中年おじさんの散策part2-3

東京都内・海外の散策を楽しんでいる叔父さん。いろいろなところを散策し記憶として記録しています。よろしかったらご覧ください

散策 「東京南東部-547」 丸石ビルディング

2022-03-05 06:50:53 | 東京 南東部

このブログは「中年おじさんの散策」3の継続版です 

この企画は 私が引率します sosamu@ya2.so-net.ne.jp

参加したい方はご連絡ください。090-3436-8532 ネットでカルチャー(散策・グルメ) https://blog.goo.ne.jp/sosamu25

 

丸石ビルディング  https://www.sanko-e.co.jp/read/memory/kyu-taiyoshokai/

株式会社太洋商会が1931年に竣工した「丸石ビルディング」は、近世ロマネスク様式を採用した豪華なビル。1984年、1991年に内外の点検・補修を行ったが問題がなく、堅牢な設計が人々を驚かせた。時代に合わせて機能を常に見直しつつ入居テナントの満足度を高めている。

 

風景を記憶する獅子像 ―― 近世ロマネスク様式の稀有なる事例

威厳ある一対の獅子像。だが、その眼差しは穏やかで、むしろ優しさを湛えているように感じられる。
東京・神田のオフィス街の一角にそびえる丸石ビルディングの北側玄関両脇に鎮座する石造の獅子は、70年以上にわたってこの地の風景を見つめ、記憶してきた貴重な「歴史の証人」である。
現在もこの建物を所有・管理する株式会社太洋商会によって昭和4年(1929)に着工、昭和6年3月に竣工したこの建物は、現存する近代西洋建築としては非常に珍しい近世ロマネスク様式の貴重な事例である。地上6階(一部7階)地下1階、延床面積およそ四千平方メートル。三菱地所設計部から昭和3年に独立したばかりの「山下寿郎建築事務所」の記念すべき第一作である。施工は竹中工務店が担当した。構造は鉄骨鉄筋コンクリート造。自らが構造設計・工事管理を担当した旧丸ビルの竣工直後に関東大震災を体験した山下が、このビルの耐震・耐火性能に心を砕いただろうことは想像に難くない。建物の外観を特徴づける連続したアーチ構造は、同時に耐震性能を確保する点で重要な意味合いを付与されている。
とはいえ、戦火に暗く閉ざされる直前の輝ける時代を反映し、外装・内装ともに美術作品のように凝った仕上がりになっている。外壁1階部分には播州産の黄龍石を使用、玄関部分のレリーフパネルは同じく播州産の赤龍石として色合いに変化をつけ、随所に繊細で華やかな魅力に満ちたロマネスク風動植物像やレリーフを配置してある。2階以上の外壁はスクラッチタイル貼り、最上階下部の胴蛇腹は人造石洗い出し仕上げ、頂部はテラコッタ貼りである。
玄関ホールに足を踏み入れると、イタリア産大理石の重厚な壁面、モザイクタイルを組み合わせた床が、まず目を引く。さらに視線を上方に向けると、ヒマワリやショウブといった花をモチーフとした石膏彫刻で飾られた白い天井――現状でもまったく違和感がないのだが、これは竣工当初からの意匠ではなく、本来は花のそれぞれが美しく彩色されていたそうだ。第二次大戦末期の空襲で屋上に焼夷弾が直撃するなどの危機に遭いながらも、建物自体の被害は軽微で、逆に近隣被災者の避難所となった。その際に人々が地階で行った炊事の煙が階段室を通って玄関ホールに立ちこめ、煤で天井の彩色が見るかげもなくなってしまった。そのため、戦後、白一色に塗りつぶしてそのままにしてあるのだという。

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1階エレベーターホールのアーチ型天井

 

さて、このビルの南側には、かつて「龍閑川」と呼ばれた運河が流れていた。幕末に埋め立てられた神田堀を明治16年に再開削したものだったが、第二次大戦後に再度埋め立てられ、現在は商店の立ち並ぶ通りに姿を変えている。冒頭に紹介した獅子像はもと四頭存在し、揃って「龍閑川」の水面に顔を映していた。それら獅子の本来の役割は、口から雨水を川に向かって吐き出すことだったのだ。平成6年(1994)、北側玄関脇に移設された今も、獅子は、水面に映る失われた時代の風景を確かに記憶していることだろう。
純白の天井もまた、戦前・戦中・戦後の70年間を通して迎え入れた多くの人々の表情一つひとつを、華麗なる自分本来の姿と共に記憶しているはずだ。おそらくは、戦災でここへ避難してきた人々が肩を寄せ合って食べた粗末な料理の味や香りさえも......。華やかな様式は"時代"を呼吸することで、歴史の持つ重みをも兼ね備えた稀有な存在となった。
そして、それら個々の建築物が有する記憶の集成が、やがて「都市の記憶」としてさらなる未来へと受け継がれていくのである。

 

 

20170420     史跡・見学
東京都中央区日本橋
日本橋ダイヤビル
  1930年竣工の三菱倉庫「江戸橋倉庫ビル」を保存・再生したプロジェクトです。東京都選定の歴史的建造物で、80年間日本橋川沿いの景観を担ってきた建物の外観を、保存しつつ機能更新しました。特定街区制度を活用し300%の容積割り増しを得て、建物の両端2スパンずつの躯体を遺し、中央部分に中間免震層を持った高層棟を増築することで、最新鋭のオフィスビル・トランクルームに生まれ変わらせることが出来ました。
  1930年(昭和5年)に竣工し本店があった江戸橋倉庫ビルは、船体を連想させる特徴的な外観を持ち、表現派風建築の代表的作品として東京都選定歴史的建造物の選定を受けている。本店は同ビルの建て替えのため中央区新川に一時移転したものの、平成26年9月に竣工した日本橋ダイヤビルディングに再び戻った。日本橋ダイヤビルディングは旧江戸橋倉庫ビルの外壁を随所に保存した高層建築であり、東京都選定歴史的建造物に選定されている。

 

 

 

 

 

 

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