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モーツァルト!

2007年12月22日 23時32分00秒 | 観劇

25日の千秋楽間近になって、ようやく観に行くことができました。
この日のモーツァルトを演じるのは、井上芳雄さんでした。
8~9月に世田谷パブリックシアターでのロマンス以来、今年2度目です。
前回は歌声を聴くことはできましたが微々たるもので、しっかりと聴くのは今回が初めてです。
本来のミュージカルとなると、やはり水を得た魚ですね。
素晴らしい歌声でした。
若き天才音楽家を表現するために、人間としてのヴォルフガングを描きながら、同時に才能としてのモーツァルトをアマデとして擬人化している点が面白いものです。
作曲家としての才能の部分を表現しているため、アマデは」表情や台詞がないままヴォルフガングに寄り添います。
アマデは、いつまでも音楽に対して純真な子供のままの姿のまま作品を書き上げていきます。
1幕ラストでヴォルフガングの腕をペンで刺し、その血で作品を書き上げていく様は、妙に納得させられるものがありました。
例え人間として自由を求めていても、作品を書き上げるためには自分の心血を注いだ、自身の分身のようなものだと。
この日のアマデは、野本ほたるちゃんでしたが、ピンと伸びた姿勢で終止しているのは大変だったと思います。
山口祐一郎さんというと、私の中では夏にはまってしまったレ・ミゼラブルのバルジャンのイメージが強いのですが、コロレド大司教(私には言い難い名前ですが)として現れ、歌声を聴いた瞬間に傲慢さを持った大司教になっていました。
噂には聞いていたトイレシーンでのコミカル?な部分は、笑わせてもらいました。
ヴォルフガングの理解者として、母親にも感じられるようなヴァルトシュテッテン男爵夫人を演じていた涼風真世さん、雰囲気も歌声も素晴らしく、私好みです。
香寿たつきさんは、どんなヴァルトシュテッテン男爵夫人を演じたのか興味が湧いてきます。
ヴォルフガングを見守る姉ナンネール役の高橋由美子さんも、きれいな声をしていますね。
弟のことを思いながらも、自分自身の幸せを案じて歌う『プリンスは出て行った』は、澄んだ歌声がいっそう切なさを感じさせます。
ラストを間近にして、ファントムのようなマスクを付けた男からのレクイエムの依頼を受けたヴォルフガング。
自分の影アマデとの訣別を願っていたヴォルフガングが悩み抜き、最後にアマデに助けを求め、胸にペンを刺し・・・。
芸術家の苦悩の最期を象徴しているかのようでした。
カーテンコールは、終わらぬ拍手に何度も応えてくれました。
ほたるちゃんの笑顔が、印象的でした。
その後、井上芳雄さんのお礼の言葉があり、ほたるちゃんを背負ってはけていきました。
曲は耳に残るものが多く、メロディーがいくつも残っています。
特に『僕こそミュージック』は、今でも気がつくと口ずさんでいます。
今回が初回であり最後のため、未消化な部分が多く、せめてもう一度でも観られればと思え残念です。

帝国劇場からの帰り道、小雨に濡れた舗道は銀色に光り、街路樹のイルミが星明かりのように映っていました。 演目違いですね。


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