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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

桐野夏生著「奴隷小説」

2015-05-23 | 桐野夏生
時代や場所にかかわらず、人間社会に時折現出する、さまざまな抑圧と奴隷状態。
何かに囚われた奴隷的な状況であることのみが共通する、七つ短編集。
村の長老との結婚を拒絶する女は舌を抜かれてしまう。それがこの村の掟。
そして30番目のあらたな結婚の相手として、ある少女が選ばれた・・・「雀」。
突然原理主義者らしき兵士に襲われ、泥に囲まれた島に拉致されてしまった女子高生たち97名・・・「泥」。
アイドルを目指す「夢の奴隷」である少女。彼女の「神様」の意外な姿・・・「神様男」。
管理所に収容された人々は「山羊の群れ」と呼ばれ、理不尽で過酷な労働に従事せられていた。
そして時には動物を殺すより躊躇なく殺される。死と隣り合わせの時刻の番人・鐘突き番にさせられた少年は・・・「山羊の目は空を青く映すか」。
他「REAL」「ただセックスがしたいだけ」「告白」。
短編だから物足りない気もするがどれも独特の過酷で残酷な世界。
読後感はけっして良くないが次々と読みたくなる毒盛りの物語。「雀」は日本の弥生式古代。
「泥」はアフリカのポコハラムの蛮行を思い出した。

2015年1月文藝春秋刊

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