読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

五十嵐貴久著「スカーレット・レター」

2024-07-20 | Weblog
ホラーミステリー。麻視出版の文芸編集者の春川澄香は、スランプに陥った新人作家の山科和美と打ち合わせのために作家の実家岩手県に行くことから物語は始まります。新幹線、岩手銀嶺鉄道、車と半日かけてやっとたどり着き、和美の実家の温泉宿の部屋で一息ついていると赤い封筒が目に入る。中に入っていた便箋を読むと歓迎の言葉が綴られていた。
その時、窓に何かがぶつかる音が。おそるおそる確認してみるとカラスがぶつかり、血を流していた。それをきっかけとするように老人の幻影が現れ、何かを訴えようとしてきたのだ。
 やがて、不思議な現象、和美の友人の不審死、ベストセラー作家の失踪等が・・・。全ての真相が暴かれた時、澄香が町を訪れた本当の理由が明らかになる展開。作家と編集者の関係がありきたり、起こる気味の悪い現象も、登場人物もリアル感がなく興味が持てないのは、後で解かることだが主人公と和美の家族が全員異能・異常者のせいだった。家族写真の日付2003年なのに銀嶺鉄道は2014年開業だし時代のつじつまが合わないのもよくわからないし、閉ざされた田舎の異常な宗教・習慣、死者と形だけ婚姻させる冥婚、死者の口寄せイタコなどオカルチックな展開についていけませんでした。
2023年3月実業之日本社刊
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梅干しの天日干し

2024-07-19 | Weblog
当地方の梅雨が明けた。早速、6月に漬けた庭の梅木から収穫した梅1k。天然の赤紫蘇を購入して塩揉みしアクを抜き、梅と一緒に漬けた梅の仕上げ。雨が降らない事を願い天日干し2日目。初めての梅干し作りの体験。いつも毎年漬けていた親にコツや注意点をよく聞いとけばよかったのに、最早親は亡く黴を心配しての初挑戦だった。塩の分量を間違えて、3時間後に気づいてあわてて塩を取り除いたのが一番の失敗。なんとか塩分多めだが薄紅色の梅干し出来上がりだ。
今日は半日、干した梅干しと天気を心配しながら名古屋駅に用事で出かけたが、ビル内や地下街を歩くこと7000歩都会は意外と歩数が上がる。


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佐藤青南著「一億円の犬」

2024-07-14 | さ行
犬が絡んだミステリー。六本木のセレブ妻という設定で、SNSにマンガ「保護犬さくら、港区女子になる」を投稿している32歳の独身小筆梨沙。ある日、出版社の編集者から書籍化のオファーが来る。動画サイトで人気になれば億単位の収入も夢ではないという。プロフィールの嘘他人の画像を加工し投稿したサイトを取り繕うため年収一億円を夢見る梨沙は大胆な行動に出るのだが、想定外の“事件”に巻き込まれる・・・。殺人者は誰か、噓をついているのは誰か?人生で何度も嘘をつくことはあるが、嘘で塗り固められた人生とはどんなものなんだろう。SNSで自分を大きく見せることが楽しい人がいるのは想像できるが・・・金があれば何でも解決できるとは幻想にすぎない。嘘にまみれた主人公が保護犬と暮らし、やがて自分自身の人生を取り戻すハーピーエンドの展開に。犬を飼う事の思いが伝わって来る。
2023年11月実業之日本社刊

