鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

嘘がほんとでほんとが嘘で

2022-05-28 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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今、ウクライナでロシアの侵略が続いている。
ロシアは、自らの行動を正当化するため、ありとあらウソと言い訳を並べている。
中にはもっともらしいウソがあり、もっぱら国内向けの報道に使われている。
国民はそれを信じている。
報道が規制されているため、嘘だけが伝えられている。
しかも、それをウソだというと、逮捕されるという。
この戦争は長くなりそうで、心配だ。

この詩もコメントはありません。

    嘘がほんとでほんとが嘘で
                          2010年9月

嘘がほんとのようで、ほんとが嘘のようで
なにが善くて、なにが悪いのか
何が正しくて、何が間違いなのか
嘘をつくことがあたりまえになって
誰も違和感を持たなくなっている
わたしにはそれが怖い気がしているのだ
人を不幸せにしない嘘なら
自分を不幸せにしない嘘なら
多少の嘘はあっていいのかもしれない
でも、都合のいい嘘が多過ぎる
都合のいい嘘がまかり通っている
そして、嘘がほんとのように、ほんとが嘘のように
なにがなんだかわからなくなる
何を見ればいいかわからなくなる
わたしは嘘ばかりつくことはしたくない
嘘に染められるのは嫌なのだ
人をほんとうに幸せにする嘘なら
自分をほんとうに幸せにする嘘なら
許されることもあるかもしれない
それでも、嘘のない思いで生きたいのだ
あなたはどうだろうか


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