鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

鈴木信夫の「詩集」

これまでに出版した詩集は                                                     「マイナスからのスタート」(2001年文芸社)                                           「君に いい風 吹きますように」(2004年神奈川新聞社)                                               「生命いっぱい」(2007年神奈川新聞社)                                                      「こころのごちそう」(2012年神奈川新聞社) の4冊と                                                    浅田美知子さんとの共著の絵手紙詩手紙                                                                   「風のように花のように」(2010年 日貿出版社)                                        があります。ホームページでも紹介していますのでご覧下さい。                                               

飛行機雲

2014-12-31 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

今年もいよいよ最後の日になりました。
この一年、鈴木信夫の詩をたくさんご紹介をしてきました。
ご覧いただいていかがでしたでしょうか?
来年も続けて載せていきますので、感想、批評、などなど、ぜひお聞かせください。

今年の最後の詩は、人生目いっぱい生きた信夫の心を表しているものと思います。


      飛行機雲
                            2002年11月

人生は、まるで空の真ん中に描かれた
一本の飛行機雲のようなものかもしれないね
一歩一歩、進んできた僕の人生の軌跡が
白い線となっていくのを見ているようだね
せっかく、この世界に生まれてきたのだから
僕が生きたことを何かの形で残したいと思う
ひとつでいい、たったひとつでいいんだ
たとえ、美しい生き方ができなくても
たとえ、人が羨むような生き方でなくても
たとえ、悲しみだけの生き方に見えたとしてもね
そんなことは、問題じゃないと思う
問題は、悔いなく生きることができるか
そして、そこに軌跡を残せるかということ
それで、最期に幸せだと思えたなら…成功なんだから
それを心から感謝できたなら…神様が認めてくださるから
それには、その瞬間、瞬間をめいっぱい生きればいいんだね

   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

完璧じゃなくていい

2014-12-29 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より
2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

暮れになると一年を振り返るテレビ番組が多くなりますね。
年の初めには、さあがんばるぞという気持ちでスタートするのですが、
終わりにはなかなか満足な気持ちになれないものです。
だからこそ、また新たな気持ちで新年を迎えることができるのでしょうが…。


     完璧じゃなくていい
                              2001年3月

みんな完璧な生き方を求めすぎてる
完璧なひとなんていない
完璧なことは決していいことじゃない
完全なひとには魅きつけるものが少ない
苦労してないひとは魅きつける力が弱い

どこか欠けていてもいい
困難を越えてきたひとには何かがある
挫折から抜け出そうとする姿にひとは魅きつけられる
その言葉には輝きがある

大切なのは完璧な人生じゃない
より美しい人生を命を懸けて生き切ること
あなたしかできない生き方をすること
完璧じゃなくていい、完璧じゃなくて…


   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いのちのにおい

2014-12-27 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

今年もあとわずかになりました。
この一年も無事に過ごせたことに感謝したいと思います。
生きていることはすばらしいこと、信夫も生きている実感があったのでしょう。


      いのちのにおい
                         2003年3月

いのちのにおいがしませんか
春の空気のなかに、夏の空気のなかに
ふだんは、なにげなく過ぎ去っていくもの
外にさえ出られない日々のなかにいた私
その日々がもう一人の私を育ててくれた
そして、外に出ることができたときに
それまでただ通り過ぎるだけだった
いのちのにおいを体いっぱい感じました

いのちのにおいがしませんか
秋の空気のなかに、冬の空気のなかに
ふだんは、なにげなく過ぎ去っていくもの
生きている実感さえ持てなかった私
その日々が私の存在をはっきりさせてくれた
そして、生きていることが嬉しいと思ったとき
それまで感じることさえなかった
いのちのにおいを体いっぱい感じました


