病 名
糖尿病の病名が変わりそうだということが報じられている。
10月18日の毎日新聞デジタル版に,精神科医の山登敬之さんの『変わる病名,変わって欲しい病名』というエッセイが載っていたので,紹介する。
糖尿病改名の理由としてあげられているのは,糖尿病という名称が病態を正しく示していなくて,医学の進歩に伴うイメージとずれていること,そして患者がこの名前を好きでないことだそうである。
確かに,わたしもそうだったが,尿の中に糖が混じっていなければ糖尿病ではないと思われてしまう。
わたしは半年ほど前に,血糖値とHbA1cの値が高くなって,糖尿病の宣告を受けた。その時になぜ尿を調べないのかと思ったが,これは不明のいたすところで,尿に糖が混じるのは副次的なものであって,血液中の糖の濃度が本質的な問題であることを学ばされた。なお,わたしは食事のカロリーオフに努め,値は大分改善されている。
日本糖尿病学会と日本糖尿病協会がアンケート調査を行った結果,糖尿病という病名には,会員の9割が抵抗感や不快感を持っていることがわかった。
日本糖尿病協会は,糖尿病の新たな呼称として,英語の病名である"diabetes"を仮名表記した「ダイアベティス」を提案し,今後1~2年かけて決定するという。
山登さんは,英名で病名を告げられた患者が,何か珍しい病気にかかったようで不安になるのではないかと気にしている。そして,精神科領域で病名が変更された例を引用している。
約20年前に,精神分裂症という病名が変更された。候補に挙がったのは,①スキゾフレニア,②クレペリン・ブロイラー症候群,③統合失調症(あるいは統合失調反応)の三つで,①は英名の仮名読み,②はこの病気の研究の基礎を築いた医師で,②に関してはその業績を二人だけのものにすることに異議が出た。
結局,➂に決着したが,調査・議論の過程で,医師の中には名前を変える必要がないという意見が多かったが,患者のサイドからは,まがまがしいイメージが付随する精神分裂症という病名を変更したいという希望が強かったという。そして,圧倒的に統合失調症が支持されたそうである。
2022年に関係学会の会員医師の意見を調査したところ,一番多かったのが糖代謝異常症で,以下高血糖症,高血糖症候群だったという。
山登さんは,病名を決めるのは医師かもしれないが,患者の立場も考慮すべきではないかと述べている。
わたしはこの意見に賛成する。そして糖尿病はカナ書きの外国名ではなく,患者にもわかりやすい日本語の病名になればいいが,と思っていいる。
床屋からの帰り路で
色づく
ひっそりと「ダンドク」
STOP WAR!