関心空域 ━━ す⊃ぽんはむの日記

元「関心空間」の日記(引っ越し後バージョン)です♪

冷蔵室の底部に「引き出しボックス」も最大5個まで👌置ける"大型で高級な"冷凍冷蔵庫。出来合いの収納しかできない日本の同クラス冷蔵庫と比べて、ナニが違ってくる❔

2018年11月19日 | 日記
以前ここで、「全部"引き出し"式の冷蔵庫」の話題を出した。この記事、ナニが読みたくてか知らないが"ほぼ"毎日、微量のアクセスがある。

日本だと、2台目(のサブ冷蔵庫)でもなきゃ購入はキビしそうだなぁ……てのが(当時の)自分の感想だった。きょうは、それを延長したような「こんな大型冷蔵庫、魅力もあれば欠点も…」というネタでお送りしようと思う。

ご覧にいれるのは、日本に住んでる限り(まず滅多には)お目にかかることもないドイツのキッチン家電メーカー、《Kuppersbusch|クッパーズブッシュ》製の冷凍冷蔵庫。そのまたハイエンド・モデルのKE-9000シリーズ❕ である。

まず、シリーズのなかでも最上位の旗艦モデルKE-9800


その下のモデルが、KE-9600。ちなみに現在の欧州における市場価格は(目下の円ユーロ相場で)、KE-9800が約36万円。KE-9600が約31万円だ。

KE-9600の方が、ひと回り細身に見える❔かも知れないが、庫内空間はKE-9600が542L、KE-9800が540L。驚くなかれ、僅かなれど下位機の方が「たくさん入る」んである。

よほど(超の付く広さの)豪邸にお住まいのかたを除いて、540Lなんてデカさの冷蔵庫が36万円、という価格は果たして高いんだが値打ちなんだか見当も付かないと思う。結論から言うと、ドイツのキッチン装備メーカーの名門が世に出した製品のワリには、36万円なら「けっして高くない」。ドイツの高級車は日本のそれより高い、とかの定着イメージからすると「日本製品並み」の相場なのだ。

たとえばパナソニックの「最高級」冷蔵庫NR-F604HPXも、国内店頭での市価は36万円。すぐ下のモデルNR-F604WPXが30万円で、KE-9000シリーズに準じ、外形の大きさ加減もほぼ同じなのだ。ニッポンのキッチンも、特に裕福なお宅では西欧並みになってきた…というコトか。さらには、外形がほぼ同じなのに、パナ製のこれらモデルの庫内容量はナンと600Lっ❕❕ ドイツのそれより、実に1割も広い!?んである。


われわれ下層民にとっちゃ、540Lも600Lも(逆に)違いは感じられないかも。どっちにせよ、スゴくデカい冷蔵庫にゃ変わりないww 外形寸法のことを言うと、ドイツの両モデルはともに幅×高さが(京都以東の東日本でいう)たたみ1畳のサイズにほぼ合致し、それが72㎝の奥行きを持った大きさ、と喩えられる。内寸容量である「540~600L」に関してもあえて、その「だだっ広さ」感を説明してみると、下掲図右側のような概算になる。


ところで自分は、この「日独60Lの差」がどこから生じるのか、に着目してみた。

ひとつは、パナソニック製品側の「構造革新」。パナの大型冷蔵庫はコンプレッサを冷蔵室の頂上部(天板)奥に移し、下部の冷凍庫を大幅に容量UPさせた。ふたつ目が、パナのように「メーカー出来合いの収納しか採れない冷蔵冷凍庫」か、クッパーズのような「ユーザー側で引き出しの配置や冷蔵冷凍区分をアレンジできる冷蔵庫」か❔ …の違いだ。

KE-9800は上部(=冷蔵庫)の下段を引き出しボックスに出来る。また下部右側のドア内は「冷蔵庫(チルド)、氷温チルド、冷凍庫」の、いずれの温度帯にも設定を合わせられる。つまり全体で見れば、冷蔵庫と冷凍庫の「容積比」を変えられるのだ。KE-9600は世界的にも珍しい、冷蔵/冷凍区分を(上下でなく)左右に割った斬新なスタイル。向かって左が冷凍庫、右が冷蔵庫。冷凍庫上部は氷温チルド庫に宛がわれており、KE-9800みたく冷蔵庫と冷凍庫の「容積比」までは変えられない。が、冷蔵庫・冷凍庫とも「引き出しボックス」を付設できる柔軟さは備えている。

では、このように温度割りや収納タイプ(=棚か引き出しかホルダーか)をフレキシブルにすると、なぜ庫内容積が犠牲になるのだろう?

