湘南ファイブ通信

湘南ファイブが、時事問題、社会問題、季節の便り等について、通信・コメント・写真を発信します。

武田薬品定期株主総会に出された修正動議と長谷川社長の高圧的対応

2011-06-28 11:48:17 | 環境問題
6月24日、大阪城の近くのホテルニューオオタニで行われた武田薬品の第135回定期株主総会で、出席した株主から「一部配当金を削って研究所の排水処理装置を作れ」という修正動議が提案されました。

以下、修正動議を巡る顛末をレポートします。
<動議の内容は>、
普通株式1株につき、配当金金90円 総額71,050,781,310円とするとなっていますが、これを
①、期末配当を、普通株式1株につき、金86円 総額67,892,969,252円とし、
②、1株につき4円の期末配当予定金額、総額3,157,812,058円を、湘南新研究所に未設置の排水処理施設の建設費に充てる、と修正しようというものです。
<こうした動議が出された背景は>
武田薬品工業は、今年の2月、藤沢・鎌倉にまたがる旧アリナミン湘南工場跡地に、巨大な創薬・バイオ・遺伝子組み換え・P3・RI・動物実験研究所を完成させましたが、研究所内には排水処理施設が設置されていないので、研究所内に排水処理装置を設置せよとの住民運動がおこっていたことによるものです。
<住民の主張は>
これまで藤沢市には、武田薬品も含め市内に立地する約50社との間に、生産工程から発生する排水を一切受け入れないという協定があるにもかかわらず、武田薬品は研究所は工場にあらずと言って協定を守らないのはおかしい、東海村原子力研究所も、研究所排水だから安全だとは言えないのと同じ事である。このまま武田研究所が本格稼働すると、いつかは、生産工程排水よりも遙かに危険なバイオ排水が、藤沢市の下水処理施設で十分に処理されないまま、公共の河川を通じて、江の島の海に排出されるおそれがある。 これを避けるために、今期の配当金の一部を削って、自社内に排水処理施設を建設すること、そしてこの施設を使って、研究活動によって発生する汚染物を処理し、上澄み水を循環再利用しよう、と言うのが提案の趣旨です。
<武田薬品長谷川社長の対応は>
最初の内は議長である武田薬品の長谷川社長も黙って聴いていたのですが、後段の企業の社会的責任の部分に入ると、突然「提案が長い」などと提案者に言いがかりつけ、発言の中止させ、マイクを取り上げてしまったのです。残念ながら総会の議長である長谷川社長の不当な議事運営によって、動議は採決されないまま総会は終了されてしまいました。しかし、大勢の株主の前で武田研究所の問題点を発言されたことは、3000人もの株主に与えたインパクトは大きく、それだからこそ長谷川社長が発言中止を求めたのではないかと思われます。それにしても、今回、経済同友会代表幹事でもある長谷川社長の対応を目の当たりにして、あまりにも乱暴で度量が狭く、他の批判を受けつけない独善的、高圧的やり方に、株主としては驚くべき出来事でした。