鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

鈴木信夫の「詩集」

これまでに出版した詩集は                                                     「マイナスからのスタート」(2001年文芸社)                                           「君に いい風 吹きますように」(2004年神奈川新聞社)                                               「生命いっぱい」(2007年神奈川新聞社)                                                      「こころのごちそう」(2012年神奈川新聞社) の4冊と                                                    浅田美知子さんとの共著の絵手紙詩手紙                                                                   「風のように花のように」(2010年 日貿出版社)                                        があります。ホームページでも紹介していますのでご覧下さい。                                               

STORMY WORLD

2021-08-29 | 
+++++++++++++++++++++++++++++++
鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
+++++++++++++++++++++++++++++++

嵐のような世界と言えば、まさに今がその時かもしれない。
世界中に新型コロナウィルスが広がり、洪水があちこちで発生し、山火事がたくさん起っている。
日本では、緊急事態宣言が継続されるようだが、その効果は「?」である。
どう乗り切るか為政者の腕の見せ所であるが・・・。
期待薄なのは残念だ。

詩手紙のコメントはこの時期と同じです。
「テレビから水のせせらぎの音。ほっとさせてくれました。
 外の日差しはキツイですね。」


        STORMY WORLD
                          2010年6月

STORMY WORLD
まるで嵐のような、めまぐるしい世界がある
この地球といわれる星がそうだ
いま苦しい時代がここにある
でも、そんな時代は何度もあった
それを人は乗りこえてきたのだ
そう言い聞かせれば
すこし強い気持ちになれるのだ

STORMY HEART
まるで嵐のような、めまぐるしい心がある
この人間という生き物がそうだ
いま苦しい人がここにいる
だけれど、それはわたしだけではない
あらゆる人がそうなのだ
そう言い聞かせれば
すこし強い一歩が踏みだせるのだ

世界が心が、めまぐるしくても
それにつぶされないように
まずわたしをしっかり持つことなのだ

   詩手紙2010.7.24
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「かつら」の樹をながめたことがありますか

2021-08-25 | 
+++++++++++++++++++++++++++++++
鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
+++++++++++++++++++++++++++++++

世界中で気候が不安定になっています。
今年は、九州や西日本で豪雨。緊急事態宣言が出されているので、旅行者が比較的少ないのかもしれませんが、各地に被害が出ています。

ちょうど10年前も全く同じで、詩手紙にこんなコメントを残しています。
「関東は夏、九州や西日本は豪雨。何でしょう、この差は。」


  「かつら」の樹をながめたことがありますか
                          2010年7月

「かつら」の樹をながめたことがありますか
この小さな町の歩道に立っていたのです
人はみんな忙しく過ぎていく
スーツを着てネクタイをピシッとしめた男の人
ハイヒールをコツコツ鳴らし歩く女の人
若い人、年配の人、子どもづれのお母さん
小さな小学生、大学生らしき人たち
自転車で走っていく人、急ぎ脚の人
それを見つづけている「かつら」の樹がいます

僕は、なんにも急ぐ用事はないから
ここにある樹に気づいたのかもしれない…

「かつら」の樹をながめたことがありますか
この小さな町の歩道に立っていたのです
僕も、いままで、よく見ていなかった樹だけど
濃い緑色の葉っぱ、ハートのかたちの葉っぱが集まっている
この樹をすこし離れて見れば、自分たちもそうでした
僕たちという、たくさんのハートたちが集まり、ここにいる
僕たちという、一人一人のハートが、ここにいる
一人一人はハートのかたちした一枚の葉っぱなのです
一枚一枚をかさねていく、かさねていく

だから、隣にいる人にも目を向けて
いますこし、優しい、まなざしを向けて
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

見て、聞き、語ることの奇跡―へレン・ケラー

2021-08-21 | 
+++++++++++++++++++++++++++++++
鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
+++++++++++++++++++++++++++++++

この方のことは皆さん十分ご承知のことと思います。
三重苦という想像もできない状況にありながら、障碍者の教育や福祉に尽力しました。
奇跡と言えば奇跡ですが、何とも言いようのない尊敬の念に駆られます。
鈴木信夫は、ヘレンケラーを尊敬し、一歩でも近づきたいと考えていました。

