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sky is blue

言わなければよかったのに日記

Syrup16g @日比谷野外大音楽堂

2004-10-10 18:05:19 | ライヴ
今年、3回目の野音。1回目は7月のエレカシで、2回目は9月のUA。エレカシのときは晴れで、UAのときは雷雨。そして今日は、Syrup16g(今さらですが「シロップ16グラム」と読みます)。

昨日だったら、台風に当たっていた。その台風が去り、予報では快晴になるはずだったのだけど、曇り空。雨がパラパラ降ったりやんだり、降るのか降らないのかどっちなんだ?みたいな曖昧な空模様。それが今のシロップに合っていた気がした。巷では、解散説や休止説が流れ、デビューしてから今までハイペースで活動してきたシロップが(1年にアルバム2枚くらいのペース)、この野音が終わったあとの予定が何もアナウンスされてない!だの、新作『delayedead』(昔の曲を再レコーディングした作品ではありますが)がコロムビアからではなく古巣の代沢レコード(インディーズ)からのリリース!なぜ?移籍?だの、何じゃりかんじゃり噂は流れているものの、公式には「第一期、完結」としか銘打たれてなく、どうなる?シロップ!みたいな空気が、シロップ周りでは流れていたわけなのですが、そんなシロップの世間的な雲行きと、本日の空模様とがとてもマッチしていたように思う。でも、騒いでいるのは周りだけで、当の本人達は、自分達の音楽を忠実に鳴らすだけって感じだった。まるで台風の目。やっぱ、今日の空模様は絶妙な演出になっていたんだ。ある意味、強運の持ち主かも…。

ライヴの方は、もう、「良かった」、この一言に尽きる。何も言うことありません。何も言えないって方が近いか。と言いつつ、書くんだけど、3時間近くもやってくれて、たっぷりとシロップを堪能できた。泣きそうになる瞬間あり、鳥肌立つ瞬間あり、汗かく瞬間あり(寒いのに)、空っぽになる瞬間あり…の3時間弱。「クロール」から始まって、MCもほとんどなくどんどんどんどん突き進んでいくのを見ながら、一杯曲やりたいんだな~と思った。やる曲やる曲、良い曲、良いアレンジ、良い詞。シロップ、凄い…。中盤、「翌日」「Sonic Disorder」「真空」「明日を落としても」などのそれこそ第一期シロップにとって欠かせない大事な曲を持ってけドロボー!並みに連発。「土曜日」とか「幽体離脱」とか初めて生で聴けた曲もあった。中畑大樹のドラミングはやっぱり凄い。一緒に行った友人も、シロップのことは詳しくないが、「凄いね」と言っていた。私が五十嵐隆(ヴォーカル&ギター)なら、絶対離したくない。五十嵐くんが作ったはずの曲を、どうしてあんな風に叩けるんだろう。そこにあるドラマや感情を、どうしてああも目に見えるぐらいに紡げるのだろう。自分が書いた(紡いだ)曲じゃないのに。

途中、不思議な瞬間が訪れた。「エビセン」という曲だった。じっくり聴き入っていた私は、なぜだか急に、この状況がとても可笑しくなった。なんで、こんな寒い中、みんな一箇所に集まって、一方向を向いて、あの4人が鳴らす音を一生懸命に聴いているんだろう。あそこに、この音に、何があるというのだろう。なんで、あの4人は演奏なんかしてるのだろう。なに、“冷たい子供の手を引く老人”のことや“しけちゃったエビセン”のことなんか歌ってんの? なんで歌なんか歌うの? そもそも歌ってなんなの? こんなこと、私達の生活になんの関係があるの? すごい可笑しかった。可笑しくて、苦しくて、愛おしかった。こんな風にライヴ中に思ったことは、たぶん、ない。これが<汚れなき 至上の調べ>ってやつなのか。シロップは、いつもこんな場所にいるのだろうか。なんで歌なんか歌うんだろう。何も役に立たないのに。何も変わらないのに。歌わずにいないと死んじゃうわけじゃないだろう。でも、歌いたい。いや、本当に歌いたいのか? 歌わずにいられない。いや、本当にそうか? そんな禅問答のような、自己否定や自己矛盾すれすれの世界を彷徨っているのだろうか。シロップに、ここらで休息が必要なのも分かる気がした。こんなにも「音楽」と向き合っているバンド、シロップのその世界を一瞬垣間見た気がして。「音楽」との向き合い方が半端じゃない。シロップは、恐ろしいバンドだな。

