読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

藤つかさ著「まだ終わらないで、文化祭」

2024-01-24 | は行
青春ミステリー。
毎年、生徒の誰かがサプライズ騒ぎを起こすことが慣例となっている八津丘高校の文化祭。2年前には、ゲリラライブで人が殺到し教師がケガを負ってしまった。その様子はSNSにアップされて炎上、ニュースにも取り上げられ大問題になった。今年は文化祭初日。まるで宣戦布告をするかのように2年前の文化祭ポスターが学内掲示板に貼られていた。文化祭実行委員の市ヶ谷のぞみたちは犯人探しに軽音楽部などの複数の部活などの生徒達に話を聞きにまわるのだが・・・。なによりこの年代のもつ未熟さ故の葛藤見栄鬱屈。肥大した自我に振り回された青春の痛みと苦みが文化祭を巡るミステリーに織り込まれた物語でした。十代の懐かしくも痛々しい当時を思い出した。
2023年11月双葉社刊
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藤斎詠一著「環境省武装機動部隊EDRA」

2024-01-19 | は行
2038年を舞台にした近未来ミステリーアクション小説。急激な温暖化で海面が10m上昇し、沿岸都市が水没。世界は、自然環境の保護が最大の正義とされ、守るためなら武力行使をいとわなくなっていた環境異変起きた日本。ある日、コンテナ船がジャックされた。要求に従わなければ爆弾が炸裂。船の燃料が流出し、深刻な環境汚染を起こすかもしれない。それ防ぐために特殊部隊が投入され、迅速に事態は終息したかに思われた。しかし、その影には巨大組織の陰謀が隠され、人類の脅威が迫っていたのだ。東京湾沿岸やその他の水没している地図が随所に有りみとれてしまった。自然破壊による「大異変」が発生し、急激な温暖化により海面が上昇、沿岸域は水没、世界は一変する。人口80億を支える土地、食糧、水、エネルギーをめぐって地域紛争が勃発、核戦争に発展、人口減少、核の冬による気温低下で異変に歯止めはかかるが…暑い夏・熱い海と海面上昇など兆候が起きている昨今けっして在り得ない世界ではない。ロシアという国がウクライナとの戦争で消滅し独立したシベリアのサハ共和国の永久凍土が溶け出して未知のウイルスが発生という設定も面白かったが主人公の一人シベリアの魔女こと「新島玲」の活躍にページが割かれていたが生活感の無さが弱い。メンバーのそれぞれの個性や紹介がすくないので感情移入しにくい。続編次回作に期待。
2023年6月実業之日本社刊


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福田和代著「梟の好敵手」

2024-01-14 | は行
梟シリーズ第3弾。前作「梟の胎動」後編。片時も眠らないエリート忍者・梟(ふくろう)の一族 vs. 異様に鼻が利く野生の忍者・狗(いぬ)の一族。梟の里の襲撃事件から四年。
 大学生の史奈は、再び渦中の人となり、長栖兄妹とともに、全世界が熱狂する新競技「ハイパー・ウラマ」に出場する。ドーピング可を謳う大会に生身で挑むと宣言した梟の一族を、執拗に潰しにかかる運営側。彼らの用意した切り札こそ、因縁のライバル・狗の一族だった。薬物使用に身体攻撃と何でもありの様子のどうみても危険で怪しい新競技「ハイパー・ウラマ」に参加することとなった梟チーム。競技運営側も執拗な妨害から梟への悪意は明確だが本当の真意が読めない。競技が始まり超人的スポーツバトルに。4キロものゴムボールを蹴り上げ、6メートルのゴールめがけて宙を舞う。敵対から好敵手への昇華も鮮やか。エピローグで旅出ることを決めた史奈の今後の続編も楽しみ。
2023年11月集英社文庫刊
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福田和代著「梟の胎動」

2023-12-15 | は行
忍者の末裔にして、眠らない特殊体質をもつ「梟の一族」続編、一族の住む里が、一夜にして焼き落ちて壊滅に追いやられた事件から4年後、史奈は東京の大学生になった。一族を襲う奇病・シラカミを研究する父、陸上競技に邁進する長栖兄妹のように、己の生きる道を見つけられずにいた。ある夜大学の図書館からの帰る史奈を付け回す者たちが現れたりするそんな折、〈梟〉の力を借りたいと、ある競技の遺伝子ドーピングに関する調査依頼が舞い込む。その裏に渦巻く姑息な陰謀の臭い。新たに出てきた狗の一族集団、ハイパーウラマというドーピング制限なしのスポーツの開催。長い夜が明け、梟の新時代が始まった・・・。どうなるかと期待の中途中で終わる展開で第3弾の続編「梟の好敵手」に続く。
2023年10月集英社刊

