文学史的には嬉しい珍事なのだろうが、オレ的には、どうでもよろしい
(かなり)昔から気になっていたリービ英雄「星条旗の聞こえない部屋」を読了。
米国人が日本語で書いた小説です。書かれたのは、今から二十年前くらい。
内容は、国籍的にはアメリカに所属する白人が、自分の居場所を見つけるべく、日本の街を放浪する、というもの。
つまりは自分はアメリカから疎外されている。で、日本という場所に親近感を持っている。が、日本は、白人を受け入れようとはしない。その寂寥感。
小説の文体は、日本人が書いたような達筆な日本語です。
それよりも驚くのは、内容が、見事な私小説。
あの個人的な悩みを、日常の一断片から浮かび上がらせる、という形態。
なにが見事って、私小説にありがちな、全体を覆う気だるい退屈さが、しっかりと表現(?)されていること。
この小説を読んでいると、ちゃんと「なぜ金を払ってまで、他人の個人的な悩みを読まされなければいけないんだ?」という疑問が、ひしひしと感じることができます。
かつて、イタロ・カルヴィーノの「冬の夜ひとりの旅人が」で、日本小説のパロディーが書いてあって、
「けっこう頑張っているな」
というレベルだったが、「星条旗の聞こえない部屋」は、もう完全に日本の小説になってしまっている。
それは、「著者が日本語で書いている」というレベルではなくね。
そんなわけで、好きな人は好きな小説なんだろうけど。
(かなり)昔から気になっていたリービ英雄「星条旗の聞こえない部屋」を読了。
米国人が日本語で書いた小説です。書かれたのは、今から二十年前くらい。
内容は、国籍的にはアメリカに所属する白人が、自分の居場所を見つけるべく、日本の街を放浪する、というもの。
つまりは自分はアメリカから疎外されている。で、日本という場所に親近感を持っている。が、日本は、白人を受け入れようとはしない。その寂寥感。
小説の文体は、日本人が書いたような達筆な日本語です。
それよりも驚くのは、内容が、見事な私小説。
あの個人的な悩みを、日常の一断片から浮かび上がらせる、という形態。
なにが見事って、私小説にありがちな、全体を覆う気だるい退屈さが、しっかりと表現(?)されていること。
この小説を読んでいると、ちゃんと「なぜ金を払ってまで、他人の個人的な悩みを読まされなければいけないんだ?」という疑問が、ひしひしと感じることができます。
かつて、イタロ・カルヴィーノの「冬の夜ひとりの旅人が」で、日本小説のパロディーが書いてあって、
「けっこう頑張っているな」
というレベルだったが、「星条旗の聞こえない部屋」は、もう完全に日本の小説になってしまっている。
それは、「著者が日本語で書いている」というレベルではなくね。
そんなわけで、好きな人は好きな小説なんだろうけど。
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