goo blog サービス終了のお知らせ 

羽花山人日記

徒然なるままに

ウィ・シェフ(映画)

2025-03-06 20:48:08 | 日記

ウィ・シェフ(映画)

Prime Video配信のものを観た。

2023年に公開されたフランス映画で、実話を題材にしている。

この映画、深刻な移民問題から逃げずに、喜劇に仕立て上げられている。観て楽しい映画だ。

フランス北東部の港町。調理師のカティ・マリーは、シェフとして自分のレストランを持つことを目指している。

しかし、スーシェフとして働く高級レストランを、上司と喧嘩して飛び出してしまう。

なかなか再就職先が見つからないカティは、求人広告の「魅惑の空間」という名前に誘われて面接に訪れる。

しかし、そこは同伴者のいない未成年の移民の自立支援施設で、「魅惑の空間」は料理人を応募させようと、施設長のロレンゾがでっち上げた名前だった。

やむなくそこで働き出したカティだが、厨房の不潔さ、食材の貧弱さに辟易としながら作った昼食の出来上がりが遅くなり、ほとんどの寮生は昼飯抜きになってしまう。

施設長は、施設の食事はレストランとは違うと説明し、寮生を手伝いに向かわせる。しかし、カティは手伝いに来た寮生に逆に苛立ち、厳しく当たって追い出してしまう。

施設長はそんなカティに、施設にいる移民たちの厳しい状況を説明し、彼らを支援して永住を勝ちとれるように協力して欲しいと訴える。未就学、未就職の同伴者なしの移民は、18歳を超えると故国に強制送還されるのだ。

実は、カティは自身が親の顔を知らない施設育ちで、料理の腕はその施設の料理人から仕込まれていたのだ。そしてカティは、料理好きで施設のフランス語教師のサビーヌの協力を得て、移民の中から調理補助チームを作り、料理の技術と楽しさを教える。

その状況を見て、ロレンゾは施設に調理師専攻コースを作ろうと考える。

そんな施設長の考えを知ったカティは、その計画を実現するために、テレビの人気料理番組が主催するシェフのコンテストに応募し、決勝戦まで進む。

決勝戦は、自分が作ったレストランで客をもてなすことを競う企画で、この模様はテレビで生放送される。

この生放送を逆手に取って、カティは奇想天外なパフォーマンスを展開し、施設への調理師専攻コースの設置を獲得する。

ネタバレになるので、その内容は見てのお楽しみとして、このパフォーマンスに振り回される放送局のスタッフやテレビの人気司会者の右往左往ぶりは抱腹絶倒ものである。

オドレイ・ミラー監督はこのドラマを単なるサクセス・ストーリーとしてではなく、この施設の移民の何人かが、骨年齢で18歳以上であると判定されて、強制送還されるという厳しい現実もさりげなく演出している。

移民の子たちは、実際の移民の中から、オーディションで選ばれたという。見事な演技で、劇中で語る自分の経歴は彼ら自身のものだったのではないだろうか。

映画のフィナーレ。調理師専攻コースの開講に現れたカティは、生徒たちに向かって、「わたしに返事をするときは、ウィ・シェフと言いなさい」という。研修生たちは声をそろえて答える。「ウィ・シェフ!」

 

STOP WAR!

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする