鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

鈴木信夫の「詩集」

これまでに出版した詩集は                                                     「マイナスからのスタート」(2001年文芸社)                                           「君に いい風 吹きますように」(2004年神奈川新聞社)                                               「生命いっぱい」(2007年神奈川新聞社)                                                      「こころのごちそう」(2012年神奈川新聞社) の4冊と                                                    浅田美知子さんとの共著の絵手紙詩手紙                                                                   「風のように花のように」(2010年 日貿出版社)                                        があります。ホームページでも紹介していますのでご覧下さい。                                               

 涙

2014-06-29 | 
人生のあらゆる場面でついてまわるのが涙ではないでしょうか。
時には涙の効用ということも言われますね。


      

かなしいとき それは 孤独な涙です
人に「そっと」しておいてほしいのです
そうすれば 立ち直れるでしょう

つらいとき それは 苦しい涙です
人に「やさしく」してほしいのです
そうすれば 一歩踏み出せるでしょう

うれしいとき いつでも 喜びの涙です
みんなで 「よくやった」とほめてもらいたい
そうすれば もっと 大きな力がわいてくるでしょう

涙は天使のくれる 心の目薬なのです


                           「マイナスからのスタート」より
                            2000年10月 鈴木信夫
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旅 魚 (とびうお)

2014-06-27 | 
一昨日は、人生は線路でした。
今回は、人生を飛魚の旅になぞらえました。あえて、「旅魚」と書いています。


     旅 魚 (とびうお)


  飛魚は旅立って行く

  何千キロもの長い旅に向かって

  いつ戻ってこれるか一生を賭けた旅立ち

  果てしない道のり どこまで行くのか


  それは人の一生にどこか似て

  覚悟を決め、潔く生命を賭けた旅


  そのヒレ折れて、力尽きるまで

  その使命、果たし尽くすまで

  生命を全うする舞台を探し求めて

                          「マイナスからのスタート」より
                           2000年9月 鈴木信夫
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線 路

2014-06-25 | 
人生を線路になぞらえた詩です。
詩集「マイナスからのスタート」(文芸社)の表紙に線路が使われていますが、この詩からとったものです。


        線 路

 僕の人生という名の線路はどこまで続いていくの

 曲がり、下り、上り、また曲がり

 僕の人生という名の線路はどこまで続いていくの

 夏の日差しを受け 冬の吹雪の中をくぐり抜け


 僕は人生という名の線路はどこまで続いていくの

 この世に生を受け 未だ人生の途上にあって

 僕の人生という名の線路はどこまで続いていくの

 生きた証を残すために 命を燃やすために

                             「マイナスからのスタート」より
                              2000年8月 鈴木信夫
    

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幸 福(しあわせ)

2014-06-23 | 
   幸 福(しあわせ)


 ねえ、君、いま、幸福かって、考えてみて
  
 どういうことが幸福なのかな、考えてみて
  
 目に見えるところにあることが幸福なのかな
   
 そう見えるよね
   
 でも、それだけじゃさびしいと思わない?
   
 それでもいいけど、考えてみて
   
 家族のもとに帰ると、心が「ほっ」とした感じがするでしょう
   
 それって幸福でしょう
   
 人に愛されたら、心が暖かくなってうれしいでしょう
   
 それも幸福でしょう
    
 自分に役割がある、役に立てるって心の底から嬉しく思うでしょう
   
 それも幸福じゃないですか
   
 僕にはようやく見えてきたよ
   
 幸福って、心が満たされることなんだね


                      「マイナスからのスタート」(文芸社)より
                       2000年9月 鈴木信夫
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力を抜いて ~疲れたお父さんへ

2014-06-21 | 
父親として何をしてやれたか、反省はあります。
でも、こんな気持ちを持っていてくれました。


  力を抜いて ~疲れたお父さんへ

 理想的な父親
 偉大な父親
 立派な父親
 優しくて、理解のある父親
 みんなが求める父親は?

