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sky is blue

言わなければよかったのに日記

巻舌 発祥地記念~導火線はこちら~

2005-01-15 14:57:55 | ライヴ
1月17日から始まる東京事変の初ツアー『dynamite!』。その本公演が始まる前のゲネプロ(通し稽古)公開、『yokosuka dynamite!』に行ってきました。会場は「よこすか芸術劇場」。行ったことないところだし、いつもと趣が違う会場なのでドキドキ。Uの字に座席があって、5階くらいまである。普段はオペラとかやるところなのかな? 『ASIENCE』のCMに出てきそうなのを勝手に想像してたけど、まぁ、そんな感じ。

このイベント(?)は、ファンクラブ会員限定で1人1枚までしかチケット取れないから、皆それぞれ1人で来てるわけで、開演ギリギリに入ったけど、座席について開演を待つ間も静かだった。ライヴ中もワーッて盛り上がるんではなくて、みんな凄い真剣にみてた。固唾を飲む感じ。

「2004年を音楽で振り返る」でも書いたけど、私にとって林檎ちゃんについて書くことは非常に難しい。その辺、今回のお客さんの固唾を飲む感じを見てもやはりと思ったのだが、そこら辺は本公演のところで書こうと思っているので、今回の記事では、なるべくレポに徹してみよう。

ライヴは、もうお腹一杯。まず、東京事変名義で出した曲は、C/W含め全曲やってくれた(17曲…DVDにのみ収録されている美空ひばりのカバー「車屋さん」も)。それから、新曲を3曲(うち2曲は亀ちゃん作曲)。ヒラマさんのソロ作品を1曲。洋楽のカバー1曲。そして、椎名林檎の曲も。「ここでキスして。」、「月に負け犬」、「同じ夜」、「∑」(「クロール」とメドレー形式)、「丸の内サディスティック」――。このバンドで一杯演奏したいんだな~。それが伝わってきて嬉しかった。

「顔」では、アコギを弾く林檎ちゃんを初めてみた(かな?)。数曲でピアニカも吹いた。アコギもピアニカも何だかすごく優しい感じで新鮮だった。ってか、ピアニカ吹いてすぐ歌えるのがすごい。で、「ここでキスして。」。事前に、やるかも知れないというようなことを聞いていたから驚きはそんなになかったものの、やっぱクルものがある。そのとき、わけも分からず、とっさに私の頭に出てきた言葉が「おかえりー!」だった。もう何だか、「おかえりー!」だったのだ。そして、「月に負け犬」。これが聴けるとは。この曲は、私が初めて生で聴いた曲だ。ああ、あれから何年たつんだ? あれからお互い色々あったのかそうでもないのか、とにかく、またここで会えたね。同じ時代を生きてきたね。そういうことを勝手に思う。ライヴの醍醐味。どこまでもどこまでも真っ直ぐ伸びていきそうな歌唱であり演奏であったから、ああ、この曲は、すごく、すごく、真っ直ぐな曲だったんだ、やっとあるべき姿で鳴らされたんだ、てなことを思った。前が悪かったわけではない。曲があるべき姿で鳴らされることって、なかなかないことなのかも知れない。むしろ、ズレや摩擦からエネルギーが生まれることの方が多いのかも。ビートルズの「ヘルプ」だって、あるべき姿で鳴らされなかったかも知れないけど、そこにあったズレや摩擦や色んなもんが渦巻いてすごいエネルギーが生まれたには違いないんだ。けれど、この日の「月に負け犬」は、ただただ真っ直ぐ、真っ直ぐに伸びていた。良いとか悪いとかではない。真っ直ぐだった、ただそれだけ。で、それに続けて、「同じ夜」ですよ? これ、反則ですよ。「同じ夜」は、私が林檎ちゃんで一番好きな曲かも知れない。