   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

速いボールと遅いボール

2014-12-25 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

今日はクリスマスです。
いつごろから一般的なお祭りになったのかわかりませんが、今では宗教的な意味はすっかりなくなっていますね。


      速いボールと遅いボール
                              2003年4月

壁に向かってボールを投げてごらん
速いボールを投げたら、速いボールが返ってくる
遅いボールを投げたら、遅いボールが返ってくる
強いボールを投げたら、強いボールが返ってくる
優しいボールを投げたら、優しいボールが返ってくる
人の気持ちもボールみたいなものなんだよ
君が嫌いだと思えば、相手もきっと嫌いだと感じるもの
君が興味を持ったら、相手もきっと興味を持つもの
君が近づいてきたら、相手もきっと近づいてくるもの
相手の気持ちがわからなくなったら、思い出して
ボールと同じだっていうことをね
そうしたら、糸口がつかめてくるようになるよ
すぐにわからなくてもいいんだ
わかってくるまで待っていればいいんだよ

   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

きみにはどうみえるだろう このせかい

2014-12-23 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

ものごとを一つの方向からだけ見ていては正しく見ることはできませんね。
どうやればいろいろな方向から見ることができるか…、難しいです。

 きみにはどうみえるだろう このせかい
                          2002年1月

きみにはどうみえるだろう このせかい
ありの眼でみてごらん どうみえるだろう
ことりの眼でみてごらん どうみえるだろう

きみにはどうみえるだろう このせかい
うまの眼でみてごらん どうみえるだろう
くじらの眼でみてごらん どうみえるだろう

きみにはどうみえるだろう このせかい
おひさまになったつもりでみてごらん
おつきさまになったつもりでみてごらん

いろんな眼でみてごらん
そうしたら すこしはせかいがみえてくる
そうしたら たいせつなせかいがみえてくる

   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この世でいちばん。

2014-12-21 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

この詩は、2003年5月5日、第1回「ゴールドコンサート」(註)で、最優秀作詞賞をいただいたものです。
同じ年の7月4日候補区公会堂で開いた「ありがとうふれあいコンサート-鈴木信夫の詩の世界-」でこの詩をイメージした曲が吉川正夫さんの作曲とピアノ、諸岡由美子さんのチェロにより演奏されました。


   この世でいちばん。
                                 2001年9月

この世でいちばん、えらいのは、
どんなひとだというのでしょう。
たとえば、
それは、おかねがたくさんあるひとでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
この世でいちばん、えらいのは、
ひとのためにつかうことのできるひと。

この世でいちばん、つよいのは、
どんなひとだというのでしょう。
たとえば、
それは、ちからがとてもつよいひとでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
この世でいちばん、つよいのは、
じぶんのこころのよわいこと、だれよりもしっているひと。

この世でいちばん、やさしいのは、
どんなひとだというのでしょう。
たとえば、
それは、なんでもきみのいうことをきいてくれるひとでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
この世でいちばん、やさしいのは、
いけないことをしたときに、なみだをながして、しかってくれるひと。

この世でいちばん、すてきなのは、
どんなひとだというのでしょう。
たとえば、
それは、かおやすがたのうつくしいひとでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
この世でいちばん、すてきなのは、
こころがどんなひとよりも、うつくしいひとなのです。

でも、ほんとうはね。
みんな、みんな、この世でいちばん。

(註)ゴールドコンサート
   音楽を志す障害者に活躍の場をつかむ機会を提供するオーディション
   方式のコンサートで、NPO日本バリアフリー協会が主催するもの。
   ここからプロの道へ進んだ人もいる。
   今年で11回を数える。
   
   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゆりの花

2014-12-19 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

花はいろいろなメッセージを伝えてくれます。
しかし、ただ何となく見ているだけでは何もわかりません。
花とまっすぐ向き合う気持ちが必要なのだと思いますが、なかなかできないものです。


         ゆりの花
                                    2001年9月

わすれられないことばがあるのです、ひとつのことばがあるのです

あなたは、あなたを不幸だというかもしれません
それは、あなたより幸運なひとばかり見ているから
それは、上しか見ていないから
それは、あなたのまわりを見ることをわすれているから
そんなあなたのこころに聞いてもらいたいことばがあるのです

わたしも、あなたと、まるっきり同じでした
わたしは、いつもひとりだけ、不幸と思っていたのです
みんなが、幸運に見えました
上ばっかり見ていて、まわりなんて見えません
そんなわたしのこころのなかに、残っていることばがあるのです