その答の直接的なモノは、引き出しボックス=密閉された小空間であるから、ボックス設置位置と(そうでない)開放空間では別々にサーモ(定温)制御する必要が生じるせいだ。小空間には別途、温度センサーと冷風ファンが宛がわれないと、例えば(まだ十分に)冷め切っていないスープでもボックスに入れた日にゃ、ボックス内は籠った熱がなかなか取り除けず、逆に開放空間内までも不用意に「温めてしまう」。

ボックス内に熱(=急な温度上昇)を感知したら、そこには独立したファンが猛回転して、局所的に急冷する仕掛け…つまり装置が必要になり、そのためのスペースを割(さ)く必要に迫られるのだ。結果、KE-9600/9800には4箇所から5箇所ものファン(=冷却風の噴出し口)が設けられることとなった。こうなると大元の冷却器自体、休まるヒマがなく……使用電力量はKE-9600で同クラスのパナ製の約35%増し。KE-9800に至っては67%増しで電気代を貪(むさぼ)る。

かたや、日本で作られる大型冷蔵庫は基本、ひとつの冷風ファンで冷凍庫も冷蔵庫もサーモ制御するシングルファン方式だ。直結する冷凍庫はファンのON/OFFや回転数で温度を制御し、冷蔵庫へは「無段階に流入冷気量を調節する空気弁」たるダンパーサーモ【同じく下図参照】を介して冷温を保つ。

その代わり、庫内の「冷風の通り道」はメーカーの想定した通りでないと困る。内部収納のアレンジをユーザー側で勝手に出来る自由は無い。メーカーの指定した「食べ物の入れかた」には逆らわず、ただ大人しく従うことでのみ、大容量スペース、静音性、抜きん出た省電力は実現されてるんである。家電の細かなスペックには、見えない部分で生産国の国民性が色濃くにじむモノだと思う。


また国民性に含まれるのかもしれないが、独立系ファンを増設してでも冷気の「素早い効き」にこだわる西欧の気質は、日欧の「暖房文化の違い」にも一因がある。基本的に「凍れる国」である北欧・中欧・東欧では、冬季ともなればセントラルヒーティングがバンバン稼働。(日本家庭などのように生活時間だけの部分暖房で)部屋ごとに暖め分けない分、キッチンの室温は夜通し20度❕❔なんてコトも珍しくない。そんなところで、冷えたワインでもと冷蔵庫を開け閉めされたんじゃ、日本製の冷蔵庫なんぞ「冷えにくいっ」とボロクソに叩かれてしまうだろう。冷凍冷蔵庫というマシンにとって、欧州のキッチンは中近東ばりに「過酷な環境」だ。ヨーロッパ的には、音が多少うるさかろうと電気を余分に食おうと「急冷力」に見劣りする冷凍冷蔵庫だけは(やはり)お呼びじゃないんである。

以上…見てきた通り、庫内の収納タイプをアレンジできるなんて「さっすが、欧州の高級冷蔵庫はイイねえ🎵」と、パッと見感覚で憧れるは易しい。しかし、良い面の裏には必ず悪い面が。長所は、裏を返せば短所である。それでも読者諸氏は KE-9000シリーズを推すだろうか。それとも、やっぱりNR-F604シリーズに軍配を上げるしかないか。

「庫別」に独立した送風系統を持たせることを、
ボッシュでは「マルチ・エアフロー」と呼んでいる



同じくドイツの名門 Miele(ミーレ)では、
「ダイナクール」という"庫内かき回し"機能も


=了=

 

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