『アルドノア・ゼロ』最終回

色々と賛否が分かれた最終回ですが、個人的にはこういうほろ苦い幕引きは嫌いじゃないですね（＾＾；。
週のまとめにも書きましたが、私の友人がタイトルの「アルドノア・ゼロ」について面白い解釈をしておりまして。
「アルドノア・ゼロとはアルドノアエネルギーが解禁された事を記念して改元された『アルドノア暦元年＝０年』という意味ではないか」
つまりこれから始まるであろう地球と火星の長い歴史アルドノア暦。その０年にこんな隠されたドラマがあったというわけですね。
後世、地球側のエースパイロットとして語り継がれるであろう伊奈帆。地球とヴァースを平和に導いた賢帝か、あるいはいたずらに事態を混乱させた毒婦が意見が分かれるかも知れない女帝アセイラム。そしてアセイラムを暗殺を画策、結果的に第二次惑星間を拡大させてしまったスレイン。表向きは単純にそう語り継がれているでしょうが、実は歴史の裏側に隠された真実があったという解釈も可能ですね。

伊奈帆、スレインは異なるスタンスながらもアセイラム姫を思い、アセイラム姫も二人を思っていたのですが、それぞれに向けた思いは微妙にズレがあり、そして本質的には誰もが相手を完全には理解していなかったという事になるのでしょうか。
アセイラム姫は最後まで男という生き物を完全に理解できず、伊奈帆とスレインは君主として生きる教育を受けてきたアセイラム姫を完全に理解できなかったのかも知れません。
アセイラム姫は伊奈帆にもスレインにも生き延びて欲しかったのでしょうが、互いに死線を越えてきた二人にとっては、戦って死ぬ事、そして宿敵に引導を渡してやる事こそが戦士としてのけじめであり礼儀。それを理解できなかったアセイラム姫は特にスレインに対しては残酷な結末を与えてしまい、伊奈帆も命を賭けて戦った相手として今のスレインが置かれた立場も分かるのでしょう。
一方、その二人のアセイラム姫に対しての最大公約数的な願い。「姫でも女帝でもなく一人の女性として生きて欲しい」。アセイラム姫にとっては、それよりも女帝アセイラムとして即位して地球とヴァースを平和に導く事を決断。夫はクランカイン卿改めクルーテオ卿ですが、実質的にはヴァース帝国と添い遂げるようなものですな。
この点では伊奈帆やスレインの願いも叶わなかったわけですな。
まぁあれですな。言うならば
三方一両損エンド（＾＾；。
いやまぁ、三人とも一生をかけた決断、結果なのですか一両損どころではありませんが。
仲間を助け、地球をヴァースの侵略から守ったエースでありながらセラムさんを取り戻せなかった伊奈帆。
地球とヴァース帝国の戦争を収め、和平を達成したものの、一個人と生きる道を諦めたアセイラム。
一人の女性としてアセイラムに側に居て欲しい、その為の世界を築くはずが結果的に死を選択する事さえ出来なくなったスレイン。
戦争終結と平和の立役者がそれぞれが大切なものを取り戻せなかった、諦めなければならなかった。相手の為を思って願った事が、決してその相手の為にはならなかった。一般市民はその真実を知らないまま平和を享受していく。
最初にも書いたように長い歴史の一ページ。その裏側を切り取った展開とすればこういうも有りかなとは思います。
そう考えるとスレインに忠誠を誓いデューカリオンに突撃するハークライトさんやバルークルス卿は時代に殉じたという意味で、新選組辺りを連想しますね（＾＾；。

まぁもっとも（＾＾；、この前伊奈帆が「いまセラムさんが何を言っても通じない」と言ったのに、アセイラム姫の宣言一つであっさり風向きが変わるのはなんだとか（＾＾；。月面で戦っていた伊奈帆のスレイプニールとスレインのタルシスが地球に落下するとか、どれくらいの距離移動したのとか（＾＾；。結局マズゥールカ卿とクランカイン卿は一人のキャラにまとめて良かったんじゃないかとか（＾＾；。そもそも自分が高齢なのに、孫娘に有能な後見人を用意しておかなかった皇帝が一番問題じゃないかとか（＾＾；。色々と引っかかる点はありますね（＾＾；。
まあもうちょっと地球、火星双方の高官に多少なりとも目端の利いた人間を置いておき、裏では密かに和平交渉を進めていた。伊奈帆によるスレインの身柄確保は渡りに船だったので、取り敢えずスレインに全部罪をかぶせておいたとかにする手もありましたか。
そういえば伊奈帆に銃を突きつけられた時、スレインがザーツバルム伯爵のように頭を指さすのは良かったですねえ。

レムリナ姫は結局、無事に（？）逃走。スレインへの想いは本物のようですから、そのうちアクシズ化してスレイン奪還に動きそうな気もします。ハークライトさんやバルークルス卿も生死は不明。地球にはまだアセイラム女皇に臣従していない火星騎士もいるようなので、レムリナ姫が動けば同調する可能性もありますな。
しかし当のスレインがあの様子では逆襲のスレインとはなりそうにないですねえ。

そういえば以前レムリナ姫がスレインに「もっと私を頼ってくださっていいんですよ」と言った後、場面チェンジ。レムリナ姫が一人で入浴中という展開がありまして。一部で「いたしてしまったのではないか」（＾＾；という推察があったようですが、仮に続編があるなら一世代後というのも面白そうです。
スレイン、レムリナ姫の子が父奪還を企て、アセイラム女皇の子がそれを阻止するため地球へ。アナリティカルエンジンの後遺症で満足に身体が動かなくなった父に代わり伊奈帆の子が立ち上がる……。なんてのもありか（＾＾；。

まあここで終わってもいいのですが、設定的にはまだまだおいしそうな部分が残っていますし、最初にも書いたように年代記的な作劇を意識してるなら、後世の話も面白いかも知れません。その世代で伊奈帆、アセイラム、スレインが望みながら得られなかったものを手にするとか。
タイトルは……『アルドノア・アフター』ですかね。いや、これは前述の友人が言っていたのですが（＾＾；。

で、不見咲副長はやっぱり百合ッ気があったんですかね（＾＾；。