湘南ファイブ通信

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福島原発事故は人災! 大事故を誘発した東電経営者の誤った初期対応

2011-08-31 12:15:20 | 環境問題
<検証=福島原発事故原因>

福島原発事故は人災! 
   大事故を誘発した東電経営者の誤った初期対応


福島原発事故が発生してから半年がたとうとしている。改めて福島原発事故原因を検証してみる中で、誤った東電経営者の初期対応に寄って、大事故に至ったことがますます明らかになってきた。福島原発事故は、東電経営者が、何よりも炉の冷却を最優先し、安全を第一にした適切な初動措置をとっていたら、あのような未曾有の大事故は防げたであろう。福島原発の大爆発は、地震や、津波の直後に起こった訳では無い。事故発生当日、東電経営者の不適切な対応で時間が浪費され、この間に炉内の温度が上昇し翌日の1号炉の大爆発に至ったものである。事故発生後、2時間後には給水機能を回復させたスリーマイルに引き比べ、事故発生防止よりも、設備存続、操業維持を優先させ、大事故に至らしめた東電経営者の初期対応の誤りは重大である。
以下、大事故を誘発した東電経営者の誤った初期対応について検証してみた。

①、1号炉の補助冷却装置不作動を認識していなかった東電経営者の責任

補助冷却装置を止めないと炉が痛むからとの理由で1号炉の補助冷却装置を止めたとのだが、吉田所長は、大爆発まで、補助冷却装置は作動しているものとの認識だったという。東電首脳が、事故防止にとって最も重要な緊急冷却機能の停止を掌握していなかった等と言うことは言い訳にもならない犯罪的大失態である。何故、東電経営者は炉の冷却問題に最大の関心を示さなかったのか、何故止めたとの報告が上にあがらなかったのか、何故止めた後、弁が開かなかったのか、この点を東電経営者に明確に説明させる必要がある。この点の解明がなければ、事故原因の真相は解明できない。

②、1号炉の補助冷却装置が正常に作動していたら、大事故は避けられたハズ

最初に爆発した1号炉の補助冷却が、主力電源を失っても第2、第3炉のように正常に作動していたら、3日間の時間的余裕をもち、この間に電源の連結によって、主冷却装置を作動させ大事故に至らなかったハズである。ところが、補助冷却装置が作動しないため、翌日第1号炉が大爆発を起こし、大量の放射能で発電所全体が汚染されたため、第2、第3炉へ電源を連結作業が出来ず、冷却機能の途絶えた第2,第3炉も、続いて大爆発をおこし、今回のような原発大事故に至ったものである。
スリーマイルでは、事故の原因となった冷却問題の解決に全力を傾注し、2時間20分後には給水機能を回復させたのに引き比べ、事故発生防止のために何ら手を打たなかった東電経営者の責任は重大である。

③、安全神話の崩壊、操業停止を恐れたベント問題に対する東電経営者の対応の誤り

原子炉の爆発防止のために、炉から高圧蒸気を放出させるベント問題でとった、東電経営者の対応が、今回の大事故の要因となっている点も問題である。東電経営者は、ベントを行うと炉からの放射能漏が外部に知られるから、ベントを行うことを渋ったという。外部に知れると、原子力発電所の安全神話が崩れ、操業を続けることが困難になることを恐れた東電経営者のためらいである。この点でも東電経営者の責任は重大である。

④、廃炉を恐れ、海水注入をためらった東電経営者の対応の誤り

東電経営者が、冷却水に海水を注使うことを渋った問題は、海水を使うと塩分を入れることで炉が使えなくなることを恐れたためだという。ここでも、安全問題よりも原子炉の設備維持、操業維持を最優先するという、廃炉を恐れ、事故を大きくした東電経営者の責任は重大である。                           (K)


動物愛護法の改正と武田薬品研究所の巨大な動物実験施設

2011-08-14 16:20:41 | 環境問題
動物愛護法の改正と武田薬品研究所の巨大な動物実験施設


<湘南エチカの会と武田問題対策連絡会が、来年の動物愛護法の改正に実験動物規制条項を入れるよう環境省に要請>

来年(2012年)の動物愛護管理法の改正に向け、現在、環境省に設けられた「動物愛護管理のあり方検討小委員会」で改訂内容が検討されている。改訂項目に、実験動物の規制条項を挿入するよう、8月1日、環境省に対し、動物愛護団体である湘南エチカの会や武田問題対策連絡会が下記のような要望書を提出した。同じ内容の要望書が、動物実験に関係ある厚労省、文科省、農水省にも提出された。
<要望事項>
(1)動物実験施設および実験動物繁殖施設を登録制(又は届出制)にし、国は動物の飼育状況や、基準・指針に基づいた3Rの実施状況等の把握をすること。
(2)動物実験の国際原則である3R(苦痛の軽減・使用数の削減・代替)をより実効性のあるものとすること。
これは、現在、我国では動物実験が薬品会社、大学、研究所等で自由にやられているが、諸外国に比べ動物実験を規制する法律は無く、実験動物福祉や実験動物公害から生活環境を守る立場から、上記のような要請をしたものである。