もうすぐ、東京パラリンピックが始まります。
障害者のことを考えるきっかけになればいいと思います。


 見て、聞き、語ることの奇跡―へレン・ケラー
                          2010年6月

あなたは、あの時の熱によって
見ることができなくなった
聞くこともできなくなった
語ることもできなくなった
魂はどれだけ苦しんだだろうか
悲しみに打ちひしがれただろうか
それでも先生との出会いで
奇跡を起こして
それは、あなたの力と神の業(わざ)
そして、外の世界とつながって
ほかの人に見えないものを見て
ほかの人に聞きとれないものを聞いて
ほかの人に語れないことを語り
生きることの意味を
生きることの可能性を
教えてくださったのが、あなたでした
その生きかたは神近き生きかた
そして、誰もが神とつながっていることを知った
私自身は、どうなのか
外から見て、どういう生きかたなのか
私は、あなたに近づいていけるでしょうか
私は、あなたから何を学べばいいでしょうか
人と人の関係なのか
神と人の関係なのか
人、一人一人の支えあいなのか
神への信仰、祈りなのか
あなたの想い
あなたの行動
あなたの言葉
その力は、まさに奇跡
まさしく神の力というべきもの
また、あなたに手を合わせるのです
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぶらぶらしてみよ

2021-08-17 | 
+++++++++++++++++++++++++++++++
鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
+++++++++++++++++++++++++++++++

新型コロナウィルスの感染防止のため、「不要不急の外出を避けましょう」と言われていますが、度重なる緊急事態宣言にみんな言うことを聞かなくなっています。
この時期な遠出をしなくても、ちょっと出かけるだけであれば感染対策になると思います。
「ぶらぶら」と近くを歩くのはなかなかいいものです。

詩手紙のコメントはこう書いています。
「キモチをぶらぶらさせてみると、いい文章が浮かぶかもしれません。」


      ぶらぶらしてみよ
                        2010年6月

ぶらぶらしてみよ
ぶらぶらしてみよ
あの道を、あの街を、何気なく、何となく
ぶらぶらしてみよ
ぶらぶらしてみよ
楽にいこう、楽に、楽にいこう、楽に
すると自然に力が抜けて
すると自然に背中も伸びて
気分がよくなって
気分がさわやかになって
明るくなれる、笑えるようになる
だから
ぶらぶらしてみよ
ぶらぶらしてみよ
あの道を、あの森を、何気なく、何となく
ぶらぶらしてみよ
ぶらぶらしてみよ
気楽にいこう、気楽に、気楽にいこう、気楽に
けっこう、いいものだよ
ぶらぶらしてみるのは
ぶらぶらしてみるのは

   詩手紙2010.7.13
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人の言うことを少し素直に聞こう

2021-08-14 | 
+++++++++++++++++++++++++++++++
鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
+++++++++++++++++++++++++++++++

この詩を今の政府、特に菅総理大臣に届けたい。
信念を貫くのは大事なことだが、多くの国民の考えや専門家の意見を無視してはいけないと思います。
もし、聞かない場合はその理由や考えをはっきりと言わなければなりません。
それがないから、不満だけが残るのです。

  人の言うことを少し素直に聞こう
                          2010年6月

どんなに嫌なことだったとしても
どんなに小さなことだったとしても
人の言うことを少し聞いてみよう
人の言うことを少し素直に聞いてみよう
考えるのは、それからでも遅くないでしょう
一度、心に入れてみて
それを聞いたほうがいいのか
聞かないほうがいいのか
決めてもけっして遅くない
あなたの心に入れてみて
少し違うなら、やめればいい
あなたの考えにしたがえばいい
そうしないと予期しないことが起きたりする
そうしないと道からそれたりする
一度、聞いてみるのがいい
少し聞いてみるのがいい
素直に聞いてみるのがいい
聞いても損することはないから
わたしもそうすることにしようと思うのです


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Crayon Sky,Crayon Sea

2021-08-10 | 
+++++++++++++++++++++++++++++++
鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
+++++++++++++++++++++++++++++++

