
短くて読みやすい、男と女のカタチを切り取った現代の「悪妻論」ブラックユーモア短編小説6つ。ネット上で「悪妻」と批判されることに悩むバンドのヴォーカルの妻を描いた・・・「悪い妻」。夫公認のもと、元恋人と自由な時間を過ごす妻を描いた表題作・・・「もっと悪い妻」。離婚されたタクシー運転手。出会いを求め気に入った女性にアプローチするが、相手にされず、別れた妻に電話するが・・・。妻と離婚した後、若い女性にしつこく迫る壮年の男性の哀歓を伝える・・・「武蔵野線」。妻と死別した古アパート大家が亡妻の連れ帰った保護犬ハッチと、店子の天涯孤独の老女と同居を始めたら・・・「みなしご」。夫が単身赴任先の外国で死んだ大雑把な妻の・・・「オールドボーイズ」。社内恋愛のすえに結婚はしたがその時もう一人気になる人がいたのだが・・・「残念」。それぞれ落ちがあるがどれもどこかミステリー的な謎があるような気がして余韻を残す感じ。主人公たちのその後が気になる。
2023年6月文藝春秋社刊
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