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雑感や書評など

浅羽通明「右翼と左翼」

2007-01-28 21:33:26 | 書評
新書は素直に面白いと感じることが多い


浅羽通明は、頭がいいと思う。

と、最初に思ったのは、「ナショナリズム―名著でたどる日本思想入門」を読んだとき。
これは、手ばなしにお勧め。

姉妹書に「アナーキズム―名著でたどる日本思想入門」があるけれども、「ナショナリズム」の方が、数段面白かった。


で、同じ著者の「右翼と左翼」。

これも、ナカナカ。

個人的には「ナショナリズム」よりは落ちますが、「アナーキズム」よりは上かな。


で、本書ですが、タイトル通り「右翼と左翼」についての概説書です。

世界史と日本史の「右翼と左翼」について語りながら、現代日本における政治の現状と展望を語っています。

著者自身は、右でも左でもなく、ニュートラルを標榜していますが、…………どちらかと言うと、右側か?

まぁ………右といっても、旧来の左側への批判が、手厳しいという程度です。


まずまず偏りはなく、どちらの政治的な立場でも、腹立たしくはならいと思います。


政治的な右側でも親米。
左側は反米でありながらも、独立独歩による独立(つまりは米軍を完全に追い出す)なんてことは考えていない。

といった説明などは、両側の隠しておきたい痛点を、巧みに暴露していると思います。


とは言うものの、かつて小泉首相が、
「民主党は反米で政権が維持できると思っているのか?」
と政権交代を目指すなら、ただ反対するだけではなく、現実への対応能力を見せろ! と怒っていたのも、現実の政治の世界に生きるものとしては、当然の発言なんでしょうなぁ。


右翼と左翼

幻冬舎

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