オリンピックの開会式の日に、ブルーインパルスが東京の上空に五輪の絵を描きました。
前回のオリンピックのときと同じものを書いたのです。
残念ながら雲が少し出てはっきりとした五つの輪は見えませんでしたが、この詩にあるようなクレヨンで描いた絵のようでした。

詩手紙のコメントはこうです。
「関東は、かなり暑いようですね。エアコンなしには過ごせません。」

      Crayon Sky,Crayon Sea
                        2010年6月

空がクレヨンで塗りたくったように
薄い空色、空色、濃い空色に染まっている
かさなるように、かすれるように
海がクレヨンで塗りたくったように
薄い空色、空色、濃い空色に染まっている
混ざるように、ぶつかるように
僕の想いもクレヨンで塗りたくったよう
切なさ、悲しさ、虚しさに染まっている
憎しみ、苦しみ、葛藤に染まっている
色々な色で空がひとつになるように
色々な感情で僕が僕になっているのだ
色々な色で海がひとつになるように
色々な感覚で僕が僕になっているのだ
切なさは、橙色
悲しさは、深緑色
虚しさは、紺色
憎しみは、赤銅色
苦しみは、灰色
葛藤は、真っ黒い色
どんなに嫌な色でも、すべてを混ぜれば、色は白になるはず
それが愛になり、勇気になり、生きる力になる
今日も空はクレヨンで塗りたくったように
今日も空は色々な色で染められている

   詩手紙2010.7.14
   

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胡椒

2021-08-06 | 
+++++++++++++++++++++++++++++++
鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
+++++++++++++++++++++++++++++++

日本の慣用句に「山椒は小粒でぴりり辛い」という言葉があります。
胡椒は山椒とは違いますが、ピリッと辛いのは共通しています。
主役ではなく引き立て役として活躍するのも共通しています。

この詩は詩手紙になっていません。


        胡椒
                        2010年6月

私の力は小さいけれど
存在感はまったくないけれど
少しでもいいから胡椒に近づきたい
人が生きる時には胡椒のような刺激が必要なのかな
それが新しい力をくれるのかもしれない
考えてみれば
胡椒は、海を渡ってやってきた
香りの強い小さな粒
あんな小さな粒のために
たくさんの国々が航海に出たとは
それは、別の苦しみを生んだ
それは、心に刻んでおくべきものだが
どんなものにも使われる胡椒
何かと使っている胡椒
胡椒ほど味を引きしめるのに、うってつけのものはない
胡椒ほど味に欠くことのできないものはない
一粒一粒はたいして存在感ないけれど
小さい胡椒がたくさん集まれば
刺激的な強い香りと味になる
何か不思議な気がする
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

虫眼鏡で蟻の生活をながめたとしたら

2021-08-03 | 
+++++++++++++++++++++++++++++++
鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
+++++++++++++++++++++++++++++++

イソップの童話にもあるように、蟻は働き者です。
ただ、巣の真ん中には女王さまがいるみたいで、ちょっと気になるところです。
でも、一匹一匹は一生懸命働いていることは感心します。

詩手紙のコメントは、こう書いてありました。
「日本に希望が見えるといいですね。
 サッカーだけでなく、いろんなジャンルで。」


    虫眼鏡で蟻の生活をながめたとしたら
                          2010年6月

蟻が地面をひたすら歩いている
それを窓からじっとながめていた
僕らを空から神様がながめていたら
それは、まるで蟻の生活のようだろう
それを知りたいのなら
虫眼鏡で見てみればいい
ぞろぞろと一列になって食糧を運び
一つ一つ巣穴に入れていく姿
巣穴を大きくするために土を掻きだし
せっせ、せっせと運びだす姿
子供たちを育てて、自分たちを
必死になって守ろうとしている姿
大変だな、頑張っているな
そう思って、見ています
興味深くて、面白いもので
ひょっとすると神様もそうやって
僕らをながめているのかもしれない
僕らがつくる世界を、僕らが懸命に生きる様を
神様は喜んでながめているのかもしれない
そう思うと、世界は小さく思えてくる
安心感のなかで生きられそうに思えてくる

   詩手紙2010.6.29
   

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作品を引用するとき

作品を引用する際は、必ず作者名を記載下さい。 また、書籍に収められているものは、出版社名も併せて記載下さい。