読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

石田衣良著「ペットショップ無残 池袋ウエストゲートパークXVⅢ」

2023-07-19 | 石田衣良
目白の獣医を訪ねたマコトは、いろいろと問題を抱えているチワワを目にする。飼い主はそのチワワを、とあるペットショップで買ったという。総合商社CGペット。ペットショップや動物病院、ペットサロン、ペットホテル・ペットホーム・霊園など、「揺りかごから墓場まで」ペットのすべての業務をビジネスとする総合商社で、急成長している。だがその裏でマコトが目にしたのは、吐き気がする現実だった。・・・「表題作」
トラブルに巻き込まれた15歳の女子ヤングケアラー、氷のような表情をした少女・・・「常盤台ヤングケアラー」
生安課の吉岡刑事からの依頼は賽銭泥棒・・・その賽銭泥棒に疑われたバングラディシュからの外国人労働者クマールはマコトの知り合いだった・・・「神様のポケット」
ゼロワンからの意外な依頼事、マッチングアプリを利用した美人局を描く・・・「魂マッチング」。以上4編の短編。コロナ禍の世相をもとに描かれた日本の社会問題をサラリと提起。深堀はされていないが・・・・。
2022年9月文藝春秋社刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「禁猟区」

2022-10-25 | 石田衣良
恋愛小説。フリーのライターの34歳、家族も収入も一定の幸せも手に入れた文美子。だが夫との関係は冷え切り、娘はかわいいが保育園で時々問題行動を起こしていた。ある日、文美子はママ友から、女性がお金を出して若い男性を「狩る」という「お茶会」に誘われる。乗り気でなかった文美子だが、そこで10歳年下の劇団俳優の夏生と出会い、彼の誠実さに惹かれていくのだが・・・。
女性の立場で展開される。セックスの描写や男女の絶妙な感覚の違いは面白い。夫の愛人の突然の来訪、半グレからの脅迫、変貌していくママ友。様々な出来事が降りかかる展開でドラマを見ているように読みやすいが、男と女のラブゲーム保育園の娘が健気でこましゃくれて居るが可哀想。読了感は若干物足りないと感じた。
子供を介したママ友の人間関係は難しくてある意味怖いと感じた。
2022年6月集英社刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「池袋ウエストゲートパークXVⅡ炎上フェニクス」

2022-08-25 | 石田衣良
シリーズ第17作。コロナ禍の池袋を舞台にした4つの連作短編。東京の池袋西口公園近くの果物屋の息子・真島 誠は、“池袋のトラブルシューター”とも呼ばれ、依頼された難事件を次々と解決し、住民の幸福と秩序の維持を目指す。高校時代の先輩が持ち込んだマッチングサイトが絡むトラブル・・・「P活地獄篇」子供や女性などの自分より身体が小さい相手ばかりを狙う、黑キャップに黒マスクのぶつかり男を捕まえろ・・・「グローバルリングの出会いがしらにぶつかり男」新ウィルスのおかげで流行り出したデリバリーサービスの配達員のトラブル・・・・「巣鴨トリプルワーカー」元テレビ局のアナウンサーがストーカー被害から始まったツィツターやインスタグラムに突然嵐のような非難の書き込みが。ネット上の業火に焼かれる女子アナにマコモとサルは・・・「炎上フェニックス」。大いなるマンネリの物語もウィズコロナの時代が反映されて展開されていた。
2021年9月文藝春秋社刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「心心・東京の星、上海の月」

2022-08-14 | 石田衣良
渋谷にあるGFA専門学校の声優科に入学した石森陽児は、上海からやってきたアニメ好き少女・陽心心と出会う。異国の地でひたむきに夢を追う彼女に惹かれながら、幼なじみの手塚浩平、元高校球児の健太郎、子役あがりの遥、元キオスク女子の真琴といった年齢も出自も違う仲間たちとともに声優になるための特訓の日々を送る。ある日の夜、浩平に誘われ帰宅する心心のあとを興味本位でつけたところ、彼女を見張る不審なクルマに気づく。心心が抱える秘密とは・・・。アニメ世代向けの青春冒険小説。後半の上海でもドタバタ劇、ちっともアニメ好きでないおじさんには理解しにくのだが、それなりに何でもありの中国の現状や世相がリアルに織り込まれていて、心心の可愛さや登場人物のキャラがハッキリしていて楽しめた。
2022年3月KADOKAWA刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「池袋ウエストゲートパークXVI 獣たちのコロシアム」

