鉄 道
今週号のAERAは『やっぱり鉄道が好き』と題する巻頭特集を組んでいて,その中に4人の鉄道ファンの方の談話が載っている。その一人として,『津軽海峡冬景色』の石川さゆりさんが登場している。さゆりさんは,「上野発の夜行列車」には,何回も乗ったことがあるそうで,そんなことを聞くとなんとなく楽しくなる。
鉄道ファン・オタクのことを「鉄(テツ)」というらしいが,さゆりさんは,自分はせいぜい「小鉄」がいいところと謙遜している。彼女が「小鉄」なら,わたしは「ミクロンテツ」か「ナノテツ」であろう。しかし鉄道の旅は好きである。
学生時代の学割は,101キロ以上が5割引で,できるだけ長い距離の切符を買って,途中下車を繰り返す旅程を組むのが楽しかった。記憶の範囲で一番長いのは,上野を出て青森まで東北線で行き,そこから日本海側を下って,最後は信越線・篠ノ井線で松本に至るという旅程だった。この切符を渡してしまうのが惜しくて,終着駅は塩尻とし,途中下車で松本駅を出た。この切符は大事にしまっておいたつもりだったが,引っ越しを繰り返すうちにどこかに行ってしまった。
時刻表と首っ引きで旅程を組み,切符を買いに行くと,当時の駅員さんが面白がってアドヴァイスをしてくれた。この頃は,駅員さんの方が時刻表と首っ引きで路線名を探すことが多くなったような気がする。
現役時代に,留学生の見学旅行のエスコートを日本人の学生に頼んだところ,「先生,切符はどうやって買うんですか」と訊かれて,びっくりしたことがある。鉄道より車という時代になったことを感じた。
JRは乗客数の少ない路線の廃線を検討しているようだが,淋しい気持ちになる。廃線になった鉄道が草に埋もれているのを見ると,「夏草や兵どもが夢の跡」という芭蕉の句を連想する。
列車に乗って通ってみたい路線はいくつかあるが,三陸鉄道はその最たるものである。カミさんの足が良くなり,コロナが収まったなら,と考えているが,それまでこちらの体力が持つかどうか。
ビスタドーム終点のマチュピチュ駅
ビスタドーム車中のサービス,道化の踊り
(写真は2011年ペルーにて撮影)
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