一体、何曲歌ったのだろう。30曲? 色んなノリの曲があるけれど、どれもが狂おしいほど美しい。そんな気がする。イジけてても、逆ギレしてても、美しい。そんな男、五十嵐。いや、普段の五十嵐くんがどんなだかは知らないけど、少なくとも「音楽」の中ではそうなんだろう。U2の「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」をやってくれた。とっても良かった。あと、「パープルムカデ」がむちゃくちゃ良かった。今まで聴いた中で一番良かった。歌う前に、「やっと歌いたいことが歌えたなと思えた曲」とか言ってた。<好きな言葉 何?><好きな人は 誰?><好きなことは何?><好きな事をやれ>という言葉と音を激烈に叩きつけてくる曲。<Sun will shine>~<三輪車>なんて風に韻を踏んでみせる曲。<戦場で死んだムカデ>は<むらさきの>な曲。やっぱ、分かんないよ、シロップ。やっぱ、分かんないよ、音楽。

最後、五十嵐くんが「シロップは解散するわけじゃないんで、音楽はこれからもやっていこうと思ってるんで、もし良かったら、付き合っていただけるのなら、これからもよろしくお願いします」と言った。そのとき、大樹くんも立ち上がってお辞儀をしていた。そして、本日最後の曲、「Reborn」。

ライヴ中、色々思い出したりもした。初めてシロップのライヴに行ったのは……やめておこう。「シロップは解散するわけじゃないんで」。そうだね。これからもよろしく。シロップ。そして、音楽。


最近気になるアーティスト【邦楽編】

2004-10-09 01:13:52 | 音楽
【洋楽編】を書いたからには、【邦楽編】も書かないとね。というわけで、最近気になるアーティスト、邦楽編。

アナログフィッシュ
ひたちなかで、レイクステージでボーッとしていたときに流れていた曲でどうも引っかかった曲があって、後になってそれがアナログフィッシュというバンドの曲らしいことが分かって、それから気になってます。ちょこちょこ試聴したり、CS放送でプロモ見たりしたけど、やっぱ、良さそう(ひたちなかで聴いたのは確かにこのアナログフィッシュの曲でした)。人間臭さ、歌心、それとユーモアがありそう。ゆったりしたリズム感なのに、焦燥感が感じられるところが面白い。ダレてるのか焦ってるのか分からないこの感覚が良いなー。と言っても、まだ音源何一つ手に入れてないから分からないんですけどね(近いうちに買う予定、たぶん)。でも、このバンド、これからきそうです! 奥田民生好きやくるり好きは要チェックだそうな。

キャプテンストライダム
『VINTAGE 2004 extra』でライヴ観て以来、気になっちゃって。すると、レンタル屋で『ブッコロリー』を見つけたのですぐさまレンタル。予想より良かったぁ。ライヴのときより、骨太かつエッジの効いた演奏でカッコ良かった。それに、こうして改めてちゃんと音源を聴いてみると、こんな良い曲だったんだぁと思ったし。ライヴで感じた“不敵さ”も健在だったし。まだまだ音楽が触れてない世界、もしくは、世界が触れてない音楽があるんだな~、なんて。

古明地洋哉
ミニアルバム『mind game』を聴いて知りました。こういう人と出会うと安心もするし、不安にもなる。こうも創作意欲に溢れ、想像力を信じる力というか信念を感じさせてくれる人が、まだまだいるんだなと。なのに、こういう人があまり知られてなくて良いのかと。アートワークも良いし、何より良い音楽だし。アルバム『孤独の音楽』が出ているんだけど、早いとこ欲しいなー(いや、買えば良いだけのことなんだけど、なかなかね…)。こういう“孤独”な人というのは、なかなか活動しづらいのかも知れない。どこに位置付けすれば良いのか。どこに置いても居心地悪そうな気がするもんね。でも、このままの姿勢で貫いてって欲しいなぁ。そんな彼のアーティスト性って、ジェフ・バックリーなんかと近いのかも。だから、早いところ皆、この“孤独の音楽”に気付いて、この音楽を孤独なままで終わらせないようにしようよ!(って誰に言ってんだ?) でも、もったいないよ、この音楽が孤独なまま終わっちゃたら。で、調べてみたら、『孤独の音楽』に続いて次のアルバム『夜の冒険者』が来月に出るそうです。うわ~、追いつかない! 早くしなきゃ!