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本城雅人著「二律背反」

2023-12-02 | は行
野球小説&ミステリー。20年ぶりのリーグ優勝を目前にするプロ野球・横濱セイバーズ。その快進撃の立役者である投手コーチ二見里志は、抑えの新田隆之介らの疲労管理に頭を悩ませ、エースの山路との関係などリリーフ陣を酷使したがる辻原監督と衝突が絶えない。そんな里志のもとに、突然の訃報が届く。里志の現役時代の恩人であり、ある〝罪〟が発覚して13年前、球界を追放されていた盟友・檀野晋が亡くなったという。当初、自殺と思われていた事件は殺人と発表されたのだ。独自のコーチ哲学を貫くプロ野球の投手コーチ二見が球界の闇、盟友の無念に迫るミステリー。なぜ今になってこの世を去らねばならなかったのか?元プロ野球選手として大リーグの実績もある、苦い経験も沢山してきた主人公の指導や選手のメンタルのサポート、己を律する食生活や生活のルーティンがまるで武術家のようですごいなと思った。またその苦労も心理描写も含め克明で感動した。野球界の裏話も、ミステリーとしても2倍楽しめました。『俺にとってはお前が正義だ。お前に告発されたなら、俺は自分が犯した罪を一生背負っていける。』P.361
2023年5月祥伝社刊

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早見和真著 「笑うマトリョーシカ」

2023-09-16 | は行
四国・松山の名門高校福音学園高校に通う二人の青年清家一郎と鈴木俊哉の「友情と裏切り」の物語。27歳の若さで代議士となった男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。秘書となったもう一人の男は、彼を若き官房長官へと押し上げた。総理への階段を駆け上がるカリスマ政治家。「この男が、もしも誰かの操り人形だったら?」最初のインタビューでそう感じた女性記者道上香苗は、隠された過去に迫る。清家一郎のブレーンは、ヒトラーの演説指南役で、ナチスの占星術師、ヒトラーを操っていたと言われるハヌッセンと同じ。ハヌッセン役は誰かと展開されていく。政治家・清家一郎は誰かに操られている?一郎という核に重なるマトリョーシカたち。彼の野望を叶えたのは自分だと自負する友人の鈴木、母親の浩子、恋人の三好美和子か・・・。人は意図して、人を操ることが出来るのか?人は変わらない、変えることが出来るのは 自分だけだ。ミステリードラマの様な小説でした。敵と味方を見誤り、マトリョーシカの奥の顔にまんまと騙された。鈴木に感情移入して読んだが他の誰かに感情移入して読んだら違った印象になったかもしれない面白い小説でした。
2021年11月文藝春秋社刊
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福田和代著「S&S探偵事務所 いつか夜が明けても」

2023-08-15 | は行
S&S探偵シリーズ第3弾。マスクと外出自粛があたりまえの新型ウイルスの感染が拡大する中、IT探偵の出原しのぶと、スモモこと東條桃花は防衛省に呼び出される。各国で多発する政府機関や企業の機密情報を狙ったハッキングの調査依頼だった。そんな時、"ダーマ"と名乗る者が中国政府になりすまし独裁国家「南渤海」に核ミサイルを発射。しのぶは追跡中のハッカーと"ダーマ"の繋がりを見抜くが、相棒スモモが突然失踪してしまう。・・・・高度な技術で正体を隠蔽していたハッカーの割には、子猫を囮に使うという浅はかなすぐに尻尾をつかまれる手段を使用、犯人を捕まえてみるとネズミ一匹これまた竜頭蛇尾の印象は拭えない展開でドキドキ感や意外性は感じられなかった。登場人物のキャラは面白いのに生かされていないのは残念。
2020年10月祥伝社文庫刊
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藤岡陽子著「金の角持つ子どもたち」

2023-08-12 | は行
 「子供たちの武器である金の角は、大人たちにとっては、未来を指し示す希望の光。」(P255)「サッカーをやめて、塾に通いたい」戸田俊介は、突然、両親にそう打ち明ける。一念発起して勉強を始め10ヶ月後に日本最難関と言われる国立の中学を受験したいのだと。父親が高卒の車の営業マン、母親が高校中退の専業主婦、難聴の妹・美音の小学校入学を控え、家計も厳しい中、息子の夢を応援することを両親は決意。俊介の塾通いが始まる。だが、彼には誰にも言えない「秘密」があった・・・・。俊介の頑張りに周囲も変化していく。第一章は母親の視点で第2章は俊介の視点で、第3章は可地先生の視点で語られるのだが、塾の講師の加地先生が良い。自分の背負う物の影響か可地はいう「受験そのものより、勉強することを通して子どもたちに生きる力を身につけてほしい」と。「努力することの確実さを、・・・・勉強は努力を学ぶのに一番適した分野だ。学力は人生を裏切らない。到達点はもちろん人それぞれ違うものだが、勉強に関していえば、努力すれば必ず結果がついてくる。」(P218)人は挑むことで自分を変えることができる。これは未来を切り開こうと奮闘する人々を描いた感動の小説です。格差社会の現代社会は、昔と比べ余裕がない。若い人には『武器』を持って社会に出てほしい。また「恵まれた能力を自分だけのものとせず、多くの人にも分けてあげてほしい」(P247)
2021年5月集英社文庫刊
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早見和真著「新! 店長がバカすぎて」

