読書の感想です。
「あなたは私に、どっちを浴びせてもいいと思っている。私はあなたのものだから、いつもで好きな方を無自覚に浴びせる。たとえば他の女の人を寝てきたあとでも、あなたは私にうんと甘い言葉を吐ける」
達哉は反論しようと口をひらきかけたが、「ちがうの」と和佐子が先に言葉を継いだ。
「ちがうの。他の人たちのことを責めてるんじゃないの。でも私には、あなたの舌打ちと愛の言葉の区別がつかなくなっちゃったの。だってどこに違いがあるの?想像してみて。
両方侮辱に聞こえるだけじゃないのよ。両方あなたの本心だって知ってるの」
金平糖の降るところ/江国香織
評価はイマイチなコメントが多かったのですが、江国ワールド全開の恋愛作品だったと思います。いつもの感じで安心できた。良かった。体の細胞たちが喜んでいました。
409ラドクリフ、きらきらひかるに続く位置づけの作品だったと思います。
愛についての考察
新たな愛のかたちの追求
江国香織は、恋愛を心底信じきっていると思うのです。
この世の中では恋愛がどうしても必要である。なければ生きていくことが出来ないほどに。
確かに彼女が描く恋愛はとても贅沢で、登場人物は容姿端麗で、関係性は透明すぎるけれど、どんなかたちの恋愛であれ、人間には愛こそすべてと思わせるだけの文章力があるのです。
僕は江国作品に登場する魅力的な要素を一切持ち合わせていません。
容姿も、性格も、センスも。
だけれど、江国作品を福音として味わうことが出来るというそれだけで幸福なのかもしれません(女性っぽい?)
寂しすぎるから、
僕は江国作品を好む女性を探しているのです