関心空域 ━━ す⊃ぽんはむの日記

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【海外ドラマ📺ネタバレ実況+α 】 核戦争後、Amazonに完全支配された世界を描く「ディストピア社会SF」ドラマ。

2020年06月07日 | 日記

今晩は久々にまた、海外SFドラマのワン・エピソードを"完全"テキスト実況したい。お題は、英国4チャンネルと米国Amazonの共作による(一話完結型の)アンソロジー短編集ドラマフィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズからの一篇である。

結論として自分の評価は、5段階でギリ星三つ:★★★★★。100点満点なら45点ってところだ。

ぶっちゃけ^^; あんまし評価してない。面白くはあるが、社会派ハードSFとしての完成度は低い。細かい理由は記事末尾に記すとして、先ずネタバレ"文字中継"から始めよう。

エピソードタイトルは『Autofac(自動工場)』。

同名のフィリップ・K・ディックの短編を原作とするが、(原本を読んでるレビュワーらの発信によれば)大幅にアレンジ(改変)されちまってるそうだ。そいつは、純粋にドラマの内容と題名の不整合ぶりからも見て取れる。つまり……このドラマ版に出てくる「自動工場」は、自動生産ラインとか巨大工場とかよりも「人工知能(AI)による製造販売管理で、消費者に最適な全カテゴリーの全商品を最大最速、送り付ける超❕ メガ通販企業」として描かれてる。いわば「自動工場」じゃなくって「万能通販」的な。

そんな企業は(現社会のイメージだと)Amazon以外にないぢゃないか💧

どうやら本エピソードの制作陣は、原作者ディックの意図しようもなかった後世のメガ寡占企業Amazonに対するアンチテーゼとして「Autofac」なる存在を描き出したかった❓らしい。 って、Amazonは(UK市場以外への)当ドラマの配給企業サマだぞww 企画が大胆ってのか、Amazonが太っ腹💧 ってのか……スゴい寛容さだね。

いや感服した。 感服ついてに当記事のネタバレ中継も、作中の「Autofac」は全て「Amazon」に読み替えて(製作者元来の意図100%のままに)以下お届けする ───。ネタばれ御免だって人は絶対、この先は読まぬよう警告する。
 
 
◆   ◆   ◆   ◆

それほど遠くない、核戦争後の荒廃した未来 ───。

エミリーは、トラウマになっている朧(おぼろ)な記憶の断片に苦しんでいた。何度となく、同じ光景を悪夢に観た。


それはドライブ中に「Amazon」の看板を視界に入れて行き過ぎ、なぜか心地よくなっている自分。その直後、カーラジオが受信不能に。不審に思ってクルマを路肩に停めると、彼女の頭上を中国の放った核弾頭が飛び越えてゆく。十数秒後、向かっていた都市が閃光に包まれ眩(まばゆ)いキノコ雲が。すぐ数秒後には、爆風が襲い掛かった・・・。
 

彼女の"戦前"の記憶は それだけだった。

核攻撃の後遺症❔なのか、今の彼女は生存者らの村で「仮に」エミリーと呼ばれつつ暮らしているが、自分が何者だったのかすら思い出せずにいた。その一方、村人を率い団結を呼びかけるエミリーの仲間ら数名には「確固たる信念と使命」があり、そのために闘っていた。


彼女たちの敵は「Amazon」という、人類の全生活資材を自らの意志で製造し、世界じゅうに配達し続けている巨大企業だった。経営しているのは生命(いのち)を持たぬ人工知能で、それゆえ人類のほとんどが滅亡したあとも生き残った。そればかりか、その後も文明が栄えていたころと少しも変わらぬペースで生活物資を製造し配達し続けているのだった。

「AIが暴走してる。まったく無意味に限られた資源を浪費しまくってるAmazonを、何が何でもシャットダウンしなければ❕」

そのために彼女たちの選んだ第一の手段が、配達ドローンを撃ち落として、Amazon本社の頭脳システムに侵入を図ることだった。


見事、ドローン撃墜に成功。機体からメインボードを抜き取ったエミリーは、天賦の電子技術テクを駆使し、人工知能プログラムをハックする。

だが頭脳システムには入り込めたものの、敵中枢は遠隔ではシャットダウンできない鉄壁のガード構造であると判明。同志たちは無理せぬよう忠告するが、彼女は「あたしならAmazonを停められる」と頑(かたく)なに主張して譲らない。

片足を悪くして杖持つ恋人アヴィも、彼女の頑張りを遠巻きに気遣う。そして彼女との逢瀬のあと、「俺たちって、どれだけ現実(リアル)に生きてるんだろ❔ この世が夢のように思える」と、心に漠然と横たわり続ける「生きてる実感の無さ」を吐露するのだった。


その刹那、彼らの静寂を突く(空からの)爆音が…❕❔

ドローンが撃墜されたことを受け、Amazonカストマーサポートの代表「アリス」を名乗る"女性型"アンドロイドが単身、(複数人が搭乗できる大型ドローンで)エミリーたちの村に飛来したのだった。

カストマーの意見を聴取する席で、エミリーは背後からAmazonアンドロイドを急襲。一時的に機能停止させると彼女の脳にもハッキングを図る。が、つかのま意識を戻したアリスに「人間と変わらぬ自我や尊厳」が在ることを感じ取るや、彼女の"人格"乗っ取りを間一髪、思いとどまる。その代わり、彼女にウソをつき「あたしたちに逆らうと脳内が全消去されるようプログラムを改ざんした。おとなしく、あたしたちをAmazon本社内に連れ込みなさい」と脅す。アリスは自分のプログラムが書き変えられてないと検知していながら、なぜかエミリーらの突きつけた要求には従う。


