さすがにそろそろ楽器がネタ切れしそうなので、新カテゴリー「極私的至高の名盤」を追加しました。
個人的に本当に良いと思った作品だけを紹介していきます。
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初回はコレ。QUADRAPHONICSの"HEAT ME"僕が今まで出会ったCDの中で、好きなCDを1枚だけ選べと言われたらコレを選びます。このブログをご覧の方の中で、このCDをご存知の方っていらっしゃいますか。アーティスト名はクアドラフォニクスと読みます。1988年の発売でMOON RECORDSから出ていました。現在ラルクアンシエル等のプロデューサーとして活躍中の"岡野ハジメ"氏と、フリッパーズギターをはじめとする渋谷系と言われた音楽のプロデュースや自身のユニット"サロンミュージック"でも活躍している"吉田 仁"氏のふたりによるユニット。その昔ふたりが明治大学の学生時代に結成されたそうで、このアルバムに入っている曲も81~88年の8年をかけて録音されたものと記憶しています。
このアルバムとの出会いは、当時”大沢誉志幸”のファンだった妹が、そのバックを勤めてる"PINK"というバンドのレコードを買ってきたんです。妹はちょっと聴いただけで気に入らなかったらしく、ほったらかしにしてたんですが、試しに聴いてみたところその楽曲のアヴァンギャルドさと、ギターよりガンガン前にでてくるベースにブッ飛びやられてしまいました。そのベースを弾いていたのが"岡野ハジメ"氏。"PINK"にはその後もハマリ続けアルバム5枚を出した後解散。その後も各メンバーの動向はずっとチェックし続けていますが、その"PINK"の活動中に出たのがこのアルバム。"岡野ハジメ"氏が別ユニットでアルバムを出すと言うので発売日に予約して買ったのを憶えています。
アルバム冒頭からいきなりピシッ!ピシッ!と鞭を叩く音(多分マイク録りされた生音)からはじまる。続いてスプリングリバーブたっぷりの効いたギターのスクラッチノイズ。トレブリーでゴリゴリのピック弾きのベースが鳴り始める「APOCALYPSE」で幕を開け、2曲目はチープなリズムボックスの音にコレまたチープなアナログシンセの音が絡まり始まる「Vice a la vie 」、ふたりが代わる代わるボーカルととっていますがふたりとも渋い低音ボイスで全曲英語詞と言う事もあって、日本人が作ったとは思えない音の耳触りが異様で耳が離せない。AORってこういう事を言うんじゃなかろか。環境音をそのまま活かしたアレンジのDonovanの「Sunny Goodge Street」や、ゴリゴリのベースラインが異様に特徴的にアレンジされたThe Grass Rootsの「Let's live for today」といった名曲のカバーも収録されていますが、完全に自分のものにしていると言うか原曲にない魅力がある。いや。コッチの方がオリジナルなんじゃないかと思える程の完成度。つづく「Untitled」はポリリズムを使った実験作。ワン、ツー、スリー、フォーと繰り返しているボイスを幾重にも多重録音しただけの曲ですがコレがちゃんと曲になってる。つづく「Sugar Sugar」でいきなりポップな面を見せたかと思えば、次の「Night of rain dance」では暗く陰鬱なダウナーな曲調に転じる。ボーカルに絡み付く様に全編に貼り付くフレットレスベースの音が素晴らしい。最後の「Birthday Song」は教会音楽の様なコーラスから始まりギターの咆哮と共にマイナーな展開そして開放的なボーカル、間奏にインド音楽と様々な展開を見せる。全9曲捨て曲無しの特濃アルバム。
ふたりともベースを弾くので、それぞれどちらの手によるベースなのか判別しにくいのですが、どれもとても色気のある音色で鳴ってます。ふたりそれぞれの自宅スタジオで録音し持ち合った究極の宅録アルバム。当時の事なのでオープンの8trとかで録音していると思うのですが、宅録ならではの実験精神溢れる凝りに凝った音作り。ジャケットのアートワークも岡野ハジメ氏によるもの。ベーシストに限らず是非一度聴いてみて欲しいアルバムです。