オーノキヨフミ
デビュー曲の『平凡』という曲がなかなか良くて。引っかかるような、変な場所で息継ぎする独特の歌い方が印象に残った。中村一義が出てきたときを思い出したなぁ。岡村靖幸なんかとも近いのかな? くねくねファンキー。アルバム『君に太陽を!』、こんど聴いてみようっと♪

クラッシュ・イン・アントワープ
結構前の話だけど、『ゴー・ナウ』というシングルを聴いてちょっと気になった。一語一句思いを込めて歌うヴォーカルが印象的で、野性も知性も感じさせる、狼のような感じ。アルバム『あゝ千一夜』も聴いてみたけど、うーん、これからが勝負どころ!って感じ? でも、ミッシェル・ガン・エレファントとか、そういうカッコ良いロックバンドになれる可能性は持ってると思うな。ミッシェルは言い過ぎ? ま、可能性はね。ミッシェルよりは、野暮ったくて「和」って感じがするけど。ま、そこが良いんだけど。

と、まあ、5組挙げたわけですけども、【洋楽編】のときと同じように、最近気になり出したばかりなので、今後どうなるかは分かりません。まだ音源を手に入れてないので、よく分かってないのもあるし。ただ、一言で言うならば、「お金が足りません」。そうでなくても、PUSHIM、ビョーク、エレカシ、東京事変、シロップ、JUDE、MOTORWORKS……と、もう本当になんなんだー!っつうくらいリリースラッシュなんだから。みんな、芸術の秋だからって困りますよ。いや、出してくれない方が困るんでね、これは大変幸せなことなんですけどね。「困ります」って、「嬉しいぜコノヤロー」ってことですから。うん。これは幸せなことだ! ありがとう皆! って無理してる? いやいや、だって、好きなアーティストがなかなか活動してくれなくて、もどかしい思いをしている人もいるもの。これは本当、幸せなことです。ありがとう。

そんな幸せを噛み締めた今日この日は、64回目のジョン・レノンの誕生日だった。ジョンもこんな幸せをもっともっと噛み締めたかっただろうなぁ。<When I'm sixty-four.>とポールが歌ってから約37年? ジョンが64歳になってたらどうなってたのか分からないけど、そんな年の今日この日に、私は、欲しいCDいっぱいだよー、お金ないよーって幸せを噛み締めてみたよ。その「欲しいCD」の中に、ジョンの新作もあったなら……。つい先日、『ラヴ ~アコースティック・ジョン・レノン』とか出たばかりだけど、そうじゃなくて……。ひさびさに、ジョンのCDを聴いてみようかな。


カケルくん、勇気をあげる!

2004-10-06 18:13:59 | その他
あった―――! 『青いブリンク』!

1989~1990年に、NHKで放送されていた手塚治虫のアニメ『青いブリンク』のDVDを、近所のレンタル屋で発見。即、レンタル。観たかったんだよね。ストーリーとかよく覚えてないんだけど、物語の中の世界全体が、なんか「好き」だった、その感覚だけはなんとなく覚えていて、印象に残っていて。ブリンクという青い子馬がすごく可愛くて素敵で魅力的だったのをよく覚えていて。

「カケルくん、勇気をあげる!」

ここぞ!という場面で、一歩踏み出せないでいる主人公カケルにブリンクがこう叫んで、両耳からビビビ~ッと光線を出してカケルに浴びせるんです。そしたら、カケルがパワーアップ! そうして、困難を次々に乗り越えて行く。パワーとか頭脳じゃなくて、“勇気”ってところが良いよね~。結局、ブリンクは何もしてないってことでしょ。

ブリンクは、透明になって姿を消せたり(目だけがクリクリッと姿を現わしてるのがコワ可愛い)、電気を食べたりします。パワーがなくなると充電が必要で、丸~くなって真ん丸いフワフワフサフサした青い玉(水色のでっかいマリモと思ってくれれば)のような姿になってパワーを補給するんです。そのときは、カケルが両腕で抱っこしてあげる。

あーーー、私も、ブリンクのような友達(と言えば良いのかな)が欲しーーーい!
↑キララ姫みたいだな(笑)

なんかね、発想、設定、キャラクター、何から何まで、夢や希望、そして愛がつまってるんですよね。それはそのまま、手塚治虫の世界を見る眼差しなのかな。手塚治虫はこんな風に世界を見ていたのかな。そこには、過去も現在も未来もある気がして。やっぱ、面白い。

この作品、手塚治虫の遺作になってしまったみたいです。『火の鳥』のイメージの源になったというソビエトのアニメ『せむしの仔馬』の現代版として企画されたものらしいです。『火の鳥』に出てくる“火の鳥”も、なんだか神秘的で、存在自体にドキドキさせられるって感じだけど、この“青いブリンク”も負けてません。火の鳥ほど厳格ではないけど、グッと身近でフレンドリーで、それに可愛くて、火の鳥の子供版? 火の鳥が地上に降りてきたって感じかな? 『火の鳥』ちゃんと読んでないから分からないけど。そう言えば『火の鳥』、最近またテレビでやってましたよね。その流れでこの『青いブリンク』もやってくれたら良いのになぁ。

まだ10話くらいしか観てませんが(全39話)、このあとも楽しみです。
全部観たら、また書きたいなと思います(多分)。