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乃南アサ著「家裁調査官・庵原かのん」

2024-07-13 | な行
主人公は恋人を東京に残主人公して罪を犯した少年少女や親たちと面会を繰り返す30代の独身、福岡家裁北九州支部の少年係調査官。少年犯罪、貧困、毒親、虐待、障害・・・様々な理由で問題を起こし、家裁を訪れる少年少女や保護者たち。少年係調査官である庵原かのんの仕事は「臨床の専門家」として、彼らの“声なき声”に耳を傾けること。家庭や学校、社会が抱える問題にぶつかりながら、かのんはどんな人間に対しても諦めず、生きる力を信じて正面から向き合い更生を信じて奔走する6つの連作短編。補導委託先から急にいなくなった少年が、お使いの途中、母に似た人を見つけ追いかけていき、補導委託先に帰ってこない。一緒に暮らした期間も短ければ、愛情に包まれた記憶もないはずなのに、それでも少年は母親を求めて・・・鳥獣保護法違反「野良犬」。父親はペルー人(スペイン語)、母親はフィリッピン(タガログ語)、少年は日本で生まれ日本語しか話せない。そんな状況下で、家庭ではどのようにしてコミュニケーションを取っているのか?暴走族・・・「パパスの祈り」。「我が家の常識は世間の非常識」建造物侵入と遺失物等横領・・・「おとうと」。他に「自転車泥棒」強制わいせつ罪・・・「アスパラガス」売春防止法違反・児童福祉法違反・・・「沈黙」傷害・器物破損・・・「かざぐるま」。虐待や貧困など、事件を起こす少年達は皆、大人の知らないトラウマを抱えて心が歪んでいる。そんな彼ら彼女らに寄り添い、凍った心の内を優しく溶かしていく主人公の奔走ぶりが小気味よい読後感。是非続編を。
2022年8月新潮社刊

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松本清張著「閉じた海―社会派推理レアコレクション」

2024-07-07 | ま行
平成4年(92年)死去の「社会派推理の祖」と称された作家。財閥系に伍して業界の中堅までのポジションに至った損保会社の戦後の混乱期に阿漕な手段まで駆使して成り上がった男たちの裏の顔を描いた話。損保会社の独裁社長の長年の秘書が、海外出張先で海に転落死。大学同窓生で、別会社での左遷直前に拾ってもらった主人公が出張直前の酒の席での彼の言動を思い出して不審を感じ・・・表題作(1973年)。無尽会社から発祥して地域の有力金融機関の地位にある相互銀行の裏の顔を暴くようなストーリー・・・「よごれた虹」(1962年)。他に短編、元警察官の冤罪がらみの・・・「雨」(1966年)の3編と資料編・社会派推理とは何か対談エッセイ・インタビューが収録されている。死んで暫くたつのに新刊出る作家は流石。どの作品も未完の感が強いが「上から見ないで底辺からみあげること。・・・まず疑ってかかるという姿勢」(P294)作家姿勢が解る作品でした。
2024年4月中央公論新社刊

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奥田英明著「コメンテーター」

2024-07-01 | 奥田英朗
とんでも精神科ドクター伊良部シリーズ第4弾5つの短編集。
低視聴率にあえぐワイドショーのスタッフの圭介は、母校のつてで美人精神科医をコメンテーターとしてスカウトしようとする。が、行き違いから伊良部とマユミが出演することに。案の定、ふたりは放送事故寸前のコメントを連発するが、それは暴言か、はたまた金言になるのか・・・表題作。社交不安障害「対人恐怖症」、どうも自意識過剰というか。「コイツ、私のこと嫌いだろうな」「コイツ今、私のこと気持ち悪いって思った」と常に考えがちな大学生と中学生・・・「パレード」。アンガー・マネージメントを指摘されたパニック障害の男・・・「ラジオ体操第2」。広場不安障害・閉所恐怖症のピアニストの女性・・・「ピアノ・レッスン」。他にマネーゲームに取りつかれたデイトレーダー・・・「うっかり億万長者」。精神的な病を持つ5人が、トンデモ精神科医伊良部の治療を受けて新しい一歩を踏み出す展開。笑った、でも最後にはジーンきます。薬を出さずに行動療法だけで治すコロナ禍など時代の流れも入れながらも以前と変わらない伊良部先生とマユミちゃんが憎めなくていいね。
2023年5月文藝春秋社刊