個人的に本当に良いと思った作品だけを紹介していきます。
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初回はコレ。QUADRAPHONICSの"HEAT ME"僕が今まで出会ったCDの中で、好きなCDを1枚だけ選べと言われたらコレを選びます。このブログをご覧の方の中で、このCDをご存知の方っていらっしゃいますか。アーティスト名はクアドラフォニクスと読みます。1988年の発売でMOON RECORDSから出ていました。現在ラルクアンシエル等のプロデューサーとして活躍中の"岡野ハジメ"氏と、フリッパーズギターをはじめとする渋谷系と言われた音楽のプロデュースや自身のユニット"サロンミュージック"でも活躍している"吉田 仁"氏のふたりによるユニット。その昔ふたりが明治大学の学生時代に結成されたそうで、このアルバムに入っている曲も81~88年の8年をかけて録音されたものと記憶しています。
このアルバムとの出会いは、当時”大沢誉志幸”のファンだった妹が、そのバックを勤めてる"PINK"というバンドのレコードを買ってきたんです。妹はちょっと聴いただけで気に入らなかったらしく、ほったらかしにしてたんですが、試しに聴いてみたところその楽曲のアヴァンギャルドさと、ギターよりガンガン前にでてくるベースにブッ飛びやられてしまいました。そのベースを弾いていたのが"岡野ハジメ"氏。"PINK"にはその後もハマリ続けアルバム5枚を出した後解散。その後も各メンバーの動向はずっとチェックし続けていますが、その"PINK"の活動中に出たのがこのアルバム。"岡野ハジメ"氏が別ユニットでアルバムを出すと言うので発売日に予約して買ったのを憶えています。
アルバム冒頭からいきなりピシッ!ピシッ!と鞭を叩く音(多分マイク録りされた生音)からはじまる。続いてスプリングリバーブたっぷりの効いたギターのスクラッチノイズ。トレブリーでゴリゴリのピック弾きのベースが鳴り始める「APOCALYPSE」で幕を開け、2曲目はチープなリズムボックスの音にコレまたチープなアナログシンセの音が絡まり始まる「Vice a la vie 」、ふたりが代わる代わるボーカルととっていますがふたりとも渋い低音ボイスで全曲英語詞と言う事もあって、日本人が作ったとは思えない音の耳触りが異様で耳が離せない。AORってこういう事を言うんじゃなかろか。環境音をそのまま活かしたアレンジのDonovanの「Sunny Goodge Street」や、ゴリゴリのベースラインが異様に特徴的にアレンジされたThe Grass Rootsの「Let's live for today」といった名曲のカバーも収録されていますが、完全に自分のものにしていると言うか原曲にない魅力がある。いや。コッチの方がオリジナルなんじゃないかと思える程の完成度。つづく「Untitled」はポリリズムを使った実験作。ワン、ツー、スリー、フォーと繰り返しているボイスを幾重にも多重録音しただけの曲ですがコレがちゃんと曲になってる。つづく「Sugar Sugar」でいきなりポップな面を見せたかと思えば、次の「Night of rain dance」では暗く陰鬱なダウナーな曲調に転じる。ボーカルに絡み付く様に全編に貼り付くフレットレスベースの音が素晴らしい。最後の「Birthday Song」は教会音楽の様なコーラスから始まりギターの咆哮と共にマイナーな展開そして開放的なボーカル、間奏にインド音楽と様々な展開を見せる。全9曲捨て曲無しの特濃アルバム。
ふたりともベースを弾くので、それぞれどちらの手によるベースなのか判別しにくいのですが、どれもとても色気のある音色で鳴ってます。ふたりそれぞれの自宅スタジオで録音し持ち合った究極の宅録アルバム。当時の事なのでオープンの8trとかで録音していると思うのですが、宅録ならではの実験精神溢れる凝りに凝った音作り。ジャケットのアートワークも岡野ハジメ氏によるもの。ベーシストに限らず是非一度聴いてみて欲しいアルバムです。