「上を見れば、きりがない。下を向いて咲くゆりの花。」
ゆりは、気高くて、気品漂う、美しい花です
ひけらかす、そんなことなど考えず、
下を向いて咲いています

ゆりよ、あなたは教えてくれています
いつも見えなくなってしまうこと
すぐにわすれてしまうこと

   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Color Of The World

2014-12-17 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

今、世界では、争いが絶えません。
人種の違い、宗教の違い、などがあっても、人には変わりがないのです。
にもかかわらず、自分だけが正しいと思い込み、争いを起こしている人たちがたくさんいることは何とも情けないと思いますが、それが現実ですね。


   Color Of The World
                          2001年7月

Color Of The World
あなたのいる世界はどんないろですか
わたしのいる世界はどんないろですか

Color Of Rain
あなたに降るのはどんな雨ですか
わたしに降るのはどんな雨ですか
あなたの世界には憎しみのつまった機関銃の雨が降り
わたしの世界には子供を守れなかった母の涙雨が降り
かなしい雨しか降らないのでしょうか

Color Of Face
あなたの顔はどんないろですか
わたしの顔はどんないろですか
あなたは白いアメリカ人、わたしは黄色いアジア人に生まれ
彼は黒いアフリカ人、彼女は青いヨーロッパ人に生まれて
それがどれだけ違うというのでしょうか

Color Of Eyes
あなたの瞳にはなにが映っていますか
わたしの瞳にはなにが映っていますか
あなたにはすべてがいろあせて見えてしまい
わたしにはすべてが異様ないろに見えてしまう
なにかが狂ってしまったのでしょうか

Color Of Tears
あなたが流しているのはどんな涙ですか
わたしが流しているのはどんな涙ですか
あなたは絶望という涙を流しつづけ
わたしは後悔という涙ばかり流しつづけて
笑顔で満たされる日はいつ来るのでしょうか

Color Of Love
あなたの愛はどんないろですか
わたしの愛はどんないろですか
あなたのいる世界がどうなっても
わたしの生まれる時代がどう変わったとしても
生命はすべてつながりあっているのです

Color Of The World
あなたのいる世界はどんないろですか
わたしのいる世界はどんないろですか

    
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春をみつけた

2014-12-15 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より
2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

少し季節はずれですが、心が「ほっと」する詩です。
時にはこんなやわらかい気持ちを持ちたいものです。


   春をみつけた
                      2001年12月

みんな眠っていたんだね。
いつのまにやら、そこにいるよ。
ちょうちょも、めだかも、みつばちも。
つくしんぼうが笑ってて。
たけのこ、ひょこひょこ顔をだす。
みんな待っていたんだね。
なんだかとても楽しそう。
そこにも、ここにも、あそこにも。
みえる、いのちがあふれてる。
みえない、いのちもあふれてる。

   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あったかいかたまり

2014-12-13 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

「情けは人の為ならず」という言葉があります。
何に対しても暖かい気持ちを持つこと…人にとって大事なことですね。


      あったかいかたまり
                              2003年4月

胸に手をあててみてごらん
そこにあったかいかたまりがあるでしょう
そのあったかいかたまりを大切にしてほしいんだ
あったかいかたまりは、あなたをしあわせな気持ちにする
ほんとうの意味でしあわせにしてくれるよ
あったかいかたまりは、つらいときこそ必要なんだ
それがしあわせになるための力をくれるよ
だから、つらい人を見かけたら、
あなたのあったかいかたまりをわけてあげよう
そうすると、きみのあったかいかたまりは
もっと大きなかたまりとなってね
わけてあげた人だけではなくて
あなたのところに知らないうちにかえってくるんだよ
もう一度、胸に手をあててみてごらん
そこにたしかにあったかいかたまりがあるでしょう

   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

匂 い

2014-12-11 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

「香り」という言葉があります。
なんとなく漂ってくる…というイメージを持ちますが、
それに引き換え、「匂い」という言葉にはもっと強いものを感じます。
記憶としては匂いのほうが強いのかもしれません。