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藤岡陽子著「リラの花咲くけものみち」

2024-06-27 | は行
動物たちが、「生きること」を教えてくれた。 家庭環境に悩み心に傷を負った岸本聡里は、祖母とペットに支えられて獣医師を目指し、北海道の獣医学大学へ進学し、自らの「居場所」を見つけていくことに・・・聡里は獣医学部に進学すると、獣医師の仕事が動物を助けるばかりではないことを実感します。時には命の選択をし、助けられる命を見殺しにしなければならないこと。仕事は、小動物の臨床医(町の動物病院の先生)以外にも、国や地方自治体で働く公務員、牛や馬や豚や鶏を診る農業共済組合の職員、製薬会社やペットフード会社で動物実験を担当する社員など多岐にわたります。「動物が好き」という理由で獣医学の道に進んだ学生たちが、どのような感情で動物の命に向き合うのかが書かれています。「怖がっていたらなんの夢も叶えられない」。「苦しんだ人のほうが、初めからなんでもできるやつより強いよ」。動物は自分で自分の治療方針(命)を決められない、飼い主が決めるということは、当たり前だけど難しい問題です。北海道の大自然の地で、自らの人生を変えてゆく少女の姿を描いた心が温かくなる感動作でした。
2023年7月光文社刊

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今野敏著「マル暴 ディーヴァ」

2024-06-23 | 今野敏
マル暴シリーズ第3弾。
マル暴なのに弱腰な刑事・甘糟達男は、コワモテの上司・郡原虎蔵と、麻薬売買の場と噂されるジャズクラブに潜入する。
ステージで美しい歌声を披露する歌手・星野アイに魅了される二人だが、
彼女の正体を知って、史上最強の歌姫(ディーヴァ)とまさかの潜入捜査に・・・。
〈任侠〉シリーズの阿岐本組の面々や警視総監も登場、気弱で影が薄く、
周囲に翻弄される構図は毎回同じで、何度も笑ってしまいました。
予測不能の展開に笑える一気読み。
2022年9月実業之日本社刊

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宇佐美まこと著「黒鳥の湖」

2024-06-19 | あ行
上場企業『ザイゼン』の社長財前彰太は、妻の由布子、娘の美華と三人で幸福に暮らしていた。ところが、世間を騒がす女性拉致事件のニュースを見かけ、彰太の心に不安が兆す。その快楽殺人者の手口に覚えがあったのだ。十八年前、反対を押し切って由布子と結婚するため、そして伯父の会社を奪うため、彰太はある〝罪〞を犯した……。主人公の財前は暗い行いで資産を得、会社経営者にのし上がり美しい妻と娘を得て豪邸に住んでいますが、妻の過去の愚かな行いは後々までやっかいな因果を残し、最愛の娘が登校拒否から非行に走りぐれて、あげくに失踪する。出てくる財前家の疎ましい過去の数々。「肌身フェチの殺人鬼」という見えない異常者がこの物語の恐怖感を煽り、やがて最終章ですべての謎が解けるのだが、幾重にも前半の張られた伏線の回収が見事です。途中犯人のめぼしはおおよそつくのだが人間の悪と因果を暴く衝撃の家族ミステリーでした。
2019年12月祥伝社刊 

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cafe,itose

2024-06-16 | Weblog
歩く事3時間。木曽の糸瀬山の頂上付近にあるテーブルとイス。ここのテーブルには「いらっしゃいませ、当店では完全セルフサービスとなっております。ご提供できるサービスはテーブル、椅子、掃除用たわし、新鮮な空気のみです。なお、24時間、年中無休で無料となっておりますので、混雑時は相席でのご利用をおねがいします!」と洒落た掲示板がありました。緊張した「のろし岩」での景色をスマフォの写真で確認しながらゆっくり昼食を食べ休憩しました。
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ティンカーベルに会いに糸瀬山へ

2024-06-15 | 
JR須原駅から登ることができるが今回は車で登山口まで。国道19号線の途中から糸瀬登山口方面の道に入り糸瀬登山口へ。登山口から樹林帯の急登をひたすら登ること約180分。糸瀬山頂上の近くに有るのろし岩10mのてっぺんに居るティンカーベルに会いたくて気持ビビリですが勇気を振絞り登ってきました。岩のてっぺんは乗鞍御嶽中央アルプスの山々が一望できる景色の良い処ですが後向きに鎖頼りに緊張しながら降りる事に気が行き落ち着かなかったです。誰にも会わない静かな山行でしたがマムシ2匹遭遇。中津川の日帰り温泉に入り帰宅。
のろし岩