ついに❕ たどり着いたAmazonの本社/配送センターの異様。

すべて無人で全自動の原子力発電所や石油精製基地、何万という製造工場群を周囲に築き上げ、壮絶な景観を呈している・・・。


【余談だが ホントにこの本社シーンは実際のAmazon配送センター内で原画ロケしてる(に違いない)と思う】

一緒に侵入し散開した仲間たちが異形の警備ロボに処分されたとも知らず、アリスの案内した本社地下の最深階に足を踏み入れたエミリー。そこには棺桶のような"何かの製造ポッド"が列をなして鎮座していた。


実はこれらの「製品」こそが、エミリーたち(人間のAmazon顧客を精密に模した)自我や感情を持つAmazon特製のアンドロイドだったのだ❕❕❔

人工知能体=Amazonは、核で人類が滅びたあとも社是ミッションである製造販売を続けるために、自分たちの顧客と代用可能なヒト型の「消費者アンドロイド」を膨大な数、設計し製造。各地に「配置」して、自身は「人類の生き残りだ」と錯覚させていたのだった。


実は人間でなかったと知らされ、捕えられて狼狽してるかに見えたエミリー、だったのだが……。

勝ち誇ったように「欠陥回収品」であるエミリーの診断にかかるアリス。エミリーらの村には、エリア丸ごと廃棄処分するため核弾頭ミサイル2基が発射された。しかし、何かオカしい。響き渡るシステム警報アラーム。何と❕❔ 走査中のエミリーの脳内から、強力な人工ウイルスがAmazonの知能システムを侵食し始めたのだ…❕❔


実は実は、最後に大どんでん返しが待っていた。

たとえ人間の複製品に過ぎないエミリーと言えども、"ヒトいち倍"好奇心が旺盛だった。彼女はAmazonと闘いながらも、Amazonドローンが撒き散らていった(核戦争前に発行された)古本や古雑誌は読み漁ってた。

そんな日々の中、たまたま掴んだ(かつての)IT総合誌の中に、Amazonの人工知能移管を成し遂げた偉大なプログラマー」として、自分の原型(オリジナル)となった女性の写真を見つけたのだ。びっくりして記事を読むと、朧(おぼろ)だった記憶の断片が鮮やかに一本につながり、核の炎に焼かれるまでの「自分」がハッキリよみがえった。


その瞬間、エミリーは理解した。

「元々の あたし」は死んだ。彼女こそAmazonの創造主だった。今のあたしは彼女の、機械仕掛けの複製物に過ぎなかったのだ❕ …と。

そしてカミソリの刃で自分の頭皮を剥ぎ、自身の電子脳にAmazonを強制終了させる特製ウイルスを仕込んだ。最初っから、最後には捕まってAmazonシステムに連結されるだろう、と読み切った上でAmazon中枢に侵入していたのだ。


ウイルス感染の十数秒後にはアリスも、もちろんAmazon本体も永遠に停止した。

とぼとぼと徒歩で、ひとり家路を急ぐエミリー。


村を一瞬で焼き払うハズだった2基の核ミサイルは、制御を失い道中に落下している。その先に、彼女の身を案じて歩み寄ってくる人影……それは長年の恋人アヴィだった。

思わず駆け寄り、ヒシ❕ と抱き合うエミリーとアヴィ。 それは、Amazonの仕組んだ造りモノに過ぎなかった二人が、初めて「本当の現実を生きる"人間"の姿"人間"の愛」を……ついに手に入れた瞬間であった。 【完】


っちゅーお話。めでたしめでたし。

なのかは良く分らん。

ぶっちゃけ彼ら、もう二度と修理も交換も出来ない「あとは劣化するだけの電気製品」になっただけである。もちろん内容的には「人間に準じた存在」では在れど、あいにく彼らに子孫は残せない。エミリーもアヴィも村人も、彼らの代で(彼らによる)社会は滅びる。エミリーのやったことは、ある意味「後戻りできない自滅の道」なんである。。ここは歓びか哀しみか、どう反応すべきか戸惑う。

◆   ◆   ◆   ◆


さてさて。 以上"テキスト中継"を終えたところで、最後に「わたしの採点(=45点)理由」を。

エミリーたちのよーな、フツーに性欲もあってセックスを営むようなアンドロイドを製造する、って「超❕ ぶっ飛んだ先端科学」が確立されてないと絶対に無理だ。おそらく脚本を書くにあたっては、「人工知能に科学研究を丸投げすれば、科学はあっちゅー間に(人類の)何百年分でも先まで進歩するハズだ」という理屈で通してるんだろうと思う。

人工知能こそが、「想像力、発想力、直観力、洞察力」でも生身な人間の知能より絶対的に勝る

わたしはこの"定理"に、どうしても同意できない。機械がヒトを越えてヒトを見下す、というのはSF寓話であっても科学的なSFとは言えない。この信念に基づき、わたしは本記事のエピソードが「すなおに感情移入できる最小限度の理屈を伴ってない=高くは評価できない」と思うんである。

逆に⚡それを認めてしまったら、Amazonはにも等しい叡智」を駆使できてて当然になり、自らの「作品のひとつにすぎないエミリー」の策略になんかハマるワケがない。どっちに転んでも、このドラマは辻褄(つじつま)が合わんのである。でもま、軽く見てる分にゃ、まあまあ「腹が煮えくり返るほど」ひどい駄作だとも思わない。よって45点っ🎵
=了=

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