拍 手 蘊 蓄
昨日のブログに拍手のことを書いて、ふとこの習慣はそもそも日本人のものではなかったのではと思い、さっそくチャット君に訊いてみた。以下、問答にあったさわりだけをかいつまんで紹介する。
日本には古代から「柏手(カシワデ)」の習慣はあったが、これは神社で神に祈る際に行う行為である。近代に入って、西欧文化の影響を受けて、賞賛や感謝の表現として「拍手(ハクシュ)」が広まった。
「拍手喝采」という四字熟語は、明治になって中国から移入された「喝采」に「拍手」がくっついて、新聞や演劇の記録に登場し、普及したものである。
拍手が好まれない場面もある。
能は「幽玄」や「静寂」、「内面の表現」を重んじる芸能で、観客は共鳴しつつも沈黙を守るという美学がある。舞台の終わりに拍手することは「無言の余韻」を壊すと考えられている。
しかし、公共ホールや海外公演で、能の舞台が終わって自然と拍手が起こることがあり、現在では拍手も許容されるようになってきている。
以前能楽堂で能を観た時、舞台が終わって拍手が起きたのでそれに和したところ、臨席にいた紳士から、能では拍手はしないものだとたしなめられた。
中国の伝統的な京劇でも拍手はしないそうである。
また、民族によっては、手を叩く動作が特定の儀式や霊的な意味を持つ場合もあり、称賛ではなく呪術的行為と見なされることもあるという。
そんな場面に出くわすことはまずないだろうが、日本人として、カシワデとハクシュを使い分けながら暮らしていくことにしよう。
STOP WAR!