<飛交う人の批評に自己実現を図り戸惑うこれの根源に尋ねる行為を忘れ>

本当ビックリしたよ。この詞をみたときに。出会っちゃったよ~って感じ。こんなにも私にとって真実を射抜く言葉なり表現を紡ぐ人がいたなんて。こんな人は滅多にいないんだよ。こんな風に聴き手にドッペルゲンガーを起こさせる人なんてそうそういるもんじゃないんだよ。この曲を生で聴ける日が再びくるんだろうかと思っていたけど、きてしまった。もうこの時点で私、「もう今日はこれで帰って良いや」って思ったよ。というか、早く持って帰りたい!ってな気分よ。でも、まだこの時点で中盤だったかなぁ。そんな風に「月に負け犬」~「同じ夜」で「もう良いです」と思っていたのに、一旦、ヒイズミさん以外が舞台から下がり、ヒイズミさんがしゃらら~んとピアノを奏で始める。ああ! 「現実に於て」だぁ。この曲は、東京事変のアルバム『教育』収録の、「現実を嗤う」という曲と繋がってる曲なんだけど、この「現実に於て」~「現実を嗤う」は、『教育』の中で一番好きな時間帯かも知れません。というか、ヤバイ時間帯。どちらかと言うと、東京事変より椎名林檎寄りっていうか、『加爾基 精液 栗ノ花』とかに入っててもそんなにおかしくはないような曲で、自分の中にある煩悩やら何やら全部かき回される気分で。ハッキリ言いますが、これ、男性立ち入り厳禁です! ねえ? 女性の皆様? これがまた、ヒイズミさんのピアノが同じフレーズを繰り返すだけなんだけど、素敵なんだよなぁ。ヒイズミさんって、もう音出してなくても、佇まいだけで、そこに居るだけで、音が聴こえてきそうなんだよなぁ。同じく、ヒラマさんもそんな感じで素敵だし。というか、ツアーみてヒラマさん株が私の中で上昇。で、ポツポツと他のメンバーが出てきて、それぞれの音が重なっていき、林檎ちゃんが歌い出す。もうね、この曲の「どうにかなっちゃいそうになる感じ」がちゃんと再現されてましたよ。メンバーが一旦下がる演出もそのためかも。「同じ夜」から切り替える必要もあったのかもだけど。だから私、どうにかなっちゃいそうでしたよ。またまた言わせてもらいますが、これが男性に分かるかって~の! 一見「クロール」とかがその代表例だと思われがちでしょうが、そんなのまだまだ甘いって!? ねえ? 女性の皆様? 女性の特権よ! うふふ。ああ、その前は「同じ夜」だったのにね。なんか贅沢すぎちゃって……良いの?

それからはよく覚えてない。林檎ちゃんについて書くことは難しいと言ったけど、林檎ちゃんのライヴって、なんか、記憶が飛んじゃうんだよね。だからこの記事も全然レポになってなくてごめんなさい。レポに徹してみようって書いたくせに。ただ、思ったのは、「駅前」とか「夢のあと」とか、ライヴで聴いて私の中で評価が上がったのは確か。というか、『教育』の評価がグンと上がった。CDだと物足りなかった人もライヴみたらガツンときたんではないかなぁ? 少なくとも私は、ライヴのあと『教育』の評価が上がったし、『教育』はCDよりライヴの方が良いと思った。また、『教育』はそういうアルバムなんだとも思った。バンドならではの楽しさだとかハチャメチャさだとかうるささだとか無責任さだとか茶目っ気だとか暖かさだとか人との繋がりだとか、そういったバンドならではの醍醐味や躍動感を『教育』から感じたし、ライヴではそれがより一層ダイレクトに伝わってきたから。それから、東京事変というバンドの持つ瞬発力や攻撃力(演奏力はもちろん)、洒落た部分を感じた。乱暴な言い方だけど、曲なんてどれでも良いっていうか、どの曲でも料理しちゃうよって感じ。で、洒落てるんだよね。粋なんだよ。「ダイナマイト」では「dynamite!」という大きなプレートが下がってきたり、「群青日和」ではバカでかいミラーボールが回るし、ホーンテッド・マンションにありそうなシャンデリアも素敵だった。

MCでは全員がそれぞれ喋って、亀ちゃんか誰かが「ゲネプロって何の略か知ってます?」と言ったら、お客さんが答えていた(答え忘れた)。で、「何語なんですかね」と確か林檎ちゃんが呟くと、「ドイツ語ー!」と同じくお客さんが答え、「へぇ。すごい。ドイツ語って発音が難しいんですよね。ゲーテとか。ゲーテ、ゲーテ、グェーテ…」と一人呟き、呟いた自分に照れていた林檎ちゃんが可愛かった。それから、年末をどう過ごしたかの話をしたりなどして、くりきんとんを作ったとかサザンの年越ライヴを見たとかいう話をし、それから「サザン・オール・スターズ」とか「マライア・キャリー」とか「ブリトニー・スピアーズ」とかの英語発音教室(?)へ。これは、『Mステ・スーパーライヴ』でも言ってたなぁ。そこだけやけに英語っぽい(?)発音で「スタァァァー」って(笑)。

ファンクラブについても触れてくれました。「今日は皆さん、林檎班に入って下さってる方なんですよね?」と林檎ちゃん。「本当に?」みたいに言ってた。会場を見渡して、「すごい…。こんなに居て下さるんですね…」みたいなことを呟かれてました。それプラス、ここだけの話も(ふふふ)。最後、「また本公演等でお会いしましょう」って言ってくれたのも嬉しかったなぁ。

ゲネプロという名目もあってなのか、「その淑女ふしだらにつき」の出だしを間違えてやり直したり、亀ちゃんが「今日はリハのようなもんだから大目に見てね」と言ったり、リラックスしたムードもなきにしもあらずだったけど、基本的には本番さながらだった。それでは、また本公演でお会いしましょう。