だんなっちょんのブログ

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甲斐性無しの二児の父

12月13日日記 忘れられない客

2014-12-10 10:03:25 | 競馬雑談
8年前まだまだ私が20代の若かりしころに勤務していた会社時代のことです。
突如として現れた上下ジャージの男。風貌はガテン系でちょび髭をはやし
見た目、どこかの親分みたいな顔つき。最初強盗でも来たのかと思ったが、
普通に入塾申し込みの親。当時中学1年生の女の子を引き連れてのことだった。
女の子はおやじに似ても似つかないほど、おしとやかでおとなしく小柄で可愛らしいタイプの子。

開口一番この親分が発した言葉が実に面白い。
「娘を公務員にしてぇんだよ」
あれ?ここを公務員専門の予備校かと勘違いしたのかな?と思ったのだが、
違うことはどう考えても中学生か小学生にしか見えない娘が証明している。
一瞬氷付いてしまった私。笑うのを堪えて「公務員ですか・・・」

「やっぱよぉ。子供には苦労させたくねぇんだ。あぁ。市役所に勤めさせたいからどうすればいい?」

とドストレートな質問。
これも笑うのを堪えて、まじめに知っている範囲で
公務員になるための手段とプロセスを簡単に説明。(相手は中学生だっつーのw)

「だよな。やっぱ勉強できなきゃダメだよな。大学に行かせたいから成績上げてくれ。任せるからよぉ」

当時個別指導塾勤務だったので、任せるといっても詳しく話を聞いて
どれぐらい週に塾に来るのか、コマ数はどれぐらいにするのか詰めないといけないので
こちらも説明。個別である以上一定の推奨コマ数はあるものの、客次第では毎日取る子もいる。
また、実際どれぐらい学習が必要であるか理解をもらえるために、1・2時間程の学習進捗状況を
確かめるテストやツールもあるので(これがまた大量にコマを取らせようと思わせる汚いシステム)
そちらを説明しようとした矢先。

「毎日お前塾にいけや。あぁ。全部1から億まで教えてもらえや。」
(億って・・・)そのまま親分は私のほうを振り向いて、「大丈夫だよな?」
と聞いてきたので、「可能といえば可能なのですが・・・・」

さすがにそれだと、かなりの額がかかるため、料金表を見せたところ。
「◯◯万か。まぁ大丈夫だろ。よし決まり。あとはお前(私)に任せたわ。」
まさに(勝手に話を進めるなよww)状態で、
一応面談のルールや相手に必ず伝えなければならない点もあるので、
あまり聞く気もない客を相手に事務的に話を進めて面談は終了。
娘は少し恐縮したように、親父の言われるがまま首をタテに降っていた。

週明けてその子の入塾は決まった。
毎日90分2コマを月曜から土曜日まで。全部任せるというので
国語から英語まで5科目ぎっしりプランを作った。
売上面でいえば、3・4人分に当たるので嬉しい半面、風貌が風貌だから
ヘタを打つととんでもないクレームを言ってきそうな客かもしれないので、
主要科目はバイトに任せず、自分が自ら担当することにした。

オヤジが1から億まで教われと言っていたから、少々懸念していたのですが、
その子は実に優秀で、またおとなしく真面目でしっかり勉強をこなしてくれました。
成績も安定し、特にクレームもありませんでした。
この子が進級すると同時に、私も退職したのでその後どうなったのかはわかりません。

これがあんぽんたんな子だったら大変だったかもしれませんね。運が良かったのかもしれません。

怒鳴りこんできて襟首を掴んできたり、「次こんな成績取らせたら命無いと思え」と脅迫してくる
客や「この塾ではこの子の為にならない」と言ってきたり、まぁいろんなクレーマーを経験しましたが、
(おもしろクレーマーの話題を今度書いてみようかな)
その親の風貌や顔は忘れても、この親分だけは今でもスケッチ出来るぐらいよく覚えてます。

この生徒は恐らく今20歳前後でしょうが、立派な公務員になってくれればと思っております。

これまで教えた子は1000近く行くでしょうが、多くは忘れているのですが、
忘れない生徒・親はやっぱり一癖・二癖いろんな個性を持っているものですね。



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