2023-06-26 | は行
「店長がバカすぎて」の続編。前作より3年後、主人公の谷原京子は、「武蔵野書店」吉祥寺本店の正社員になり、九州の転勤から帰りレベルアップした山本猛店長が今回もイライラさせる。今回も登場人物の特異なキャラクターに呆れて、笑ったが続編では「ムカムカ」感が少し残る展開。「書店あるある」の出来事も新しさは見当たらず前作よりダウン。コロナ禍に新メニューに取り組む親父さんがガンバっているのがよかった。だが、ネットで読めて何でも手に入る現代、小説と書店の未来を、仕事の意味を、生きる希望を改めて考えさせられた。
2022年9月角川春樹事務所刊


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早見和真著「店長がバカすぎて」

2023-06-17 | は行
主人公の谷原京子は、28歳。独身。とにかく本が好き。現在、「武蔵野書店」吉祥寺本店の契約社員。山本猛(たける)という名前ばかり勇ましい、「非」敏腕店長の元、文芸書の担当として、次から次へとトラブルに遭いながらも、日々忙しく働いているは、あこがれの先輩書店員小柳真理さんの存在が心の支えだ。そんなある日、小柳さんから、店を辞めることになったと言われ・・・。本屋の店員さんの日常の出来事が細かく描かれて「店長がバカすぎる」という小説が発売されその著者は誰かという、著者が明らかになるまでを描かれています。新人作家の才能に出逢い、打ちのめされ、 好きな作家の新作に心躍らせ、時には泣き、笑い、怒り、日々戦って、小説と書店の未来を、仕事の意味を、生きる希望が込められているほっこり系のお仕事小説です。続編も出ているようですから読んでみたい。
2019年7月角川春樹事務所刊

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深町秋生著「探偵は田園をゆく」

2023-06-14 | は行
探偵物のハードボイルドミステリー、シングルマザー探偵第2弾。主人公の椎名留美は元警官。山形市に娘と二人で暮らし、探偵業を営んでいる。便利屋のような依頼も断らない。ある日、風俗の送迎ドライバーの仕事を通じて知り合った女から、息子の捜索を依頼される。
息子の部屋の 遺留品を調べた留美は一人の女に辿り着く。地域に密着した慈善活動で知名度を上げたその女は、市議会への進出も噂されている。彼女が人捜しの手がかりを握っているのか。・・・調査を始め彼女を直接訪ねると彼女の脇を固めるヤクザな男たちが出現し・・・、タフなシングルマザー探偵の活躍物語で、時々ハードボイルドだが、ゴテゴテの山形弁がふんわり全体を包みコミカルな感じもするミステリ。結末の真相はちょっと切なくて物哀しいが、続編が楽しみな物語りでした。
2023年2月光文社刊


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馳星周著「月の王」

2023-04-12 | は行
パワーバイオレンスとファンタジー、日本古来の歴史まで含めたアクション小説。第2次世界大戦前の上海。帝国陸軍特務機関所属の伊那雄一郎は、田辺少佐から緊急招集を受け、伝えられたのは、駆け落ちした華族令嬢・一条綾子の身柄を、各国の特務機関や蒋介石隷下の藍衣社に先んじて確保せよという密命だった。しかも、皇室から直接派遣された謎の男・大神明と共に遂行せよという。渋りながらも拝命した伊那であったが、藍衣社の異能戦闘集団を率いる杜龍と四天王に急襲される。死地を救ったのは、身に「月」を背負って人間を遥かに凌駕した膂力で戦う、大神であった。やがて、各国の特務機関やマフィアの青幇をも巻き込み、上海租界を血の暴風が吹き荒れる。細かなことは気にしない 無敵・不死身・殺戮・転生・そして変身バトル。皇家の血を引く令嬢の救出ミッションを帯びた狼の血を引く月の王、大神。日本軍の間諜、伊那と共にミッションを遂行する。
 人間ならざる者たちの妖気バトルはリアリティを越えてしまった。アニメかコミック劇画を見ているような。狼の大神と竜の杜龍の対決に至っては、アニメしか描けない。
2022年4月KADOKAWA刊