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染井為人著「黒い糸」 

2024-06-13 | さ行
千葉県松戸市の結婚相談所でアドバイザーとして働くバツイチ子持ちの平山亜紀は、仕事で顧客とトラブルを起こして以降、無言電話などの嫌がらせに苦しめられている。亜紀の息子・小太郎が通う旭ヶ丘小学校の6年2組でも、クラスメイトの女児が失踪するという事件が起きていた。事件後に休職してしまった担任に替わり、小太郎のクラスの担任を引き継いだ長谷川祐介は、クラス委員長の倉持莉世から、クラスの転入生の母親が犯人だという推理を聞かされて戸惑うが、今度はその莉世が何者かに襲われ意識不明の重体となってしまう。特定のクラスの周辺で立て続けにおきる事件の犯人は同一なのか、またその目的とは。・・・多種多彩の怪しい強烈キャラの登場人物たちによって次々に起きる謎が謎を生む展開。誰もが怪しい展開で最後には意外な人物が犯人。繰り返しウザい持論をとなえる男性教師長谷川の兄のキャラも面白い。一気読み出来そう。続編もありか?
2023年8月角川書店刊 

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佐藤青南著「犬を盗む」

2024-06-10 | さ行
著者は「ある少女にまつわる殺人の告白」で第9回『このミステリーがすごい! 』大賞優秀賞を受賞し、2011年同作でデビューした作家。高級住宅地で一人暮らしの老女が殺害された。部屋には、かつて犬を飼っていた痕跡があり、刑事たちは周辺の捜査を開始する。一方、雑誌記者の鶴崎は、あるスクープをモノにするためコンビニでアルバイトを始める。同じコンビニで働く松本の過去を知る鶴崎は、松本が突然犬を飼い始めたことに驚愕するが・・・、時々挿入される犬目線の段落。深まる謎。犬好きの刑事、犬アレルギーの刑事、犬好きのコンビニの店員、犬を飼う推理作家、ドックラン場に集まる犬好きたち読み進めるうち何か引っかかる違和感のある展開で誰が本当に悪者なのかと・・・後半明らかになるどんでん返しの真実に『なるほど』の納得。
2022年9月実業之日本社刊 

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金華山、鷹巣山登山

2024-06-07 | 
いい天気の日にはハイキングとお出かけ。岩戸観音に車を停め東坂登山口から岐阜市の金華山(328m)に登り、岐阜城天守閣に入場(¥200円)し、資料館も見て昼食。下山はハイキングコースを巡って妙見峠に下山。途中鷹巣山(232m)に登って総歩行距離5.1k標高差515m時間3時間半のハイキングでした。帰りは三田洞神仏温泉(520円)に入り帰宅。
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奥田英明著「リバー」

2024-06-06 | 奥田英朗
同一犯か? 模倣犯か?群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見される。十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街全体を凍らせていく。かつて容疑をかけられた男、池田清。取り調べを担当した元刑事滝本誠司。娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親松岡芳邦。若手新聞記者千野今日子。一風変わった犯罪心理学者篠田。スナックのママ吉田明菜。そして新たな容疑者たち期間工の刈谷と引き籠りの平塚健太郎。十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか?人間の業と情を抉る群像劇の犯罪小説。河川敷で起きた連続殺人事件に容疑者が3人に絞られます。それぞれに、暗い背景を持ちながら、なかなか決定打となるような証拠が出ない。警察の所管が分かれていると情報共有がされにくい点もある、被害者遺族にしても、犯人が逮捕されないことで悶々とするし、知られたくないことをマスコミに書かれて一方的に傷けられたりと、警察・マスコミ・被害者側遺族の心理描写が丁寧に書かれ展開される648ページ。そして第5の殺人が起きてしまう。犯人はミステリー小説A・クリスティーの「オリエント急行殺人事件」「そして誰もいなくなった」タイプか?予想を超えて読み応えのある長編ミステリーでした。
2022年9月集英社刊


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