鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

ラスゲアード

2022-01-21 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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昨年の終わりごろは新型コロナウィルスの感染が相当抑えられて、今年は少しはいろいろなことができるかと思っていましたが、オミクロン株などという変異種が現れ、急激に拡大しています。
また、我慢我慢の生活になるのか少し気が重いです。
3回目のワクチン接種が待たれます。

詩手紙のコメントはこう書いています。
「天気はよくないのに暑さだけは衰えず。ですね。」

        ラスゲアード
                          2010年8月

暑いスペインの日射しのかげった路地裏
長髪で焼けた顔のギタリストが
ラスゲアードでギターをかきならす
哀しさをたたえた音色に立ち止まる人たち
彼を囲んで、その爪先を見つめていた
なぜか、夢のなかで、そんなイメージが見えた
僕には、その音色が伝わってくる
僕は、その音色に思い入れてしまう
はっと気づくとテレビには
美しい東京タワーが映しだされていた
晴れた空にそびえる姿、夜景に映える姿
ビルに映っている姿、車から見える姿

僕が哀しみを知りすぎているからなのか
心が空っぽになると無造作に
哀しみを見つめてしまっている
僕が思いすぎているからなのか
心が空っぽになると不思議に
哀しみと重ねあわせてしまっている
哀しみは、生きるときのアクセントになるけれど
つかみすぎれば、ほかのことが見えなくなる
哀しみは、人に優しくするためのヒントになるけれど
そればかりでは、何もできなくなることがある
だから、哀しみの向かいがわにあるもの、それをもっと見つめようか
だから、哀しみの向かいがわにあるもの、それをもっと手に取ろうか

※ラスゲアード(かきならし奏法・フラメンコギター)

   詩手紙2010.8.14
   
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