    匂 い
                      2001年2月

夏に降る雨の匂いが好きになりました
あれは、いつの頃からだったでしょうか
降りはじめたときのあの匂い

きんもくせいの花の匂いが好きになりました
あれは、いつの頃からだったでしょうか
甘く、やわらかい、あの匂い

春のあたたかい風の匂いが好きになりました
あれは、いつの頃からだったでしょうか
ほほをなでていくときのあの匂い

海の匂いが好きになりました
あれは、いつの頃からだったでしょうか
浜辺をふきわたる、潮風のあの匂い

いつの間にか、わすれていました
みんな、私を癒してくれていたのです


   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2014-12-09 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

一昨日は「雨」の詩を紹介しました。、昨日は「霜」、今日は「雪」です。
日本という国は様々な天候を経験できます。
とはいえ、最近は、豪雨、豪雪などであちこちに被害が出ているのはちょっと困ったものですが…。


    
                          2002年2月

冬、世界が白と銀に変わります
雪がしずかに変えてゆきます
わたしの、そしてあなたの心を変えてくれます
雪がすべてをかき消してゆきます
わたしの、そして、あなたのさみしさをかき消してくれます
雪はかなしくてうつくしいのですね


   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

霜 柱

2014-12-07 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

秋が来たかと思ったらもう冬になってきました。
ことしは暖冬だといわれていますが、やはり冬は寒いのです。


    霜 柱
                    2001年11月

あなたは、霜柱っていいます
あなたって、不思議です
冬が近づいてくると思います
そこには、いなかったはずなのに
土の中から出てきます
冬が来ること、知らせます

あなたは、霜柱っていいます
あなたって、力持ちです
すがたをみせると思います
つめたく、おもたい土を持ちあげて
ここにいるよ、と出てきます
冬が来たこと、知らせます

あなたは、霜柱っていいます
あなたって、がんばりやさん
あなたをみるたび思います
どこかのだれかさんに踏まれても
朝には、よいしょ、と出てきます
あなたは冬が好きですよね

あなたって、とても不思議です


「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Rainyday

2014-12-05 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

以前「雨」という詩をご紹介しました。(2014.6.11)
雨は不思議なもの…というものでしたが、雨の日をどういう気持ちで過ごしていますか。
昨日は雨が降りました。冬の雨は寂しいものですね。


   Rainyday
                              2001年3月

雨の日には、色褪せて見えたものが鮮やかな色になってゆく
まるで空から絵の具でも降らせて
街というキャンバスに色をつけたよう
ココロの色が少しずつ輝きを増してくるよ

雨の日には、雨の音のほかに音は聞こえない
都会のざわめきは沈黙の箱のなかにとじこめられて
だれかが魔法でもかけたようにすべてが止まっている
ココロの音が静かに響いて伝わり始めるよ

雨の日には、外の世界をずっとながめていたい
雨滴のひとつひとつが地面にゆったりと染み込んでゆく様子を
生きとし生けるものをそっと育んでくれる
ココロのなかにすっと流れ入って癒してゆくよ


   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

はな・ひとひら

2014-12-04 | 
 ++++++++++++++++++++++++++++++
詩集「君にいい風吹きますように」より

2004年5月、二冊目の著書を神奈川新聞社から出版しました。                                                                 58編の詩と3編のエッセイからなる詩集です。
この詩集の中から選んで紹介してゆきます。( 10月22日から一日おきに掲載しています。)
 ++++++++++++++++++++++++++++++

信夫の部屋の窓からいろいろな花を見ることができました。
沈丁花、さつき、あじさい、金木犀、山茶花、つばき、など…。
花は心をやさしくしてくれますね。


   はな・ひとひら
                      2002年1月

はな 咲こうとしています
もうすこしってこえをかけたくなりました

はな かぜにゆれています
ずっとながめていたくなりました

はな あめにぬれています
はやくはれないかっておもいました

はな ゆきに埋もれかけています
そっとはらってあげました

はな ひとひら 散っていきます
はかないなってかんじました

はな たびだっていきます
また、あいたくなりました

   
   「君にいい風吹きますように」神奈川新聞社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作品を引用するとき

作品を引用する際は、必ず作者名を記載下さい。 また、書籍に収められているものは、出版社名も併せて記載下さい。