                                       
 理想的な父親って何
 偉大な父親って何
 立派な父親って何
 優しくて、理解のある父親って何

                                            
 もっと肩の力を抜いていこうよ
 肩書きなんて紙の上だけ
 心の弱さは人間らしさ
 逃げ出したい時もある

                                            
 いい父親になろうと背伸びはやめて
 家族のために働いて
 誰もほめてくれなくても
 必ず誰かが「ありがとう」と思ってる


                    「マイナスからのスタート」(文芸社)より
                     2000年6月 鈴木信夫
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すいか

2014-06-19 | 
好きな食べ物の一つです。


    すいか
    
 すいか…太陽をからだいっぱいに浴び
 すいか…水を 冷たい水を吸いこみ
     
 君はそのエネルギーを そのまあるい実に宿して
 夏の陽に焼かれ
 疲れきった 僕のからだと
 単純な毎日に
 渇ききった 僕のこころを
 いやしてくれるんだ
 うるおしてくれるんだ
     
 すいか…夏になったら会いたいね
 僕は待っているよ


                    「マイナスからのスタート」(文芸社)より
                              2000年6月 鈴木信夫
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微笑み

2014-06-17 | 
いつも微笑みを絶やさないようにしていたいですね。
「マイナスからのスタート」(文芸社)より


    微笑み

 きみは知ってる?

 微笑みって 力があるんだよ

 こころが暗くなったとき 微笑んでみようよ

 つらい時 微笑んでみようよ

 泣きながら 微笑んでみようよ

 どんな時も 微笑んでみようよ

 微笑む力が助けてくれるよ

 いつでも かならず

 なぜって、それは天使の得意技だから

                             2000年9月 鈴木信夫




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与えること、与えられること

2014-06-15 | 


  与えること、与えられること

僕は何を人に与えてきたのだろう
僕は何を与えられてきたのだろう
僕はあらゆるものを与えられ、生きてきた
神様から 人から 家族から 自然から

生命を 空気を 水を 太陽を 光を
愛と勇気を やさしさを 笑顔を 励ましを
喜びから生きる力を
悲しみからは心の糧を
野の花からさえ笑顔を与えられている

これからの人生、与えることができるだろうか
僕は生きてきて、与えてきただろうか
人に 家族に 社会に 

今までは与えきれなかった
信じることの素晴らしさを
子供たちには夢を 少年には生きる意味を
青年には心が熱くなるものを 大人には自信を

与える人生を歩む人になりたい


                              2000年6月 鈴木信夫


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あじさい

2014-06-13 | 
あじさいの季節になりました。
部屋の窓から見えるあじさいの花を見ながら作った詩です。


   あじさい

   
 あなたはなぜそんなに美しく咲くのですか
 梅雨のなかに咲く
 その美しさ
 控えめなその美しさ
 一歩引く美しさ
 やすらぎを与える美しさ
 その淡い青紫色

                        
 あなたは私たちが忘れかけたものをそっと
 傷つけることなく教えてくれる
 ゆっくり やわらかく ありのままに


                          2000年6月 鈴木信夫
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2014-06-11 | 
梅雨に入り雨がよく降ります。
近頃の雨はやさしいとか静かなという言葉が全く当てはまらないような時が多いようですね。
この詩のような雨がいいと思います。


     雨はやさしい

すべてをしずかに洗い流してくれる
あらゆる苦しみを 悲しみを しずかに
すべてをそっとうるおしてくれる
生きとし生けるものすべてを

雨はつめたい
大地を一瞬にして冷やす
人の心の弱いところまでしみてくる

雨はうつくしい
空にうつくしい虹をかけてくれる
みどりをよりうつくしく輝かせてくれる
街にいろんなうつくしい色のかさをひらかせてくれる

雨は不思議なもの…
雨は人を純粋な想いにさせてくれる
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今 僕にできること

