サジッタ&清史郎の部屋

相棒3頭と暮らす馬日記

練習って何ですか?

2005-03-08 20:48:49 | コーチとして
藤田・保田・酒井と3人の1年生を指導しました。
佐々木・村田といった現役を卒業したOBが主に指導した学生です。3人を指導した私の評価は、決して良いものではありません。

むしろ指導者二人に対して、『君たちはどこに目をつけて指導しているの?』的な厳しい指摘の方が多かったです。
私は思うのですが、部員の練習って何でしょうか。拳の姿勢や、馬上でのバランス、前後左右のバランスなど注意しないといけないことは様々です。
では、最も重要なことは何でしょうか。
それは、一にも二にも【前進気勢】だと私は確信します。前進気勢なくしては、拳の姿勢も、バランスも何もありません。1年生3人に決定的に不足しているものは【前進気勢】です。馬場であれば軽快な歩調であり、障害であれば分速350mを維持して走りきれる推進力でしょう。
【前進気勢】を要求の幹としたときに、脚の位置・踵の状態・ハミのコンタクト・拳、肘、肩の柔軟性・人間の速度感覚など様々な枝葉の要求が出てきます。

何故初心者は推進しないのか? 推進できないのか? そんなことを考えて指導している人がどのくらい存在するのでしょうか。
ご存知のとおり馬は自分の意志で動きます。ある程度蹴っていれば速歩をします。初心者はその速歩に速度が適切かどうかを考えずに、軽速歩のタイミングを合わせることのみに集中してしまいます。今の1年生3人が全くそんな状態です。
では、馬を生き物と考えずに、自転車だと思ったら如何でしょうか。自転車も、今日の日中のような気持ちの良い気候の中を彼氏・彼女とデートしてお喋りしながらの運転ではなく、朝の練習に遅刻しそうとか、バイトの時間に遅れそうといった状況でペダルを踏みまくる感覚。
ペダルは常にチェーンを通して後輪に駆動力を与えています。
では、何で馬に乗ったらそれを忘れる?推進しないと自転車は倒れますよ。何で馬を推進して必要速度を常に出さない?

1年生が夏休みに来た時の調馬索練習で、私は馬を追い続け、必要な歩度を維持し続けました。
前進気勢のある馬に乗るのは楽です。きちんと調馬索を廻し、必要速度を与え続ける。だから私が指導すると初心者の上達が早いのです。
では、今回1年生達に追い鞭を使ったかというと、答えはNOです。
では、私が何をしたかというと、人間の気持ちに追い鞭を使い続けたのです。彼らは本人がその気になれば、指導者が追い鞭を使って馬を追わなくても【前進気勢】を維持し続けることが可能です。私はきっかけを与えたに過ぎない。

馬術とは

前進・前進・前進
コメント (2)
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