鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

鈴木信夫の「詩集」

これまでに出版した詩集は                                                     「マイナスからのスタート」(2001年文芸社)                                           「君に いい風 吹きますように」(2004年神奈川新聞社)                                               「生命いっぱい」(2007年神奈川新聞社)                                                      「こころのごちそう」(2012年神奈川新聞社) の4冊と                                                    浅田美知子さんとの共著の絵手紙詩手紙                                                                   「風のように花のように」(2010年 日貿出版社)                                        があります。ホームページでも紹介していますのでご覧下さい。                                               

「あなたの所へおじゃまします」

2013-09-30 | 
昨日に引き続き、弱いものの立場に立った詩です。
作者の詩の多くがこのような弱者に対するメッセージです。
この詩は、JAYE公山さん(ゴスペルシンガーソングライター)によって曲がつけられました。
JAYE公山さんとの出会いは、思いもしないところからつながりができるという奇跡的なものでした。
また別の機会にご紹介したいと思います。

  あなたの所へおじゃまします
               2004年9月 鈴木信夫

あなたの所へおじゃまします
悲しみを受け取りにいくためにね
その代わりに喜びを置いていきますから

あなたの所へおじゃまします
一人ぼっちを受け取りにいくためにね
その代わりに友情を置いていきますから

あなたの所へおじゃまします
恨み心を受け取りにいくためにね
その代わりに許しの心を置いていきますから

あなたの所へおじゃまします
さみしさを受け取りにいくためにね
その代わりに愛する気持ちを置いていきますから

どうしてこんなことを?
あなたは思っているかもしれませんね
それは神様から預かったからなんですよ
だから、あなたはただ受け取ってくれればいいのです
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「なみだをぜんぶ」

2013-09-29 | 
作者はいつも弱いものの立場でものを考えていました。
この詩もその一つです。

    なみだをぜんぶ
                  2002年10月 鈴木信夫

僕がうけとめるよ、あなたのなみだをぜんぶね
あなたの心にある想いがわかるから
心は空しさでいっぱいでこわれそうなのに
いつもは無理して笑顔をつくってること
みんなの前では、なみだ流せないよね
あふれそうになるのをじっと、こらえるしかないよね
でも、ひとりになったら、なみだ流していいよ
かわいてしまうほどに思い切りね、なみだ流していいよ
そのなみだ、僕がうけとめるから
同じ悲しみ知るものとしてうけとめるから
ぜんぶぜんぶ流してしまえばいいんだよ
大丈夫、僕がうけとめたなみだは
神様にお願いして、うけとめてもらうからさ

僕があずかっておくよ、あなたのなみだをぜんぶね
あなたの心にある想いがわかるから
心は切なさでいっぱいで息苦しいほどなのに
いつもは頑張って気持ち、はりつめてること
みんなの前では、なみだ流せないよね
こぼれてしまいそうなのをじっと、こらえるしかないよね
でも、ひとりになったら、なみだ流していいよ
声がかれるほどにめいっぱいね、なみだ流していいよ
そのなみだ、僕があずかっておくから
同じ苦しさ知るものとしてあずかっておくから
ぜんぶぜんぶ流してしまえばいいんだよ
大丈夫、僕があずかったなみだは
神様にお願いして、あずかってもらうからさ
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「心の持ちよう」について

2013-09-28 | 
日頃余裕のない生活に追われている人が多いと思います。
そんな人に心の持ちようについて二つの詩をお届けします。
少しでも心の余裕が生まれればいいな…と思いつつ。


  時 間~あせらないで
                 2002年2月 鈴木信夫

「時間がない、時間がない」とつぶやく、
君のこころは、あせりでいっぱいかもしれない
僕には、君がどれほどつらいかも
僕には、君がどれほどくやしいかも
痛いくらい、わかる
だけど、
一度、立ち止まって、思いかえしてみて
そのあせりっていうやつは
「時間がない」ことのせいで
生まれてきたものではないってことを
それは、
ほかの誰かとくらべることから
生まれてきたものかもしれないって
だから、
あせることなんてない
君には、君だけにしかない才能と個性がある
あせりをすてたとき、
君の想いは通じていく



  幸せになるための二つの考えかた
                2002年12月 鈴木信夫

あなたにこのことを知ってほしい
これは人から聞いたことなんだけどね
大切なことだから伝えておきたいと思ったんだ

「不安で不安で押しつぶされそう」
そんなとき、これを思い出してほしい
「不安であれば不安であるほど成功に近づいている」ということ
成功とほど遠ければ不安さえも生まれてこない
チャンスがあると思っているから不安なのだから
成功した瞬間に不安は、たとえようもない喜びへと変わるんだよ

「悔しくて悔しくてたまらない」
そんなとき、これを思い出してほしい
「悔しいと思えることは、本当は幸せなことだ」ということ
そう思うのは、自分を高める気持ちがあるからだよ
悔しいと思わなくなったら、成長は止まってしまうから
悔しいと思える、あなたなら、きっと大丈夫なはずだよ

あなたに、この二つだけは知っておいてほしい
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「あたりまえ」ということを考えてみました。

2013-09-27 | 
 全身の筋肉が衰えていく筋ジストロフィーと向き合った作者が日頃から感じていることを書いたものです。
ともすればなんでも手に入る豊かな生活を「あたりまえ」と思い、ありがたさを忘れがちになる風潮を決していいものではないと感じたところからできた詩です。


「あたりまえ」という価値 
               2002年4月 鈴木信夫

あなたは知っているでしょうか
というよりは気がついているでしょうか
「あたりまえ」ということの価値
朝、目覚めるのは「あたりまえ」かも知れません
呼吸しているのも「あたりまえ」かも知れません
それだけで価値のあることなのです

あなたは気がついているでしょうか
目が見えるのは「あたりまえ」かも知れません
耳が聞こえるのも「あたりまえ」かも知れません
それだけで価値のあることなのです

あなたは気がついているでしょうか
歩けるのは「あたりまえ」かも知れません
手が動くのも「あたりまえ」かも知れません
それだけで価値のあることなのです

あなたは気がついているでしょうか
生きているのは「あたりまえ」かも知れません
幸せなことだって「あたりまえ」かも知れません
それだけで価値のあることなのです

あなたは気がついているでしょうか
「あたりまえ」でいられること
それは最も価値あることだって思います
「あたりまえ」って「ありがたい」って思います



「あたりまえ」はいちばん難しい         
                2006年1月 鈴木信夫

いま再び出会ったことがある
「あたりまえ」は難しい、いちばん難しいこと
なにをするにもそこを忘れてはいけない

いま、あらためて気づいたことがある
「あたりまえ」を「あたりまえ」で終わらせないで
あたりまえであることに感謝しよう
それがすべてに通じる道なのかもしれない

いま、しっかり見直していきたい
人は新しいことばかり求めていくけれど
「あたりまえ」ができないと新しいことはできないのかもしれない
いまそれが大切なときに来ているのかな

いちばん難しい「あたりまえ」からはじめていこう
コメント (1)
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鈴木信夫がこれまでに創った詩紹介してゆきますので、じっくりと味わってください。

2013-09-26 | 
  ありがとう、ごめんなさい
                    鈴木 信夫

   神様 生命を与えてくださり、ありがとう
   神様 生命を大切にできなくて、ごめんなさい

   お母さん 生んでくれて、ありがとう
   お母さん 生まれてきて、ごめんなさい

   お父さん 支えてくれて、ありがとう
   お父さん 期待に応えられずに、ごめんなさい

   神様 試練をありがとう
   神様 人生を恨んで、ごめんなさい

   お母さん 愛を与えてくれて、ありがとう
   お母さん 自由を奪って、ごめんなさい

   お父さん 認めてくれて、ありがとう
   お父さん 我慢させてばかりでごめんなさい

   みんな ありがとう、ごめんなさい
   でも、ありがとう


  この詩は、2000年7月に創られたもので、鈴木信夫の代表作と言ってもいいものです。
  最初の詩集「マイナスからのスタート」(文芸社)に収められています。
  
  全国の小中学校で教材として使われ、朝日新聞や神奈川新聞でも取り上げられました。
  本人は、学校で使われるということを一番喜んでいました。

  シンガーソングライターの”こんのひとみ”さんが曲をつけ、自ら数多くのコンサートで歌ってきました。
  また、JAYE公山さん、KUSUYOさんなどもそれぞれのライブコンサートで歌っています。
  
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作品を引用するとき

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