2014-06-09 | 
詩集「マイナスからのスタート」(文芸社)より


今 僕にできること


僕にできることを考えてみた

笑顔で人をなごますことも

人のかなしみを分かちあうことも

人を愛することも

人の期待にこたえることもできる

できることはたくさんある

でも、大切なのは、この時に僕がいること、「今を生きる」こと

僕は、今を生きたいんだ


                              2000年10月 鈴木信夫
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人として

2014-06-07 | 



        人として

「かわいそうに」 その一言は嫌いです

それは目線が違うから嫌いです それは視点が高いから嫌いです

「大変だね」 その一言も嫌いです

それは同情してるから嫌いです 上から人を見てるから嫌いです

言い訳した生き方 嫌だから 一人の「人」にさせてください

障害はあります でも私は普通です 私は人です

障害なんて個性の一部です

あなたも普通です

人として話したい 人として信じてみたい

人として愛したい 人として生きていきたい

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受 容 

2014-06-05 | 
引き続き、詩集「マイナスからのスタート」からお届けします。


     受 容

悲しみを乗り越えてきた 何度も いくつも

障害を自覚したとき 人との違いが悲しかった
歩けなくなったとき 車椅子にのるのが悲しかった
息もできなくなったとき 苦しさそのものが悲しかった
呼吸器の助けをかりることが悲しかった
受け入れることができず 苦しかった

そのとき 生きることが苦しく 悔しく 悲しかった

すべてを受け入れたとき 苦しみは 悔しさは 悲しさは
人の愛や 優しさを 教えてくれる教科書となった

すべてを受け入れたとき 自分一人ではないことに
すべてを受け入れたとき 多くの人が支えていることに気付いた

今 生きていることを大事にしたい


                                    2000年6月 鈴木信夫
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生きることって 

2014-06-03 | 
2000年5月に作ったものです。
「生きる」「愛する」「許す」生涯変わらなかったテーマが現れた最初の詩です。


    生きることって
  
 生きることってつらいことだね
 生きることって悲しいよね
 人を愛することって難しいね
 人を愛すると傷つくこともあるよね
 人を生かすことって厳しいよね
 人を生かすことって覚悟がいるよね
 人を許すことって素直にならないとできないね
 人を許すことって心が痛いね
  
 生きることって素晴らしいよね
 生きることって喜びだね
 人を愛することって自然なことだね
 人を愛することって心が暖たかくなるね
 人を生かすことって人を信じることなんだね
 人を生かすことってうれしいことだね
 人を許すことって美しいことだね
 人を許すことって自分を許すことでもあるよね
  
 人を愛したい 生かしたい 許したい
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私と詩 ‥‥まえがき‥‥

2014-06-02 | 
詩集「マイナスからのスタート」のまえがきに次の文章があります。
自分のためではなく誰かの役に立ちたいという気持ちから作られた詩でした。



     私と詩

私が「詩」を書き始めたのは、母の知人で、私もよく知る人の病気が契気でした。その方が入院中であり、しかも末期で余命に限りがあることを知ったのは、2000年の梅雨の頃です。そうした状況のなか、何とか元気づけ、心を少しでも癒してあげることはできないか、と考えて、「詩」を贈ることにしたのです。それから、「詩」を書くことの喜び、楽しさを知りはじめました。その後も自分の心の糧、生きがいにつながればと、書きつづけてきました。
これらの「詩」は、私が二十九年の人生を生きてきて、歩んできた道、喜び、悲しみ、生命や死について考えたことなど、これまで培ってきた経験、人生観から導き出された心の記録です。
生きることの意味を忘れかけた時、心が疲れて、「ほっ」としたい時に、読んでみてください。何かがつかめるかもしれません。人生のヒントとなるものがあるかもしれません。一人でも多くの人がこの「詩」を読んでくださることを、そこに込めた思いが読まれた皆さんの心の癒しとなることを心から祈ります。


※詩集の表紙
   
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作品を引用するとき

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