2021-11-12 | 石田衣良
シリーズ16弾。「逆隊コロシアム」という通常の手段ではアクセスできないサイトでは、競うように児童虐待動画がアップされている。ダークウェブの深奥にある。あのサイト「逆隊コロシアム」を潰して、その一部始終をドキュメンタリーにしたいというテレビ・ディレクターの梅原から依頼を受け、3人の虐待サバイバーの若者とともに調査に乗り出したマコトは、ある日テレビで見た子どもの虐待死のニュースが、「逆隊コロシアム」の動画に映っていた少女のことだと気づく。小さな命を救えなかった悔しさと怒りを胸に、マコトはタカシや仲間たちと巨大なウェブに巣くう獣たちに戦いを挑む。・・・表題作。池袋の路上で繰り広げられたタピオカ抗争の顛末・・・「タカオカミルクティーの夢」。日本屈指のラブホ街を狙った強盗団との闘い・・・「北口ラブホ・バンディッツ」。恋人のいない若い女性を狙ったバースデイコール詐欺・・・「バースデイコールの甘い罠」4編を収録されている。いつものトラブルシューターマコトと個性豊かな仲間たちともにいつも通り義理人情と無給で犯罪者を退治する姿は気持ちいい。偉大なマンネリの物語。
2020年9月文藝春秋社刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「清く貧しく美しく」

2020-10-29 | 石田衣良
氷河期世代をテーマにした恋愛小説。この冷たい世界に怯みそうになっても、二人でいれば大丈夫。だけど、荒れ狂う嵐の夜は、ある日突然にやってくる。30歳・ネット通販大手の倉庫で働く非正規のぼく立原堅志と、スーパーでパートをする28歳の彼女保木日菜子。自分がいかにダメな人間か、いつも思い知らされている。それでもぼくたち二人は、お互いをちゃんとほめあい、守り合って生きていこうと決めた。そんな日々がずっと続くと信じていたのだが堅志に正社員登用の話がきたことをきっかけに、日々に少しずつ変化が訪れる・・・。氷河期世代は就職活動していたのに現在非正規として働かざるを得ない人たちのことだが、主人公は自ら就職活動を辞めてしまったのだから本人の性格の問題だ。最後まできれいごとを並べて貧困に甘んじる主人公に感情移入は出来ず、調子の好い出来事もご都合主義で恋の行方の予想も早々と予想できた意外性がなかったのは残念。
2019年11月新潮社刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「絶望スクール 池袋ウェストゲートパークXV」

2020-08-08 | 石田衣良
「マコト」と「タカシ」のI/W/G/P第15弾!
ネットに動画配信された動物虐待シーン・・・「目白のキャットキラー」、
飲酒運転・危険運転、子供を奪われた夫婦・・・「西池袋ドリンクドライバー」、
民間の引きこもり支援会社の引きこもりビジネス、高齢化しつつある引きこもり・・・「要町ホームベース」、
日本語学校の留学ビジネスとベトナム人留学生のブラック労働・・・「絶望スクール」
著者の眼の付け所がいい。現代の裏仕事人「マコト」と「タカシ」痛快にお仕置きし問題解決。クローズアッㇷ゚された4つの問題を著者は問題提起しただけ、真の意味の解決法は示していない。我々はどう捉え考えるか。
2019年9月文藝春秋社刊 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「七つの試練池袋ウエストゲートパークⅩⅣ」

2019-05-31 | 石田衣良

池袋のトラブルシューター、マコトとGボーイズを率いるキング、タカシが活躍するシリーズ第14弾。4つの短編。

タカシが紹介したのは、はめられた芸能人・淫行をネタに揺すられるイケメン俳優。暴露記事をちらつかせる敵にマコトはダメージコントロール・・・「泥だらけの星」

SNSで課題をクリアして「いいね」を獲得する謎のデスゲームが若者に流行。次第にエスカレートする課題に「いいね」欲しさに挑み、ある者は大怪我を、ある者は命を落とすという事態に。怪我した高校生の妹と共に卑劣なゲームの管理人をあぶりだそうとするマコトとタカシが仕掛けた大掛かりなトラップ・・・・表題作「七つの試練」

