核 廃 絶
被団協代表委員の田中熙巳さんのノーベル平和賞授賞式での演説を、テレビの中継で聞いた。そして、新聞でその全文を読んだ。
淡々、訥々とした口調は、かえって人々の心に届き、感動を呼んだ。演説が終わった後の鳴り止まぬ拍手が、何よりもその証左である。
田中さんは、自分たちの運動が〈核のタブー〉形成に大きな役割を果たしたと述べ、ロシアやイスラエルに核兵器の使用を思わせるような言動が見られることに、「《核のタブー》が崩されようとしていることに限りない口惜しさと怒りを覚えます。」と断じている。
13歳の時に長崎で被爆した自身の体験を語り、「たとえ戦争といえどもこんな殺し方、傷つけ方をしてはいけない」と、原爆の非人道性を訴えている。
被爆者に対する占領軍からの弾圧、政府の責任回避の歴史を述べたときには、わたし自身が攻められているような感じに打たれた。水爆実験で被ばくした第五福龍丸の漁船員や、韓国など外国にいる被爆者のことにも忘れずに言及されている。
核は抑止力に使うものではなく、廃絶しなければならないものと田中さんは強調する。すぐに発射できる核弾頭が世界に4千発ある現状を指摘し、「核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願いです」と訴える。
被爆者の平均年齢は85歳に達している。田中さんが次の世代がこの運動を継続してくれることを期待し、次のように結語している。
「核兵器も戦争もない世界の人間社会を求めて共に頑張りましょう!!」
92歳のご高齢を押して、40分間の演説を行い、ご自身の人生を踏まえて核廃絶を訴えた田中熙巳さんに満腔の敬意を表したい。
授賞式が行われた夜、オスロ市民が「No more Hiroshima! No more Nagasaki!」の横断幕を先頭にトーチパレードする映像がテレビに映った。
参加した15歳の少女は、「わたしたち世代のために頑張ってくれてありがとう」と言っていた。
オスロ市庁舎。2008年撮影。
STOP WAR!