先週に続き2回目となった今回は、2階席最前からの観劇となりました。
今日の目的は、先日気になったあべさんと、2008年以来の2階席からの舞台を観てみるためです。
今回のあべさんは、前回の佐和さんの枠を演じています。
オープニング、お香を持ち編み笠を被り上手前方で、静かに祈りを捧げる手の動きが美しいです。
オランダ兵の侵攻の後、失意の中のインドネシアの民たちの中にいる、幼子を抱き涙を流す母の姿が。
この涙だけで、インドネシアの惨状が痛いほど伝わってきました。
今まっで何度か観ているものの、こんなに一瞬で自分の周囲の空気が変わるとは思ってもいませんでした。
日本兵たちとの水田でのシーンでは、上手奥で笑顔で稲穂を落としている姿に、オランダの圧政から開放された束の間の喜びが伝わってきました。
火祭りのシーン、今回から客席奥から供物を頭上に掲げて来る女性が3名ずつになり、残り1名ずつは両袖から出てくるようになったのは、なぜなんでしょうね?
ここでは、下手側から3人目で登場しています。
次は、オランダ兵の収容所。
下手の女性たちの最前列、病の女性の傍らで、涙を流して勲に対して憎しみをぶつけていました。
次は、玉音放送後、下手で手拭いを被って男性に肩を支えられていました。
この後は、上手最前で戦犯裁判での証言をするオランダ人女性です。
カテコでは、ケチャダンスの中心で「チャー!」っと叫んでいました。
あべさん、さすがに動きが綺麗です。
南十字星では戦犯として無実にも関わらず処刑されていく勲にフォーカスされていますが、実際には女性や子供を中心とした多くの市民たちの苦しみがあり、改めて作品内での表現を知らされた気がします。
2階席から改めて観てみると、舞台上に設置された水の存在が強く感じられます。
水のシーンは、自分のイメージ以上に水面の映り込みが美しいと感じました。
星空のシーンでは、星々が映り込むことも。
思わぬ形で気付いたのは、水の中から登場した十三階段を上り刑が執行されるとき、劇場の天井に映る水面の揺れが、悠久な時と共に流れるソロ川の流れを見せてくれた気がしました。
一つ気になったのは、火祭りの時に蒔かれる花が水の中にも落ちていますが、あれってどうしているんでしょうね?
次のシーンでは、落ちているようには見えませんが、幕間にスタッフさんが拾い上げているのでしょうか?
鈴木周さんの原田大尉は、相変わらず(良い意味で)憎まれ役を演じていますね。
これも戦争という状況下での、一面生を象徴しているのでしょうね。
勲が身代わりとなって出頭する理由、親代わりに育てて貰った姉の結婚相手(義理に兄)でなかったら、上官の頼みとは言え明らかに保身のために義勇軍に加わることに同意したのでしょうか?
京都での姉春子が勲ぬ向けた「壮烈に死ぬよりは、生き抜いてご帰還あそばしますよう。」の一言がなければ、違った方向に進んだのかなとも考えてしまいます。
劇中に2度ある、勲とリナの別れの前に指切り。
最初は、再会を願うリナの思い。
勲がインドネシアにリナに会いに行くと言う言葉に、リナが言う「その時は最高の喜びで日でありますように。」が切なく響きます。
2回目は、チュピナン監獄。
永遠の別れ。
ブンガワンソロを歌って送ってくれの勲の言葉に、リナの「約束します」が胸の突き刺さります。
今回の監獄のシーン以降の阿久津さんと秋さんの演技、先週以上に2人の思いが強く出ていたように感じられました。
何度観ても、胸が締め付けられます。
保科 勲 : 阿久津陽一郎 リナ・ニングラット : 秋 夢子 島村中将 : 菊池 正 原田大尉 : 鈴木 周 塚本少尉 : 前田貞一郎 ニングラット博士 : 脇坂真人 ルアット・ニングラット : 渡久山 慶 ニルワン : 赤間清人 キキ : 池松日佳瑠 オットー・ウィンクラー : 吉賀陶馬ワイス 原田春子 : 佐和由梨 岡野教授 : 維田修二 | |
【男性アンサンブル】 坂本 剛 ハンドコ アクアリオ 田井 啓 浜名正義 小野功司 塚田拓也 中村 伝 文永 傑 西尾健治 玉井晴章 安東 翼 佐久間 仁 大森瑞樹 朱 涛 |
【女性アンサンブル】 あべゆき 岸本美香 志賀ひかる 牧野友紀 滝沢由佳 荒木美保 井藤湊香 柴田厚子 光井さや 渡辺智佳 熊本梨沙 松本昌子 本井亜弥 蒼井 蘭 芦澤瑞貴 |