーダの低コスト化を進めるには,フロント用とリア用のミリ波レーダを共有化する方がより効果が大きいように思える。しかし今回は,フロント用のミリ波レーダの形状が大きくなってしまうので採用を見送ったという。フロント用のミリ波レーダに富士通テン製の品種を使おうとすると,製品仕様の点からビームの走査にアンテナを機械的に動かすことになり,「Lexusのエンブレムの裏側に収まらない」(トヨタ自動車の説明員)からである。
カメラ・システムには,640×400画素のモノクロ画像を撮影するCCDカメラを2台搭載した。これら2台を35cm離してフロント・ガラス上方に設置し,ステレオ・カメラとして使う。ステレオ・カメラからの入力画像と,ミリ波レーダからの情報などを基にして歩行者などを含む前方障害物の位置とクルマからの距離を検出する。カメラ・システムでは40~50mの範囲内にある前方障害物を検知するという。
CCDカメラは可視光領域から近赤外線領域まで感知する。これにより,昼間だけではなく夜間も障害物を検知できるようにした。夜間で使う場合,ヘッドランプのハイビームと兼用する近赤外線投光器が放つ近赤外線を利用する。CCDカメラは松下電器産業製。カメラの撮影画像を処理して障害物を検知するLSIはNECエレクトロニクス製。画像処理にはトヨタ自動車の技術も使われているという。なお,このCCDカメラは車線逸脱警告機能にも利用している。
画像は10フレーム/秒の速度で障害物を検出する。その際,ミリ波レーダによる検知と連動させている。
もっとフレーム速度を上げて障害物検知の頻度を高めた方が,検知の精度を上げられるように思える。トヨタ自動車によると,歩行者などを検知するといった用途であれば10フレーム/秒のフレーム速度で足りているという。
車両前方の障害物検知機能や後方車両への対応機能では,大きく2つのECUを使っている。1つは,障害物検知によるプリクラッシュ・セーフティ・システム全体をつかさどるECUである。インスツルメンツ・パネルの内側に設置しているという。
もう1つは,ステレオ・カメラを使った画像処理に専用に割り当てたECUである。このECUは車内の空スペースの関係上,トランク近傍に設置。前述のプリクラッシュ・セーフティ・システムでは車内LANにCANを使っているが,カメラ・システムとECUのインタフェースでは専用のデジタル・インタフェースを用いた。「カメラで撮影した画像データ量が大きく,CANでは間に合わない」(トヨタ自動車の説明員)ためである。このデジタル・インタフェースはこれまで,同社のナビゲーション・システムで採用した実績があるという。
ステレオ・カメラ・システムを採用した最大の理由は「立体物の形状を把握したかったから」(トヨタ自動車車両技術本部 第2電子技術部 第24電子室 グループ長の山田幸則氏)。ミリ波レーダは前方の車両との距離は正確に検出できるが,前方車両の正確な形状までは分からない。そのため,ミリ波レーダだけでは前方の車両と衝突しそうな場合,ステアリング操作で回避できるのかどうかの判断が難しかったという。
これに対して,ステレオ・カメラ・システムを利用すると,前方車両のエッジ部分がどこかが分かるため,ステアリングで回避できるかどうかを判断しながら,ぎりぎりのところでブレーキ介入することができるとしている。これは前方車両に限ったことではなく,立体物であればステレオ・カメラで検出できるとしている。
一方,ステレオ・カメラ・システムによる歩行者の検知については,前方を遮る位置にいるのであれば,40~50m先までほぼ検知することが可能という。トヨタ自動車では,ステレオ・カメラ・システムを使った認識技術について5年ほど前から研究に取り組んでいたとしている。
今回,LS460に搭載したステレオ・カメラ・システムは,検知用ECU(電子制御ユニット)がデンソー製,なお,検知用のソフトウエアは,トヨタ自動車とデンソーが担当した。
また,「LS460」に搭載するECU(電子制御ユニット)の一部を統合した。従来,ECUはシステムごとに個別に開発していたが,これを今後はパワートレーン制御,ボディー制御,安全制御,マルチメディアの4群に分ける方針を以前から明らかにしていた。
ただし,今回の車種でハードウエア,ソフトウエアの両面で完全に4群に統合できたわけではない。「ソフトウエア面では統合しつつある。一方,ハードウエア面での統合は一部にとどまる。とはいえ,ソフトウエア/ハードウエアのいずれにおいても最大限のことを実現しており,当面は今回の車種が最上位になる」(トヨタ自動車)とする。トヨタ自動車は今回開発した電子プラットフォームをベースに,他の車種にも同様のプラットフォームを展開する計画。将来的には各群がCANやFlexRayといった車内LANで相互に結ばれることになりそうだ。
ソフトウエアに関しては,ECUを統合制御することで50個の機能を実現している。例えば,渋滞時や信号待ちなど停止や発進を繰り返すような状況において,運転者がブレーキを踏み続ける負担を軽くする「ブレーキホールド」機能はその1つ。ステアリングパッド上にあるスイッチを押すことで電子制御ブレーキ(ECB)を作動させ,ブレーキ油圧を自動制御する。アクセルを踏むと制動力が自動的に解除されたり,電動パーキングブレーキとも連動したりする。
ハードウエアに関しては今回,車両運動制御システム「VDIM」用ECU,ECB用ECU,CAN通信ゲートウエイ用ECUを1つにまとめた。それでも,LS460が搭載するECUは100個程度にも及ぶという。個々のハードウエア開発には多くのサプライヤーが関わっているため,統合にはまだまだ時間がかかりそうだ。