お手軽な欲望が横行する出会いカフェ、風俗業の裏サイト、首絞め変質者の似顔絵をもとにストラングラー[strangler](絞殺魔、絞殺犯という意味)を見つけ出す・・・・「鏡の向こうのストラングラー」

三木元神社の境内に建った高層億ションの夜中の11時間半に毎夜聞こえるコツコツ音、病んだ身内をひた隠しにする親族監禁の怪・・・「幽霊ペントハウス」

池袋周辺で起きる、現実の話題や事件をモチーフとした犯罪被害者からの依頼に応えて、事件を解決していくマコトとタカシのワンパターンネタだが盛り上がりに欠けるきらいがあるが限界に挑戦なのか?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「爽 年」

2019-02-23 | 石田衣良

callboy Ⅲ。前作の性愛小説『逝年』の続編。仲間の咲良、アズマと共にボーイズクラブを再開して娼夫のリョウこと森中領の7年後の20代後半を描く。御堂静香の後を引き継ぎ、非合法のボーイズクラブLe ClubPassion(「クラブ・パッション」)の経営を一手に引き受けるまでになり、男性恐怖症の女性、アセクシュアルなど、クラブを利用する女性たちにも様々に。リョウは女性の欲望を受けとめ続ける毎日の中で、老いてゆく自分自身の将来に思いを巡らせ始める。・・・性を巡る深遠な旅の結末に、リョウが下した決断とは・・・。仕事としてのsexと愛する女性とsexの違いは?いろいろ反省させられた、もっと若い頃読めたら参考になったのだが・・・。

20184月集英社刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「池袋ウエストゲートパークⅩⅢ裏切りのホワイトカード」

2018-09-15 | 石田衣良

シリーズ13弾。池袋のトラブルシューター、マコトのもとにはあらゆる難題が持ち込まれる。フェイクだらけの時代。真実は自分で見極めろと渡された白いカードでコンビニATMを操作するだけで、報酬は十万円。そんな怪しいバイトに千人単位の若者を集める目的は何か?池袋の仲間と、新しい命を守るために立ち上がる・・・・表題作。でたらめの虐待疑惑をネットに書き込まれて炎上した宅配ドライバー。・・・「滝野川炎上ドライバー」。母親が悪い男とドラッグにはまった女子中学生。・・・「上池袋ドラックマザー」。根拠のない情報が溢れるオカルト・サイト。・・・「東池袋スピリチュアル」の連作4つ

どんな事件も飄々と解決するのに母親には頭が上がらないマコトと、Gボーイズを率いて池袋の裏側を取り仕切るクールなタカシ。池袋を縄張りにする氷高組の構成員・サルも登場し日本の社会問題や時事問題が実際に起きそうな話が、リアルなフィクションで展開される。そろそろマコトのモナトリアム状態からの脱皮を希望する。

2017年9月文藝春秋刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「オネスティ」

2017-06-07 | 石田衣良

危険な純愛小説。丘の上に建つ二軒の家。それぞれに住む同い年のカイとミノリは、幼なじみとして育つ。家のそばにそびえるケヤキの木の下が、二人にとって大切な場所だった。幼なじみが両親の離婚により、好き合っていれば結婚のような制度にとらわれずにいた方が長く気持ちが変わらずにいるはず、という考えで「おたがい大好きだけど、恋愛も結婚もしない。どんな秘密もつくらない」と幼なじみ二人が交わした約束。成長してからは絵描きのカイと性に奔放なインテリアコーディネーターのみのり、そして互いの伴侶ミキとカズフミ。特別な関係を築く二人に、周囲の人間は困惑するが。・・・

男女間の友情は?というにはちょっと違和感が。互いに他の人とのセックスを報告しあうのは理解できない。

2015年1月集英社刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「西一番街ブラックバイト・池袋ウエストゲートパークⅫ」

