鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

鈴木信夫の「詩集」

これまでに出版した詩集は                                                     「マイナスからのスタート」(2001年文芸社)                                           「君に いい風 吹きますように」(2004年神奈川新聞社)                                               「生命いっぱい」(2007年神奈川新聞社)                                                      「こころのごちそう」(2012年神奈川新聞社) の4冊と                                                    浅田美知子さんとの共著の絵手紙詩手紙                                                                   「風のように花のように」(2010年 日貿出版社)                                        があります。ホームページでも紹介していますのでご覧下さい。                                               

鈴鳴らし、シャンシャン

2021-09-21 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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自分の姓が「鈴木」だからでしょうか、「鈴」には親しみを感じます。
「猫に鈴」という言葉がありますが、昔から猫の首には鈴をつけていたのでしょうか?
この場合は、弱い鼠から強い猫を見ているのですが、何かと世相を見ているような気がします。

詩手紙のコメントはこう書いています。
「涼しい音を響かせる、鈴のように爽やかにいきたいですよね。」


      鈴鳴らし、シャンシャン
                          2010年7月

シャン、ひとつ鈴鳴らし
シャンシャン、ふたつ鈴鳴らし
猫はどこから来たのだろ
シャンシャン、ふたつ鈴鳴らし
シャンシャンシャン、みっつ鈴鳴らし
猫はどこへ歩いてく
シャンシャンシャン、みっつ鈴鳴らし
シャンシャンシャンシャン、よっつ鈴鳴らし
猫はなにをしてるのだろ

僕も…

シャン、ひとつ鈴鳴らし
シャンシャン、ふたつ鈴鳴らし
この音を楽しんでみよう
シャンシャン、ふたつ鈴鳴らし
シャンシャンシャン、みっつ鈴鳴らし
この涼やかな音を味わってみよう
シャンシャンシャン、みっつ鈴鳴らし
シャンシャンシャンシャン、よっつ鈴鳴らし
どこかのだれかにもこの音を聞かせたいな

あれ?あれ?
どこからか鈴鳴る音がする

   詩手紙2010.7.20
   
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抑止-yokusi-

2021-09-17 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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最近、メディアのレベルが非常に低くなった気がする。
政治や行政への批判さえしていれば視聴者は満足するとでも思っているようだ。
東京オリンピックの開催は反対だと言っていたテレビ局が、いざ始まったら、やれ金メダルだ、などと大騒ぎしていた。挙句の果てに、テレビ局の社員が打ち上げと称して大勢で宴会をして非難を浴びていた。
一方、パラリンピックを放送したのはNHKだけで、民放はごく一部を除き放送はなかった。
理念もなければ信念もない。したがって提案もない。
報道の持つ本来の力を取り戻してほしいと思う。


      抑止-yokusi-
                          2010年7月

抑止しなければならない
曲がった見方という、行きすぎたものを
うがった見方という、行きすぎたものを
曲がった見方をするのが知的というような
うがった見方をするのが偉いような
そんな知識人の勘違い
そんな勘違いしている知識人
鵜呑みにするのも甘いかもしれない
けれど、ぜんぶを否定的にとらえるのも可笑しい
それが知的だとでも言いたげな
それが偉いとでも言いたげな
そんな知識人づらした人たちがいて
自分たちが世の中を動かしていると思い込んでいる
そのほうがよほど甘い気がするのだ
宗教を否定し、権力を否定し
情報を隠し、人の思いを無視し
それを誰にも気づかれないように
しらっとした顔で生きている
そうじゃない、そうじゃない、そうじゃないはずなのだ
できうる限り、優しさを持って
できうる限り、愛ある厳しさを持って
その姿勢が本来の知識人なのではないだろうか
なぜ、こうも気がつかないのか、私にはわからない
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奇跡を起こす人~The Miracle Worker~

2021-09-13 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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今年ほど奇跡が起こることを期待している年はない。
世界中が新型コロナウィルスの感染拡大が収まってほしいと願ってる。
事実を把握し対策を考える立場の人たちまで奇跡を期待しているのではないだろうか。
政治家の無責任さが今年ほど目立ったことはないように思う。

それにしても、暑さと大雨、何とかしてほしいと思います。

10年前も同じだったようです。こんなコメントを残しています。
「暑さに、まいりそうです。エアコンさまさまです。」


   奇跡を起こす人~The Miracle Worker~
                          2010年7月

人に働きかけて奇跡を起こす
世界に働きかけて奇跡を起こす
奇跡には小さい大きいはあるけれど
だれもがその役割をもつと言っていい
わたしは、この世の中にある真実(ほんとう)なのだと信じている

それを伝えていくのが、この世の中に奇跡を起こす布石になる
それが、わたしの役割のひとつ

人に働きかけて奇跡を起こす
世界に働きかけて奇跡を起こす
名がある人でも名もなき人でも
だれもがその役割をもつものなのだと思う
この世の中に生きる真実(ほんとう)なのだと信じている

それを語っていくのが、この世の中に奇跡をもたらす力になる
それが、わたしの役割のひとつ

The Miracle Worker、一人一人の役割がぜったいにある
どんな小さなものでも
The Miracle Worker、一人一人の役割がぜったいにある
どんな大きなものでも
どうでもいい役割はひとつもない
どれも、どんなこともこの世を動かす知恵であり、力になるもの

すべての奇跡はそこから走りだしていくもの
すべての奇跡はそこから流されていくもの

   詩手紙2010.7.23
   
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神様へのルートをつくろう

2021-09-09 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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「神様」とはどういう存在なのか。
キリストとかマホメットとかが神と言われていますが、鈴木信夫が思っていたのは、少し違って、すべてを超越した存在だったと思います。

詩手紙のコメントは、こう書いています。
「気負わず、気追わず。一歩ずつ、一歩ずつ。
 それが長続きの秘訣ですね。」


     神様へのルートをつくろう
                          2010年7月

僕は、もっと僕そのものをさがしださないといけない
もっと僕そのものを育てないといけない
それから、神様に祈らないといけない
僕は、もっと僕の誤解をやめないといけない
もっと僕の思い込みをやめないといけない
それから、神様に祈らないといけない

そうして、神様へのルートをつくろう
神様へのルートができれば、そこに光がさす
光がさしたら、あとは…誰かを思いやること
神様へのルートができれば、そこに光がさす
光がさしたら、あとは…誰もが人の尊さを知ること

そうして、神様へのルートをつくろう
神様へのルートができれば、そこで暗い闇がおわる
闇がおわれば、あとは…人は愛に染まるから
神様へのルートができれば、そこで暗い闇がおわる
闇がおわれば、あとは…愛を人の胸に注ぐだけ

僕は、もうすこし僕の気負いをやめないといけない
もうすこし僕の独りよがりをやめないといけない
それから、神様に祈らないといけない
僕は、もっと僕そのものをつくりなおさなければいけない
もっと僕そのものを大きくしなければいけない
それから、神様に祈らないといけない

   詩手紙2010.7.18
   
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脈絡なく

2021-09-05 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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人間の感情は、時として予想しない変化が起こるようだ。
今まで機嫌良くしていた人が、突然、怒り出したりする。
まさに、脈絡なく・・である。
人間だから・・・・か。

詩手紙のコメントにはこう書いてありました。
「言い訳しないで生きていきたいのに、これがなかなかできないのが人間なのですね。私自身がそうです。」


         脈絡なく
                          2010年7月

脈絡なく、悔しい
そんな日がある
でも、脈絡なく、生きているのが嬉しい
そんな日がある
この落差は、何なのだろうか

気がつくと、いつも胸のなかで起きる、カオスが
古い記憶をひもといてみても、わからない
そんなもの、ひもといたところで何にもならない
気がつくと、いつも胸のなかで起きる、カオスが
心のひだのなかに手を入れてみても、わからない
そんなところに、手を入れてみたところで何にもならない
わたしにできるのは、悔しい日には糧を見つけ
嬉しい日には光に手をあわせるだけなのです
だから、そのままでいいのかもしれません
あるがままでいいのかもしれません

脈絡なく、悔しい
そんな日がある
でも、脈絡なく、生きているのが嬉しい
そんな日がある
この落差は、何なのだろうか
だけど、それも、わたしなのです

   詩手紙2010.7.27
   
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茄子が雨を吸います

2021-09-02 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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この詩を書いたころ、鉢植えの野菜を育てていました。
「茄子」と「きゅうり」を苗から大きくしました。
特に手をかけたわけではありませんが、結構大きく育ってくれました。
嬉しいものです。
この詩は詩手紙になっていませんのでコメントはありません。


        茄子が雨を吸います
                            2010年7月

茄子が雨を吸います
植木鉢からつるを伸ばし
やがて花が咲き
紫に光った実がなり
あの艶が目にも鮮やかで、わたしは好きです
その中は白い色がかくされています
あのみずみずしさ、わたしは好きです
夏さえも涼しくさせてしまう気がする
わくわくしながら、大きくなるのを待っていよう
今年はいくつなるだろうか

茄子が雨を吸います
植木鉢からつるを伸ばし
やがて花が咲き
紫に光った実がなり
そっとふいて生のまま、かじりたい
サクッと軽やかな音をさせたい
あの歯ざわりを想像しているのです
なぜか夏に似合う、あの紫がいい
わくわくしながら、収穫する日を待っていよう
今年はいくつなるだろうか
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作品を引用するとき

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