<武田薬品など医薬品業界は、実験動物規制条項反対の陳情>

これに対し、動物実験を盛んにやっている薬品業界や実験動物業界などから、規制反対の陳情も出されているとのことである。薬品会社の最大手である、武田薬品工業は、今年2月、年間マウス換算で700万匹も飼育出来る巨大な動物実験研究所を完成させ、動物実験を主体とした新薬開発を進めようとしている。動物実験が規制を受ければ自由な研究が阻害され、新薬開発に遅れをとるためとのことであるが、欧米のように、基礎研究をしっかりやり目的を定めた動物実験をやる開発姿勢に対し、我が国のように何の規制も無く自由に動物実験をやらなければ新薬は開発できないという業界の姿勢は、動物実験・新薬開発の後進性の現れと言うべきである。

   ー武田薬品湘南研究所の巨大な動物実験施設ー 5階建て7棟 延べ14万m2 


旧満蒙開拓団慰霊碑撤去問題と日本で行なわれているニエアル碑前祭

2011-08-12 12:06:35 | 日中友好
旧満蒙開拓団慰霊碑撤去問題と日本で行なわれているニエアル碑前祭

8月3日の朝日新聞国際面に、中国満蒙開拓団慰霊碑建立を巡る記事が掲載されていた。中国方正県が、第2次世界大戦敗戦で、旧満州から引き揚げの際死亡した多数の満蒙開拓団の慰霊碑の建設を巡って、中国国内から批判の声が上がっているとの記事であった。ところが、8月7日の記事によると、こうした批判の声に押され、8月5日当局が建設した慰霊碑を撤去したとの事であった。

確かに、慰霊碑建設を批判している中国の人々の指摘するように、日本の満州侵略によって中国の人々の土地が奪われ、民族差別が行なわれたことも事実である。しかし、方正県で亡くなった開拓団員は、婦人や、子供、年寄りなどが多く、帰国の途中、飢えと寒さで亡くなった人々である。これらの人々の墓が、1963年、中国方正県の人々によって公墓が建てられ、そして今年慰霊碑が建てられることになったのだという。恩讐を捨て、今回、慰霊碑を造ってくれた事に、私も旧満州からの引き揚げ者の一人として感謝の気持ちで一杯だった。

1963年、故周恩来首相の承認の下に中国方正県に建てられた日本人公墓(2002-8撮影)
   ー今回、この後方に建てられた慰霊碑が撤去されたというー






今回、このような事態になって誠に残念である。中国の皆さんの気持ちも分からないではないが、過去の過ちは再び繰り返さず、今生きる私達が、碑の建設の是非よりも、お互いに平和な友好関係を深めることによって、過去の問題の解決を計るべきではないだろうか。

日本にも、日本で無くなった中国人の碑を作り、追悼行事が行われていることを中国の皆さんにも知って貰いたいと思う。具体的には、日本で死んだ中国の国歌「義勇軍行進曲」の作曲家であるニエアル(聶 耳)に対し、地元藤沢市民の手によって記念碑が建てられ、毎年、碑前祭が行われているということである。一部の日本人の中には、中国国歌の作曲者の記念碑など建てるのはけしからんと、碑にいたずら書きをする者もいると聞くが、記念碑の撤去までは行っていない。ニエアル(聶 耳)という人は、1935年、訪日中、藤沢市鵠沼海岸で遊泳中24才の若さで亡くなった人であるが、今年も、彼の死を悼み、命日である7月17日、中国大使館代表や藤沢市長、さらに多数の市民も参列して式典が行われた。式典では、消防隊によって彼の作曲した中国国歌「義勇軍行進曲」も演奏された。
(注、今年のニエアル祭の模様は、動画youtubeで見られます。http://www.youtube.com/watch?v=2LJtAxb9Plc)

今年7月17日行われたニエアル碑前祭(藤沢市鵠沼海岸)



日中の長い歴史の中には、かつて唐の時代、長安で亡くなった日本の留学生「井真成」が、現地の人々によって墓碑が建てられ追悼されたこともあり、日本でも、ニエアル祭のように中国の国歌作曲家の死を悼む行事が行われている。これからも、日中国民の交流がますます盛んになる中で、お互いに異郷で亡くなった人の死を悼み、過去の不幸な出来事はお互いの友好親善を深めることによって慰霊碑建設問題等は解決されるべきではないか。