鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

黙って1000年

2020-11-19 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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新型コロナウィルスの感染が横ばいもしくは緩やかな増加の傾向のようです。
ここで油断しては、また増加に転じかねません。
経済対策として、Go toトラベル、Go toイートなどが広がっていますが、我々年配者は行動を自粛しろと言われたままで、なかなか恩恵にあずかれません。
同様に、障害を持った方々も旅行にしろ食事にしろ気軽に出かけられないと思います。

この詩をつくったときはゴールデンウィークだったのでこんなコメントを残しています。
「世の中は、連休で遊びに行く人がいっぱいですが、
 わたしは心の世界で遊びに行きます。どこかへ。」


      黙って1000年
                                    2010年5月

知っていますか
黙って1000年、生きている
そんな植物があるのを知っていますか
1年に3ミリしか育たない
乾燥した、風が強い土地で
だれかと話せるわけでもない
だれかと笑いあえるわけでもない
だれかと手をとりあえるわけでもない
それでもそこにいて
それでも生き続けている
それなら、私たちはもっとちゃんと生きられる
そんなふうに思います
だれかと話せるのだから
だれかと笑いあえるのだから
だれかと手をとりあうこともむずかしくないから
いろいろな愛に恵まれて
いろいろな光に囲まれている
私たちはもっと尊いもののはずなのです
私たちはもっと強いもののはずなのです
きっと、きっと、きっと

   詩手紙2010.5.3
   


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