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本城雅人著「にごりの月に誘われて」

2023-02-09 | は行
出版界の闇に切り込むミステリ。IT企業の会長・釜田芳人から自叙伝の代筆の依頼を受けた、フリーライター・上阪傑。余命半年だという釜田とは、11年前ゴーストライター執筆時の支払いトラブル・重版分の印税を払ってもらえなかった過去があったのに再度依頼してくるのは何故なのかと疑問が湧く。取材を進めるにつれ、これまで明かしてこなかった創業時のエピソードの連続に驚く、と同時に今までの本の内容に嘘があったことがわかって来る。この依頼の裏に何かがあるのではと疑念は深まっていく。「会社の後継者問題」「隠蔽し続けた過去」「古い友人との因縁」「出生の秘密」などがそれぞれの当事者によって丁寧に語られて行きますが、これは個人のサクセスストリーの展開かと思ったがラストでしっかりミステリとしての意外な顛末が用意されていました。
2022年4月東京創元社刊

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本多孝好著「アフター・サイレンス」

2022-09-21 | は行
主人公は、大学の心理学研究室に籍を置く高階唯子(たかしなゆいこ)。県警の「被害者支援室」だけではカバーしきれないカウンセリングを受け持つ臨床心理士であり、国家資格の公認心理師でもある。彼女が担当したクライエントそれぞれのドラマと、彼女自身のドラマが絡まり合って、物語は連作短編で 展開される。警察専門のカウンセラー高階唯子の仕事は、事件被害者やその家族のケアをすることだ。夫を殺されたのに自分こそ罰を受けるべきだという妻。・・・「二つ目の傷痕」。ペルー出身の日系三世の両親から生まれた日本国籍の兄弟、ひき逃げ事件で兄を亡くした青年、アキラがクライエントだ。彼の両親は南米日系人で、兄弟は母国を知らずに日本で育った。・・・「獣と生きる」。回復が見込めない四半世紀前に起きた未解決事件の被害者の父親と向き合う・・・「夜の影」。誘拐犯をかばい嘘の証言をする少女。・・・「迷い子の足跡」。傷から快復したはずなのに、姉を殺した加害者に七年後の復讐をした少年・・・「ほとりを離れる」。実は唯子も、事件によって人生を壊された人物だ。高校二年生だった15年前に、父親が罪を犯し服役中だ。以降、唯子は事件の加害者に対して極論と言える考えを持ちつつ、加害者の家族に背を向けた世間の中にも入れず、光のない日常を生き、仕事に取り組んできた。被害者や家族の秘められた思い(沈黙)と、加害者の家族である唯子の沈黙が、物語を通して絡み合う。人が犯した罪と罰に、同時にむきあうことになるからだ。多くを語らないクライエントが抱える痛みと謎を解決するため、唯子は奔走する。唯子が心を寄り添わせるのは、犯罪被害者の遺族だが、同時に加害者家族にも焦点が合わせられている。殺人が許されない罪であることは間違いがないが・・・では、その罪に見合う罰とは何か。極刑なのか?仇討ち的な復讐なのか?被害者、加害者、双方の家族が心に抱えてしまう痛みと傷は、一朝一夕に癒えることなどない。けれどもいつか、癒えずとも、許し許される日が来ることもあるのではないか。来て欲しいという希望。そんな著者の祈りにも似た声が聞こえるようだ。絶望の淵で、人は誰を想い、何を願うのか。そして長い沈黙の後に訪れる、小さいけれど確かな希望が読後の救いだった。『大切な人が殺された時、あなたは何を望みますか』の問いかけに考えさせられた。
『今日を普通に生きていれば、普通の明日がやってくる。だから、今日を普通に生きられる。犯罪は、特に人殺しは、そのルールを壊す』(P296)。
2021年9月集英社刊    

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福田和代著「スパイコードW」

2022-07-20 | は行
コロナ禍で欧米の影響力が低下した近未来の東アジアの世界。習近平の後、強力な新指導者「薫 日告 然」が中国の権力を掌握し、遂に長年計画していた台湾への武力侵攻に乗り出そうとする。アジア発の世界大戦を防ぐため、旧日本軍最後の特務機関“Ω(オメガ)”が作戦を開始。各地に潜入していた“Ω”のエージェントたちが台湾侵攻阻止のミッションに挑む。彼らの武器は知恵とトリック。世界の平和を賭けて、覇権国家中国をダマしきれるのか、彼らは台湾、そして世界の危機を救うことが可能かと物語が展開される。新聞記者の牛玉渉は、元中国人の母から決して中国には行かないように言い聞かされていたが策略によって鈴木の偽名で中国に入国することに・・・。スパイたちの一度限りの宴が始まった。仕掛けられた切り札「W」とは・・・。近未来とは言え荒唐無稽な設定と展開についていけなかった。
2022年5月KADOKAWA刊
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