2017-02-28 | 石田衣良

 マコトトタカシが活躍するシリーズ12作目。過酷な労働を強いられ、辞めることもできない。若者を使い潰すブラック経営者に、Gボーイズが怒りの声をあげる。多くの飲食店を経営するOKグループが若者を使い潰す方法は、会社の“憲兵”が脅し、暴力集団“腐った五人”が痛めつけること。池袋にはびこるブラック企業に、マコトとタカシが立ち向かう表題作他、

廃校になった小学校の校舎を再利用したギャラリーに起こったトラブル・・・・「西第二スクールギャラリー」。

ネットに動画アップを主な業務とするユーチューバー。無料動画サイトで荒稼ぎするために過激化する煽り中傷行為のトラブルに・・・・「ユーチューバー@芸術劇場」

日本の美容整形市場は年間2千億円。はじめはプチ整形だったのにやめられなくなり・・・「立教通り整形シンジケート」。今回は社会を覆う巷の問題をリアルに捉えており、解決法は相変わらずだが興味が持てた。2人の恋愛話がないのは寂しい。

2016年8月文藝春秋刊

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「水を抱く」

2014-09-14 | 石田衣良
性に溺れて生きるしかない女・凶暴なまでの快楽を貪る年上の女・ナギと、ともに溺れる覚悟をきめた男伊藤俊也。
2人は白昼の路上、夜の渋谷、新宿のクラブ、バーのテーブルの下で、剥き出しの欲望を振りかざして関係を深めていく。
俊也は思う「彼女にふれて、ぼくは全てを変えられた。その女をしばる過去が何であれ、構わない。真っ暗な性の闇に堕ちてもなお、ナギとつながりたい」。
エロくて切ない純愛小説だとあるが謎の女ナギと謎のストーカーなどこの恋愛の行き着くところにミステリー的興味があって読まされた。
結末は、そこに持って行くのかという無理やり感は否めなかったのが残念。
「起きてしまったことは、とり返しがつかないし、変えられはしない。でも、未来は別だろう。」(P309)
2013年8月新潮社刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「余命1年のスタリオン」

2014-02-03 | 石田衣良
「スタリオン(種馬)」芸能界への登竜門「スタリオンボーイグランプリ」でデビューし15年、
「種馬王子」の異名を持つ小早川当馬。俳優として着実にキャリアを積み、プライベートも好調だったが、
体調不良をきっかけに訪れた病院で、肺がんの宣告を受ける。
余命は1年彼女はいるがバツイチ当馬に、いったい何ができるのか?人生最後のステージを
・・・残された時間のなかで最初で最後の主演映画にかける姿、それと並行して自分の子どもをつくるために
奮闘する姿は筋書きも展開も予想できてしまう542ページの長編ですが、著者らしい読み易さで、
小さな感動が随所に散りばめられホロッとさせてくれます。
登場人物は全て善人、女性の描き方も協力的が気になるが、普通の「幸せ」が一番と感じれる作品に仕上がっています。
「末期がん」の患者だからって、人生が終わった訳じゃない。もう一花さかせることはできる。
「癌」は決して隠さないといけない病じゃない。・・・と偏見を払拭したい著者の意図は充分感じました。
2013年5月文藝春秋刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石田衣良著「スイングアウト・ブラザース」

2013-10-10 | 石田衣良
矢野巧(ヤノッチ) ゲームメーカーのプログラマー。ロン毛でガリガリのおたく。
小林紀夫(コバ)  地元下町の信用金庫の顧客係。薄毛で気が弱い。
堀部俊一(ホリブ) 清涼飲料水の営業マン。太っちょの楽天家。
ほぼ同時に彼女に振られて失意のどん底にある三人は、大学時代の同級生。
あこがれていた先輩・河島美紗子と再会し、彼女がはじめた男性向けエステの第一期特待生になった。
見た目だけでなく内面も磨き上げ、目指すはずばり、モテ男。空振り三人組は美紗子が揃えた腕利き講師たちが用意する課題の数々をクリアし、見事モテ男になれるのかが主題。
どうでもいいあたりまえのモテ男講座の内容が延々と繰り返され、特に三人組が成長するでもなく事件が起こるでもなく、盛り上がらずにだらだらとしたまま終了。登場人物の生活感・内面が書かれてない為リアル感欠如で物足りなかった。
2012年1月光文社刊
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする