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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

藤岡陽子著「僕たちは我慢している」 

2025-07-21 | は行
日本屈指の進学校に通う高校生たちの大学受験。周囲の期待というプレッシャーを背負いながら挑み続ける彼らの青春が生き生きと描かれている。中学から野球部で一緒だった三人。千原道人は高校では受験に専念するつもりが、中小企業を営む父の病気が再発した・・・。高校でも野球を続けている穂高英信は、総合病院の四代目として期待されているが、医学部受験には及ばない成績に迷う・・・。唯一夏の大会を最後に引退した中森揮一は、周回遅れの受験勉強にまったく身が入らず、大学受験を辞めようかとさえ思う・・・。もう一人、中一から学年トップを維持する香坂淳平。彼にも思い悩みが・・・。それぞれに容易ならざる事情を抱えながらも、彼らはどのようにして心を決めたのかその軌跡と到達点を描く。家庭が裕福で優秀な進学校に進んだ一人一人に生き方に苦労があり大変だと思う。なんのために学ぶのか?という問いかけへの多様な答えがここにはある。特に母親たちのほどよい寄り添い方や、先生のそっと背中を押すような言動が素晴らしい。相手を尊重し、ひとりの人格として認めることが何より大切。主体性を育てるには、それを受け入れる素地が欠かせない。そして何より、彼らたちが学校の仲間とお互いを高め合うさまに感動。努力の先にある結末もさらに熱い。自分の未来のためにする我慢の尊さや美しさ、そして、がんばったからこそ得られる喜びが、心に刺さりました。
2025年5月株式会社COMPASS刊 
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福田和代著「ヴァンパイア・シュテン」

2025-07-05 | は行
ファンタジーサスペンス。明治三年、陰陽師たちによって丹後に封じられていた最凶にして不死の吸血鬼・酒呑(シュテン)童子が永遠の命を求める者たちの手によって現代に甦った。その背後に、いにしえにシュテンを鬼にした方士・徐福の影が。平安時代から鬼と戦ってきた陰陽師安倍晴明の末裔・那智行人を中心とする警察庁特別調査課(トクチョー)はシュテンを追う。シュテンは人間世界に身を潜めてきた仲間の茨木童子によって東京へ。その東京でも、シュテンも知らぬ吸血鬼による凄惨な事件が頻発していた。徐福によるものなのか。東京が、シュテンたちと徐福、トクチョーの三つ巴の戦いの嵐に巻き込まれていく。超常の力を持つ者たちの戦いを現代的な手法で痛快に描いたファンタジー。吸血鬼に血を吸われた人は血を求めて吸血鬼になる某国のミサイル発射も鬼のせい。それなりに歴史と言い伝えの世界に整合性を無理やりつけてリアル感を出してはいるがご都合主義は否めない。著者の小説の世界に浸れるか否かで評価はわかれる。残念ながら面白くは読めなかった。
2025年4月光文社刊

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本城雅人著「灯 火」

2025-05-13 | は行
騎手エージェント(騎乗依頼仲介者)というお仕事スポーツ小説。 落馬事故が原因でジョッキーを引退した河口八宏。失意のなか選んだセカンドキャリアは、現役ジョッキーに代わって騎乗馬を探すエージェントの仕事だった。夢破れた男の信じた道は、正しかったのか。俺はコーチではない。暗路を行くジョッキーの灯火でありたい。人馬の命が最優先、公正確保を信条に、最低限のアドバイスしか施さずとも、担当する松木と郡司がGIで一、二着を独占するほどの大躍進を遂げます。ところがその矢先、八宏は思いがけない事態に直面する。後輩ジョッキーの背信だった。裏方に転じた彼が見た人間の業とは。利益を優先する関係者との衝突、予想外の事故、そして自身の過去との葛藤。八宏には、人間の弱さと強さが同居しており常に苦悩しながら自分の信じる道を歩もうとします。 完璧なヒーローではなく、時に迷い、時に傷つきながらも、それでもなお前を向いて進んでいく。競走に関わる人々の様々な思惑や葛藤、そして人間関係の複雑さが丁寧に描かれています。それぞれに異なる立場、異なる考えを持った関係者が彼と複雑に絡み合います。トレーナー、オーナー、そして他のジョッキーたち。それぞれの思惑が交錯する中で、八宏は自分の信念を貫き通すことができるのかが、その葛藤がこの小説の魅力です。成功とは何か、そして、本当に大切なものは何か。読了して主人公八宏の生き方を通して、自分自身の生き方について、改めて考えさせられました。華やかな成功ではなく、静かに燃え続ける灯火のような、揺るぎない信念と誠実さこそが、真の価値ではないかと。余韻の残る読後感でした。 2025年3月祥伝社刊
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福田和代著「梟の咆哮」

2025-04-29 | は行
シリーズ第4弾。眠らない一族〈梟〉の血を引く榊史奈は、大学を休学し単身、一族のルーツを解き明かすために、京丹後に旅立った。一族を奇病から救う、特別な水源を探し求めて。そこで再会したのは、先祖代々忍者として鎬を削ってきた狗の一族。彼らの隠れ里が、存亡の危機に瀕しているらしいとの噂を耳にした。若き忍者の末裔たちが、因縁を乗り越え、未来のためにともに立ち上がる展開。十條彰との連絡が絶えたこともあり、狗の一族の隠れ里へ、そこで知る狗の一族の仄暗い過去。史奈の祖父の存在、梟を感じさせる宗教団体、蛇男奥殿大地との関わり、そして狗の一族の在り方など。里に戻った彰の頼もしさが次代の狗の一族も安泰だなと思えるが、次は三重県伊勢へ続く。
2025年2月集英社文庫刊


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本多孝好著「こぼれ落ちる欠片のために」 

2025-03-27 | は行
心揺さぶる結末に息を呑む、圧巻の警察ミステリー3編。「真実を見抜き、罪を償わせる。」たった、それだけそれだけのことが、なぜこんなにも難しい。マンションの一室で発生したある殺人事件の現場に向かった、県警捜査一課の和泉光輝。そこで出会った女性警官・瀬良朝陽の第一印象は、簡単に言えば「最悪」だった。しかし、上の命令で瀬良とタッグを組み殺人事件を捜査することになり、和泉は彼女の類い稀な観察力を知ることになる。二人の懸命な捜査により、事件のかたちは徐々に輪郭を現していくが、待ち受けていたのは「正しい刑罰」の在り方を問う、予想外の真相だった。和泉と瀬良が立ち向かった最初の事件・・・「イージー・ケース」。事件に関する証言を頑なに拒み続ける黙秘の容疑者の謎を追う・・・「ノー・リプライ」、子供の居場所は?解決の糸口が見えない誘拐事件を描いた・・・「ホワイト・ポートレイト」。見えている真相に違和感。真実が分からない。犯人が語っていないこと、裏側が暴かれていく。でも警察が求めるものは真実なのか正義なのか。予想外でやるせない結末。主人公聴取能力に優れ、取調官を期待される若手和泉の相方のキャラはあまり明らかにならないが、クール美人でコミュニティ障害、背が高く人当たりは良くないが、洞察力に優れ「職質の女神」と言われる鋭い観察力で和泉を助ける。イライラさせられるコンビだが面白い。事情聴取等に重点を置き、真実を手繰り寄せるまでのその行程を丁寧に重厚に描かれ読み応えがあった。いかに相手の心を読み心開かせるか、それは頭脳戦でもあり心理戦。鋭い観察眼が射抜いた心、怒り、やるせなさが渦巻き対峙する取り調べ室の空気感にはリアル感あり緊張感を感じる。そして真実に辿り着くまでの刑事たちの姿もとても印象的だった。先輩たちの人生、和泉や世良の過去など徐々に解かるラストを迎えてもっと続きが読みたいと思った。
2024年11月集英社刊 
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藤岡陽子著「空にピ―ス」

2024-10-24 | は行
新米教師の奮闘と成長の感動小説。教師5年目の澤木ひかりが東京郊外の新しく赴任したのが荒れた学校と呼ばれていた水柄小学校。前任の教師が5年生の修了式を待たずに鬱で休職に入ったために新しく担当することになった6年2組の22人の担任になったのだ。赴任したひかりがさっそく衝撃を受ける。ウサギをいじめて楽しそうなマーク、ボロボロの身なりで給食の時間だけ現れる大河、日本語が読めないグエン。そして起きた前副校長が殺される殺人事件。これまでの経験がまるで役に立たない現場で一人一人と向き合ううち、いつしかひかりは子どもたちの真の輝きを見つけていく・・・。貧困虐待外国人問題、厳しい現実の社会問題がもたらす教育の行方、教育現場の見て見ぬふりをする縦社会。「子どもがとる行動にはすべて理由がある」主人公が独りで行動するきらいがあるのが気に掛かるがすべての伏線が回収され一気読みができる感動作でした。
2022年2月幻冬舎刊

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福田和代著「サムディ 警視庁公安第5課」

2024-08-24 | は行
前作「ゼロディ」や「標的」「狙われた潜入捜査官」ブラックホーク3部作続編。警察には頼れない、訳ありの政治家や実業家などを顧客に抱えるVIP専門の警備会社・ブラックホークに、新しい依頼が舞い込んだ。警護対象は、警察のトップである速水警察庁長官。なぜ、身内である警察に頼らないのか。不審に思う最上らメンバーだったが、その直後、長官の執事が殺害される。捜査方針に疑念を出だした公安の寒川警部補は、独自に調べを進めるうちに、警察内のある組織「旭光」に辿り着く。警察に追われる長官らをテロ集団クーガが助け、クーガのトップ魔術師マギ、由利と長官、ブラックホーク、長久保警視等「旭光」を潰すため協力する。警察庁が開発した監視システム、犯罪捏造システムを悪用しようとする旭光の山浦幹事長や公安5課長、警察庁次長の企みを潰す2030年代の日本を舞台にした近未来小説。
2018年10月幻冬舎文庫

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藤岡陽子著「リラの花咲くけものみち」

2024-06-27 | は行
動物たちが、「生きること」を教えてくれた。 家庭環境に悩み心に傷を負った岸本聡里は、祖母とペットに支えられて獣医師を目指し、北海道の獣医学大学へ進学し、自らの「居場所」を見つけていくことに・・・聡里は獣医学部に進学すると、獣医師の仕事が動物を助けるばかりではないことを実感します。時には命の選択をし、助けられる命を見殺しにしなければならないこと。仕事は、小動物の臨床医(町の動物病院の先生)以外にも、国や地方自治体で働く公務員、牛や馬や豚や鶏を診る農業共済組合の職員、製薬会社やペットフード会社で動物実験を担当する社員など多岐にわたります。「動物が好き」という理由で獣医学の道に進んだ学生たちが、どのような感情で動物の命に向き合うのかが書かれています。「怖がっていたらなんの夢も叶えられない」。「苦しんだ人のほうが、初めからなんでもできるやつより強いよ」。動物は自分で自分の治療方針(命)を決められない、飼い主が決めるということは、当たり前だけど難しい問題です。北海道の大自然の地で、自らの人生を変えてゆく少女の姿を描いた心が温かくなる感動作でした。
2023年7月光文社刊

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藤つかさ著「まだ終わらないで、文化祭」

2024-01-24 | は行
青春ミステリー。
毎年、生徒の誰かがサプライズ騒ぎを起こすことが慣例となっている八津丘高校の文化祭。2年前には、ゲリラライブで人が殺到し教師がケガを負ってしまった。その様子はSNSにアップされて炎上、ニュースにも取り上げられ大問題になった。今年は文化祭初日。まるで宣戦布告をするかのように2年前の文化祭ポスターが学内掲示板に貼られていた。文化祭実行委員の市ヶ谷のぞみたちは犯人探しに軽音楽部などの複数の部活などの生徒達に話を聞きにまわるのだが・・・。なによりこの年代のもつ未熟さ故の葛藤見栄鬱屈。肥大した自我に振り回された青春の痛みと苦みが文化祭を巡るミステリーに織り込まれた物語でした。十代の懐かしくも痛々しい当時を思い出した。
2023年11月双葉社刊
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藤斎詠一著「環境省武装機動部隊EDRA」

2024-01-19 | は行
2038年を舞台にした近未来ミステリーアクション小説。急激な温暖化で海面が10m上昇し、沿岸都市が水没。世界は、自然環境の保護が最大の正義とされ、守るためなら武力行使をいとわなくなっていた環境異変起きた日本。ある日、コンテナ船がジャックされた。要求に従わなければ爆弾が炸裂。船の燃料が流出し、深刻な環境汚染を起こすかもしれない。それ防ぐために特殊部隊が投入され、迅速に事態は終息したかに思われた。しかし、その影には巨大組織の陰謀が隠され、人類の脅威が迫っていたのだ。東京湾沿岸やその他の水没している地図が随所に有りみとれてしまった。自然破壊による「大異変」が発生し、急激な温暖化により海面が上昇、沿岸域は水没、世界は一変する。人口80億を支える土地、食糧、水、エネルギーをめぐって地域紛争が勃発、核戦争に発展、人口減少、核の冬による気温低下で異変に歯止めはかかるが…暑い夏・熱い海と海面上昇など兆候が起きている昨今けっして在り得ない世界ではない。ロシアという国がウクライナとの戦争で消滅し独立したシベリアのサハ共和国の永久凍土が溶け出して未知のウイルスが発生という設定も面白かったが主人公の一人シベリアの魔女こと「新島玲」の活躍にページが割かれていたが生活感の無さが弱い。メンバーのそれぞれの個性や紹介がすくないので感情移入しにくい。続編次回作に期待。
2023年6月実業之日本社刊


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福田和代著「梟の好敵手」

2024-01-14 | は行
梟シリーズ第3弾。前作「梟の胎動」後編。片時も眠らないエリート忍者・梟(ふくろう)の一族 vs. 異様に鼻が利く野生の忍者・狗(いぬ)の一族。梟の里の襲撃事件から四年。
 大学生の史奈は、再び渦中の人となり、長栖兄妹とともに、全世界が熱狂する新競技「ハイパー・ウラマ」に出場する。ドーピング可を謳う大会に生身で挑むと宣言した梟の一族を、執拗に潰しにかかる運営側。彼らの用意した切り札こそ、因縁のライバル・狗の一族だった。薬物使用に身体攻撃と何でもありの様子のどうみても危険で怪しい新競技「ハイパー・ウラマ」に参加することとなった梟チーム。競技運営側も執拗な妨害から梟への悪意は明確だが本当の真意が読めない。競技が始まり超人的スポーツバトルに。4キロものゴムボールを蹴り上げ、6メートルのゴールめがけて宙を舞う。敵対から好敵手への昇華も鮮やか。エピローグで旅出ることを決めた史奈の今後の続編も楽しみ。
2023年11月集英社文庫刊
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福田和代著「梟の胎動」

2023-12-15 | は行
忍者の末裔にして、眠らない特殊体質をもつ「梟の一族」続編、一族の住む里が、一夜にして焼き落ちて壊滅に追いやられた事件から4年後、史奈は東京の大学生になった。一族を襲う奇病・シラカミを研究する父、陸上競技に邁進する長栖兄妹のように、己の生きる道を見つけられずにいた。ある夜大学の図書館からの帰る史奈を付け回す者たちが現れたりするそんな折、〈梟〉の力を借りたいと、ある競技の遺伝子ドーピングに関する調査依頼が舞い込む。その裏に渦巻く姑息な陰謀の臭い。新たに出てきた狗の一族集団、ハイパーウラマというドーピング制限なしのスポーツの開催。長い夜が明け、梟の新時代が始まった・・・。どうなるかと期待の中途中で終わる展開で第3弾の続編「梟の好敵手」に続く。
2023年10月集英社刊

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本城雅人著「二律背反」

2023-12-02 | は行
野球小説&ミステリー。20年ぶりのリーグ優勝を目前にするプロ野球・横濱セイバーズ。その快進撃の立役者である投手コーチ二見里志は、抑えの新田隆之介らの疲労管理に頭を悩ませ、エースの山路との関係などリリーフ陣を酷使したがる辻原監督と衝突が絶えない。そんな里志のもとに、突然の訃報が届く。里志の現役時代の恩人であり、ある〝罪〟が発覚して13年前、球界を追放されていた盟友・檀野晋が亡くなったという。当初、自殺と思われていた事件は殺人と発表されたのだ。独自のコーチ哲学を貫くプロ野球の投手コーチ二見が球界の闇、盟友の無念に迫るミステリー。なぜ今になってこの世を去らねばならなかったのか?元プロ野球選手として大リーグの実績もある、苦い経験も沢山してきた主人公の指導や選手のメンタルのサポート、己を律する食生活や生活のルーティンがまるで武術家のようですごいなと思った。またその苦労も心理描写も含め克明で感動した。野球界の裏話も、ミステリーとしても2倍楽しめました。『俺にとってはお前が正義だ。お前に告発されたなら、俺は自分が犯した罪を一生背負っていける。』P.361
2023年5月祥伝社刊

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早見和真著 「笑うマトリョーシカ」

2023-09-16 | は行
四国・松山の名門高校福音学園高校に通う二人の青年清家一郎と鈴木俊哉の「友情と裏切り」の物語。27歳の若さで代議士となった男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。秘書となったもう一人の男は、彼を若き官房長官へと押し上げた。総理への階段を駆け上がるカリスマ政治家。「この男が、もしも誰かの操り人形だったら?」最初のインタビューでそう感じた女性記者道上香苗は、隠された過去に迫る。清家一郎のブレーンは、ヒトラーの演説指南役で、ナチスの占星術師、ヒトラーを操っていたと言われるハヌッセンと同じ。ハヌッセン役は誰かと展開されていく。政治家・清家一郎は誰かに操られている?一郎という核に重なるマトリョーシカたち。彼の野望を叶えたのは自分だと自負する友人の鈴木、母親の浩子、恋人の三好美和子か・・・。人は意図して、人を操ることが出来るのか?人は変わらない、変えることが出来るのは 自分だけだ。ミステリードラマの様な小説でした。敵と味方を見誤り、マトリョーシカの奥の顔にまんまと騙された。鈴木に感情移入して読んだが他の誰かに感情移入して読んだら違った印象になったかもしれない面白い小説でした。
2021年11月文藝春秋社刊
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福田和代著「S&S探偵事務所 いつか夜が明けても」

2023-08-15 | は行
S&S探偵シリーズ第3弾。マスクと外出自粛があたりまえの新型ウイルスの感染が拡大する中、IT探偵の出原しのぶと、スモモこと東條桃花は防衛省に呼び出される。各国で多発する政府機関や企業の機密情報を狙ったハッキングの調査依頼だった。そんな時、"ダーマ"と名乗る者が中国政府になりすまし独裁国家「南渤海」に核ミサイルを発射。しのぶは追跡中のハッカーと"ダーマ"の繋がりを見抜くが、相棒スモモが突然失踪してしまう。・・・・高度な技術で正体を隠蔽していたハッカーの割には、子猫を囮に使うという浅はかなすぐに尻尾をつかまれる手段を使用、犯人を捕まえてみるとネズミ一匹これまた竜頭蛇尾の印象は拭えない展開でドキドキ感や意外性は感じられなかった。登場人物のキャラは面白いのに生かされていないのは残念。
2020年10月祥伝社文庫刊
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